私は僕なのに
私は可愛くいなくちゃいけないの……。
ピンク色でヒラヒラの可愛い洋服を着て、少しヒールがついた靴を履いて、メイクをしたら完成!
………大丈夫。今日も可愛くいれてるよ。
………私。
朝の6時私はいつもこの時間に起きる。
健康な体には早起きが必須。
決まった時間に起きないとママに怒られちゃうもんね。
今日は学校があるから制服に着替えなくちゃ!!
シャツをきて、………スカートを履いて。
ブレザーを着て、リボンを着けたら完成。
髪の毛はママにやってもらっているの。
ママが可愛くアレンジをしたいんだって。
って時間がやばい!!急がなくちゃ!!
おはようママ。
うん着替えるのに時間がかかっちゃって。
急いでご飯食べるね。
早く食べないとママが怒っちゃう。
いってきます。
ママに髪をアレンジしてもらって学校に向かう。
私の家は学校まで15分かかる。
高校は家の近くの学校を選んだ。
その方が楽だしね。
学校についたら席に座る。
私には友達がいない。いわいるぼっちだ。
まあしょうがないよね………。
でもいいの、一人でも楽しいからね。
授業は楽しい。
だって勉強に集中して他のことを考えなくていいからね。
でももうちょっとで授業が終わっちゃう。
……嫌だなぁ。
チャイムがなってお昼休みになる。
私はこの時間が嫌い。
お昼を持って逃げるように今日も教室を後にする。
だってこの時間はみんなが噂話をするから。
私はそれを聞きたくはない。
教室から逃げていつもの空き教室に行く。
ここは誰も来なくて静か。
この時間が一生続けばいいのになぁ。
ってそんなこと考えてる場合じゃない!
早くお昼ご飯を食べなくちゃ!
ママのご飯は美味しいな!
……けどちょっと少ないな。
でもこの事を前にママに言ったら怒られちゃったから。
我慢するしかないよね。
やっと学校が終わった。
今日も疲れたな…。
でもまだこれからだ。
家に帰ったらママがいるんだもん。
……頑張らなくちゃ。
ただいま!ママ!
うん、今日も楽しかったよ。
…………わかった。
あ~あ、殴られちゃった。
いつも家に帰ってきたら体重計に乗るの。
体重が増えていないかチェックするんだ。
いつも通り体重計に乗ったらね…体重が前よりも増えてたんだ。
そしたらね、ママすごく怒ってたの。
なんで体重が増えてるのって。
それで沢山殴られたの。
成長期だからしょうがないけどママはそんなことも言わせてくれない。
でもこれも私にとっては普通のこと。
体重が増えちゃった私が悪いんだもんね。
ごめんね、ママ。
こんなことが毎日、毎日続く。
あ、明日は学校がお休みだ。
学校がお休みの日は1日ママの着せ替え人形になるの。
すごく疲れるけど反抗したらまたママに怒られちゃう。
だから我慢するの。
あぁ…明日なんか来なければいいのに。
…………今日はなんだか疲れてるみたい。
もう寝よう。おやすみなさい。
私は可愛くいなくちゃいけない。
だって女の子だもんね。
そうじゃなきゃママは愛してくれない。
でも……でも…もう疲れたな…。
だって私、“女の子“じゃないもん。
ママはね女の子が欲しかったんだって。
自分の子の髪をアレンジしたり一緒にお洋服を見に行ったりすることが夢だったらしい。
そんななか“私“、いや“僕“が生まれた。
お母さんは僕が生まれた時すごく怒ったらしい。
娘が欲しかったのに息子が生まれたから。
僕が小学生に上がる時お母さんは僕に言ったんだ。
女の子の服を着て、一人称は僕じゃなくて私よって。
僕ははじめは混乱した。
だって僕は男の子で女の子じゃない。
だから反抗した。
そしたらお母さんは顔をしかめた。
そして僕のことを殴った…。
今までみたことないくらい怒っていた。
僕は怖くて頷いた。
……嫌、頷いてしまった。
それから僕の生活は変わっていった。
女の子の服を着るようになって、喋り方も女の子みたいな喋り方になった。
“ママ“に言われて髪も伸ばした。
これでもう怖い思いはしないと思った。
けどね……そう上手くはいかなかったんだ。
クラスの皆には僕が男の子なのに女の子みたいな格好をしているから馬鹿にされて陰口を言われる、虐められる。
こんな格好をしてるのは可笑しいって、気持ち悪いって言われる。
先生に相談してもそんな格好をしてるから悪いんだって言われる。
好きでこんな格好をしているわけじゃないんだけどなぁ。
僕だって普通に男の子の格好をして友達と遊んでみたいよ…。
普通になりたいよ…。
あぁ…でも僕には一生無理かな…。
だって僕は、私は、ママのお人形だもん。
ママには一生逆らえない。
あ~あ一生ママの操り人形だろうな。
最近は身長も伸びてきてどんどん体重が増えていってるよ。
またママに怒られちゃうな。
また殴られちゃうな。
もうどうしたらいいんだろう。
泣きたいな…。
逃げたいな…。
消えたいな…。
………死にたいな。
もういいよね…。
頑張ったよね…。
ずっとママの言うことを聞いてきてもう疲れちゃった。
僕は男の子としていたかった。
女の子になんかなりたくなかった。
だって僕は男だから。
もし…もし生まれ変われるならその時は普通になりたいな……。
普通に生きていたい…な…。