Right, there is nothing …… 019
_木工用ボンド
私のなかでいまだに接着材なのに接着剤に思えない存在が木工用ボンドだ。
この木工用ボンドはもともと存在しなかったように思う。
もちろん商品なのだから開発される前は存在しないのでそういう意味ではなくて、もともとあったプラスチック用接着剤の後から「新しいライン」として生まれたのが木工用ボンドだというわけだ。このあたり裏を取ったわけではないのでまちがっているかもしれないけど。つまり私の記憶のあいまいさからのイメージ、私の勝手な木工用ボンドに対する思い入れの話として読んでいただければ幸いだ。
透明に近い接着剤や黄色っぽい粘り気のあるボンド、これもすごいかたよった記述ではあるけど、そのようなイメージを持っていた私の前に突如として現れたのが白い木工用ボンドだった。
木と木がボンドでくっつくというのと、色が白いというのはまぎれもなくスターの登場であり画期的だった。どのくらい画期的だったかというと、もうとにもかくにもなにがなんでもくっつけずにはおれないくらいだった。
近所の資材置き場で適当に小さな木片を拾っては、そのとろりとして、すは~んと鼻をつくにおいのボンドでくっつけてはまたはがしてを繰り返し、接着面をなんどもなんども確認していた。こどもがなぜこのような木工用ボンドの研究チームのようにそこまでしなくちゃならないのかはよくわからないのだけど。
さらに、木工用ボンドのすごいところは乾いた後に透明になることだった。
そのチャームポイントを接着面として隠しておくだけではもったいない、と私は木の表面に塗り、ながめては、その透明になったボンドをはがすことを繰り返した。
いまは、そこらへんにドテッと転がっている木工用ボンドだけど、ただの接着剤ではないという私のイメージはいまなお健在である。
2009年12月14日 セサミスペース M (Twitter)