No.16 話してくれてよかった。でも母凹む。長女の告白。
最近長女が経験した、長女にとっての大きな出来事について、ことの発端からそれが解決したことまでの話を昨夜聞いていた。
自分自身で考えて対応し、それが上手く着地したことを興奮気味で三時間くらい話していた。
その話の勢いで、
「お母さんに言いたいことがあるんだけどね」と、長女がずっと胸の中にしまっていたという、幼い頃の出来事を話し出した。
小学校の一年生くらいの時に、
「ママは弟ばかりに手をかける」
ある時、泣きながらわたしにそう訴えたらしい。
それを聞いたわたしが
「そんなことで泣くなんて、かわいい」
とかなんとか笑いながら言って、一週間くらいそのことを長女に言い続けたそうだ。
それが幼い長女にとっては、自分の気持ちを泣きながらママに訴えたら、そんなことと言われ、笑われ、その後一週間もからかわれた。
と、大きな悲しい記憶として残っていたらしい。
驚いた。
でも全く記憶にない……
長女から聞いて、その場面を想像してみたけれど、その時の自分が、どう思って、どんな気持ちでそう言ったのかが全く想像できない。
なに、そのわたし。
「そうだったんだ。ごめんね。
淋しかったのかな。
思い切って言ったのかもしれないのにね。
そんなこと言われて、悲しかったよね。
なんてことしたんだろうね。ごめんね」
と長女を抱きしめてあやまった。
「そうか……弟のことばっかりって感じていたんだね。確かにね……弟は手のかかる人だったから、実際にあの子にかける比重が大きかったのは自覚していたんだよね。
淋しく感じていたなんて、ごめんね」
本当に全くその時の自分の感覚がわからなかった。
あぁ、あの時はこう言う状況だったんだよ、って
自分で自分に同感も共感もわいてこない。
その時のわたしのことが理解できない。
そしてなぜか覚えていない。
長女は笑って、
「いや、いいけどさ。
でも、わたしもどうしてお母さんがそんなこと言ったのか全然ピンとこないんだよ。
考えても、お母さんがそんなこと言ってわたしのことからかうかな? って、そんなことするはずないよな? って思うんだよね。
だから、なんか不思議な感じがあるんだよね。
大きくなって普通に考えてみたら、
あー、小さい時から弟は手がかかったよなあって。
わたしもそのことずっと見てたし、なんなら今だって、ずっとあの人そのままだし」
だいぶショックだった。
ずっとその記憶を胸の奥に抱えていたなんて。
そして、ママは弟ばかり……と淋しさを感じていたなんて、ごめん。
少し大きくなった時に、頭では、あの状況は仕方がなかったと理解しても、その時の傷ついた気持ちはずっとそのままで、大学生になった今も、まだ記憶も感覚も残っていて、ようやく、昨夜、勢いでわたしに伝えることができたのだ。
しかもとても言いにくそうに。
勇気がいる告白だったと思う。
そして、
「わたしが泣かなくなったのは、その時からだと思う」
と続けた。
「多分、泣いても何も解決しないと思ったんだよ」
ああ、そうか……
そう。長女は泣かない。
泣きそうなのに泣かない。
いつの頃からかそうだった。
その出来事がきっかけで
涙をたくさん自分の中に隠してきたんだな……
もしかしたら、泣いても何も解決しないと思ったのと、泣いて余計に傷ついて、泣くのが恐くなったのかな。
わたしは、あぁそうだったのか。そんなことがあったのか。
そう思い、静かにショックで、せっかく話してくれた長女にうまく声をかれられなかった。
こうして書いていも凹む。
そういうこと、子供達にとってはきっとたくさんあるのだろうな、と思ってはいたけれど、実際知るとやはりショックだった。
そんな傷跡残してしまって、ごめん。
「今こうやって、そのことを話せる関係性ってことだよ」
と言う、長女の言葉に少しだけ救われる思いだった。
話してくれてありがとう。
話してくれて、あなたの気持ちを知ることができてよかった。
あなたのその出来事を、わたしと共有してくれて、ありがとう。
今日も幸せな一日でありますように。
Love & Peace,
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