SESエンジニアが共感する日常“あるある”まとめ
現在SES企業に所属して客先常駐で働いているエンジニアの皆さんなら、「あるある!」と頷いてしまう日常の光景や悩みがいくつも思い当たるのではないでしょうか。本記事では、SES特有の働き方から生まれるエピソードや、技術・キャリア面でのSESエンジニアならではの“あるある”をまとめてご紹介します。メリット・デメリットも交え、思わずクスッと笑えて共感できる内容をお届けします。
常駐先で働くSESならではの経験
● 「自分は一体どこの所属?」アイデンティティの迷子
SESエンジニアは自社ではなく常駐先企業で日々働くため、所属意識が薄くなりがちです。常駐先から支給された社員証や名刺を渡され、「あたかも常駐先の社員のように振る舞ってほしい」と言われることもあります。クライアント先との打ち合わせで自社の名刺は使えず、常駐先の名刺を出す…なんて場面で「自分は一体、どこの誰なんだ…?」と不思議な気持ちになるのはSESあるあるです。普段は客先と自宅の往復で、自社にはほとんど寄り付かないため、余計に自社への帰属意識が持ちにくいですよね。
● 謎のイベント「帰社日」
そんなアイデンティティ喪失を少しでも防ごうと、SES企業の中には月に一度の「帰社日」を設けているところもあります。毎月末や月初に半日だけ自社に戻り、社員同士で近況報告や情報共有を行う行事です。普段会わない同僚や上司と顔を合わせることで「ああ、自分は○○社の社員だった」と再認識できる貴重(?)な時間です。とはいえ常駐先では引き続き他社の名刺を使って働くわけで、根本的なモヤモヤが晴れるわけではありませんが、「ないよりマシ」ということで多くのSES企業が取り入れています。
● 常駐先ごとの文化に適応
客先常駐のSESエンジニアは、配属される企業ごとに異なる社風・ルールにその都度合わせる器用さが求められます。服装規定や勤務時間、使用する開発ツールから会議の進め方まで、常駐先によって千差万別。「前の現場では許可されていたことが、今の現場では禁止されていて戸惑った」なんて経験もあるでしょう。新人として紹介されるたびに社内システムのアカウント申請やらオリエンテーションを受け直し、「自己紹介ループ」に陥るのもあるあるです。逆に言えば様々な職場の文化を知ることで適応力が鍛えられ、「カメレオン社員」的なたくましさが身につくとも言えます。
契約形態・プロジェクト移動にまつわる“あるある”
● 面談はまるでプチ転職活動
SESエンジニアにとって、客先との事前面談は避けて通れない関門です。自社に採用された後も、案件ごとに常駐先企業の担当者との面談(≒実質的な面接)に臨まなければなりません。案件によっては一次受けから二次受け、三次受け…と複数の会社が間に入っており、面談当日には自社の営業さんだけでなく他社の営業さんにも次々と引き渡され、現地まで“エスコート”されることもあります。「A社の営業に連れられて駅で待ち合わせ → B社の営業にバトンタッチ → 客先エントランスでC社の営業にバトンタッチ」というように、面談前に人材がたらい回し(通称ドナドナ)される様子は、まるで人身売買のようだ…と感じたら負けです。多重下請け構造の末端に近い案件ではよくある光景で、中間の会社A社やB社にもマージン(中抜き手数料)が発生していると思うとちょっと複雑な心境になります。
● 「偽装請負」のグレーな指示
客先常駐の契約形態は本来「準委任・請負契約」であり、派遣契約とは異なるため本来は常駐先から直接業務指示を受けてはいけない建前になっています。しかし現場では実質的に常駐先社員の指示の下で働くことが多く、契約上はNGでも黙認されているケースが少なくありません。「○時までは残業していってね」などと常駐先の上長から当たり前のように命令され、「これって偽装請負では…?」と疑問に思う場面もSESあるあるとして耳にします。もちろん違法行為なので本来あってはいけないのですが、残念ながら業界では「割とよくある話」として起こりがちです。こうした理不尽な環境に当たってしまったら早めに抜け出すのが吉ですが、SESエンジニアとして働いていると一度や二度はこうしたグレーな職場に遭遇してしまうことも…。
● プロジェクトガチャ:当たりもあればハズレも
SESの契約は基本的にプロジェクト単位。期間満了や途中終了などで定期的に配属先が変わるため、まるでガチャを引くように毎回違った環境が待っています。なかには「大当たり!」と思うような素晴らしい現場もありますが、逆に通勤片道2時間以上かかる遠方の現場に当たってしまうハズレ枠も…。実際、「家から電車で片道2時間以上かけて常駐先オフィスに通った」という体験談も珍しくなく、SES界隈では「案件ガチャで交通費の高い辺境地を引いてしまった」なんて自虐が盛り上がることもあります。あまりに常駐先が遠すぎると「さすがに毎日旅行気分で通勤はキツい…」と嘆くエンジニアも多いですね。
