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【SES営業必見】IT業界の多重下請け構造をわかりやすく解説

SES業界の大きな課題のひとつに、下請け構造がありますよね。

下請け構造は一言で言うと、元請けの会社から、一次請け、二次請けと、仕事がどんどん下の会社に渡っていく仕組みのことです。

「これはどういうものなのか?」という、疑問を新卒営業の方にも、わかりやすく解説していきます。


1.なぜ多重下請けになるの?


①仕事が大きく、複雑
最近のITの仕事は大きくて複雑です。一つの会社だけでは、全部こなせません。色々な会社が協力する必要があり、多重下請けになりやすいのです。

②専門の技術が必要
特定の技術や知識を持った会社に仕事を頼むことで、元請けの会社は、全部自分でやる必要がなくなり、効率よく仕事を進められます。

③費用を抑える
下請けの会社は、元請けの会社よりも安い値段で仕事を受けることが多いです。特に、下の会社ほど値段が安くなることが多いです。

④人の調整
景気が変わると、人の数を調整する必要が出てきます。正社員を簡単にクビにできないので、下請けの会社に仕事を渡すことで、人の調整をしているのです。

1-1.多重下請けの問題点

①下請けの会社の収入が減る
何回もマージンが引かれるので、下の会社ほど収入が減ってしまいます。

働く環境が悪くなったり、技術力が下がったりする可能性があります。特に、一番下の会社で働く人は、安い給料で長い時間働くことを強いられることもあります。

②責任の所在があいまい
問題が起きた時に、誰の責任なのかが分かりにくくなります。責任の押し付け合いになることもあります。

③技術が育たない
下請けの会社は、元請けから言われたことだけをやることが多く、自分で技術を学ぶ機会が少なくなります。日本のIT業界全体の技術力が下がる可能性もあります。

➃連絡が大変
たくさんの会社が関わるので、連絡が大変になります。情報がうまく伝わらなかったり、誤解が生まれたりして、仕事がうまく進まなくなることがあります。

1-2.派遣の法律が変わるとどうなる?

派遣の法律は、働く人を守るためのものです。昔の改正では、派遣の期間や給料などが決められました。

法律が変わっても、多重下請けに直接影響があるわけではありません。しかし、間接的な影響は考えられます。

①偽装請負の取り締まりが厳しくなる
本当は派遣なのに、請負という形にする「偽装請負」の取り締まりが厳しくなる可能性があります。

②派遣の期間が制限される
長い間の派遣が減り、会社が直接人を雇うようになるかもしれません。

③派遣で働く人の待遇が良くなる
下請けの会社が派遣を使うメリットが減り、直接雇うようになるかもしれません。

しかし、法律が変わるだけで、多重下請けがなくなるわけではありません。法律だけでなく、会社やエンジニアの考え方、ビジネスのやり方を変えることも大切です。

2.多重下請けから抜け出すには


①エンジニアがスキルアップする
エンジニア自身が、価値の高い技術を身につけることで、良い会社に転職したり、自分で仕事をしたりできるようになります。

②会社が人を直接雇う
会社が技術者を直接雇い、社内で技術を育てることで、下請けに頼らなくてもよくなります。

③発注する側の意識を変える
元請けの会社が、下請けの会社と良い関係を築き、正しい取引をすることが大切です。

➃業界全体をもっとオープンにする
多重下請けの現状や問題をみんなで話し合うことで、改善が進みます。

2-1.商流の深さ

仕事の流れ、つまり多重下請けの深さは、仕事の大きさや内容によって大きく違います。

▼元請け(一次請け)
NTTデータや日立システムズなとのSIerが該当します。お客さんから直接仕事を受けます。全体の責任を負います。

▼二次請け
中くらいの会社が、元請けから仕事の一部を受けます。

▼三次請け以降〜
小さい会社や個人が、二次請けから仕事の一部を受けます。プログラミングやテストなどをすることが多いです。

2-2.案件と商流のイメージ

①大きなシステム開発
大企業が頼むシステム開発では、元請けの下にたくさんの会社が入り、さらにその下に…と、何層にもなることがあります。

②ウェブアプリ開発
中小企業が頼むウェブアプリ開発では、一次請け、二次請けくらいのことが多いです。

③スマホアプリ開発
個人や小さい会社が頼むスマホアプリ開発では、下請けがほとんどないこともあります。

このように、仕事の大きさや内容によって、仕事の流れの深さは大きく違います。大きな仕事ほど、多重下請けが深くなることが多いです。

3.再委託について


3-1.再委託禁止の今

多くの契約で、「再委託禁止」というルールがあります。これは、もらった仕事を他の会社に渡してはいけないというルールです。

しかし、実際には、再委託禁止なのに、再委託が行われていることも少なくありません。

  • 下請けの会社の事情: 納期が厳しかったり、人が足りなかったり…。

  • 技術者が足りない: 特定の技術を持った人が足りない…。

  • 元請けが見て見ぬふり: 問題がなければ、気づいていても何も言わない…。

もし再委託がバレたら、契約違反になる可能性もありますが、実際には、こっそり行われていることが多いです。

3-2.再委託の問題

再委託が繰り返されると、

  • 品質が落ちる

  • 情報がもれる危険がある

  • 責任の所在が不明確になる

  • お金が少なくなる

などの問題が起こる可能性があります。

4.まとめ


IT業界の仕事の流れは、仕事の大きさや内容によって大きく違います。再委託禁止というルールがありますが、実際には行われていることも少なくありません。再委託は、色々な問題を引き起こす可能性があります。

これらの問題を解決するためには、発注する側も受ける側も、意識を変え、ルールをしっかり守り、業界全体をもっとオープンにしていくことが大切です。

それでは!

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