また、プロジェクトごとに新しい職場に飛び込むため、人間関係も一から構築し直しです。常駐先の雰囲気やチームと合わず「ここでは長く続けられないかも…」と感じたら、早々に常駐先変更や転職を考えてしまう人もいます。ある意味リセットが利くので合わない環境から抜けやすい反面、頻繁に職場が変わる不安定さにストレスを感じる声もあります。毎回初日に「よろしくお願いします!」から始める落ち着かなさもSESならではですね。
● 名刺ホルダーがパンパンに
案件が変わるたびに一緒に働くメンバー企業も変わるため、業務上名刺交換をする機会も多くなります。気づけば様々な会社の名刺が手元に山ほど残るのもSESあるあるです。プロジェクト期間中にお世話になった人脈が次の現場で思わぬ助けになることもあり、人との繋がりが広がっていくのはSESという働き方の密かなメリットと言えるかもしれません。名刺コレクションが充実していくたび、「自分も業界内で顔が広くなったなぁ」と実感することでしょう。
技術スキル・キャリアに関する“あるある”
● スキルがつかない雑用案件に当たる
SESエンジニアの仕事は配属先のプロジェクト内容に大きく左右されます。場合によってはエンジニアリングとほとんど関係ない単純作業ばかり任されることも…。たとえば「IT系と聞いていたのに実態はコールセンターのオペレーター業務だった」「ひたすらマニュアル通りにテストを繰り返すだけ」といった低スキル案件に放り込まれてしまい、「こんな作業ばかりで自分は成長できるのか?」と不安になるのは定番です。実際、SESでは人によってはこうした雑務的な現場ばかり担当させられることもあり、「スキルが身につかない…」という嘆きは多くのエンジニアが共感するところです。
● スキルシート盛り盛り問題
常駐先に提出するスキルシート(経歴書)もSESならではの苦労があります。自分の実力以上のことを書かれてしまったり、実際は触ったことのない技術や経験年数を“盛る”よう経歴詐称を半ば強要されるケースです。もちろん本人に悪意はなく会社都合で書かれてしまうのですが、そのまま面談に通って配属されると現場で業務についていけず冷や汗…なんて事態にもなりかねません。SES企業はエンジニアを送り出してナンボの世界のため「多少盛ってでも案件にねじ込もう」とする傾向があり、こうした経験をしたことがある人は少なくありません。「スキルシートが自分の実像とかけ離れている」も闇深い笑い話として語られるSESあるあるです。
● OJT即戦力の洗礼
SESでは未経験で入社しても体系だった研修が用意されていない場合があります。新人研修よりも現場に出して早く利益を上げたい会社だと、いきなり常駐先に配属されて右も左も分からないうちに業務を丸投げされ、「聞いてないことばかり……!」と四苦八苦するパターンも珍しくありません。もちろん、現場で実践を通して学べるのは大きな強みですが、研修期間が短く雑な扱いをされるとモチベーションを失ってしまう人もいます。
● キャリア形成は自分次第
SESエンジニアのキャリアは、基本的にどの案件にアサインされるかで大きく変わります。大規模なシステム開発プロジェクトに入れてスキルアップにつながる人もいれば、雑務で終わってしまう人もいます。最終的には「自社を信じられるか」「自分のキャリアを主体的に考えて動けるか」が大事です。自分で会社や現場を選ぶ力があれば短期間で多様な経験を積みつつ、将来的にフリーランスや他のIT企業へ転職することも可能です。一方、受け身でいるとスキルも経験も積めずに時間だけが過ぎてしまう恐れがあります。
SESのメリット・デメリット
メリット
多様な案件を経験できる: 色々な現場を渡り歩くことで幅広い知識やスキルが身につく。
人脈が広がりやすい: プロジェクトごとに様々なエンジニアやクライアントとつながるチャンスがある。
合わない職場から抜けやすい: 期間契約なので、短期で次の案件へ移ることが可能。
デメリット
安定感に欠ける: 常駐先の契約が切れると次の案件にすぐアサインされるとは限らない。
スキルアップが運に左右される: 案件ガチャで成長できる環境に行けないと、なかなか力が身につかない。
所属意識が希薄になりがち: 自社に帰らない、常駐先にも正式社員ではない、という環境でモヤモヤが募る。
まとめ
SESエンジニアとして働いていると、「あるある!」と思わずうなずいてしまう場面が日常的に訪れます。常駐先ごとの文化の違いや契約上のややこしさ、プロジェクトごとの当たり外れなど、大変なことも多いですが、それらを通じてどんどん適応力や人脈が広がっていくのも事実です。こうした環境でキャリアを築くためには、自分の目指す方向を明確にし、主体的に案件やスキルを選び取る意識が重要になります。
「SESあるある」を共有して共感し合いながらも、今の現場が合わないなら転職や別のプロジェクトを検討したり、逆に現場が当たりならチャンスを活かして技術を習得したり。常駐先や会社に振り回されるだけでなく、自らの意思でキャリアを切り開く意識を忘れずに活動していきたいですね。