木のオーラ
いつも通る道沿いに、大きな街路樹がたくさん並んでいる。
500メートルくらい続いているかもしれない。
木の前側にはツツジが延々と植えられていて
きれいに四角く刈り込まれている。
ツツジは時期になると鮮やかなピンク色の花を咲かせて楽しませてくれる。
途中には小さな花壇もあって、季節ごとに花も植え替えられ
色とりどりに咲いている。
わたしはいつも街路樹たちやお花やそこに集まる小鳥さんたちと
会話をしながら歩いている。
数日前の朝、いつものように街路樹たちと会話をしようとしたら
たくさんの街路樹たちがザワザワと騒がしい。
ここの街路樹たちはかなり大きくて、背は2階建てのビルか
それより高い木が何本もあると思う。
会話をしようとするとわたしは、少し上を向く格好になる。
しばらく上を向いたまま繋がろうと歩いていたけど
街路樹たち同士がずっとザワザワ会話をしていて
いつものように交流ができなかった。
その代わり光の子がいつもよりたくさん来ていて
街路樹の少し上の場所に集まっていた。
その時は、なにかのイベントでもあるんかな?くらいに思っていた。
木や花はいつも仕事をしているので
忙しくしている時は邪魔をしないように
わたしはそっと眺めるだけにしている。
小鳥さんたちもこの日の朝は大人しかった。
わたしの職場のビルは街路樹のすぐ隣に立っている。
わたしが勝手にポプラさんと呼んでいる木は
職場のビルの3階のわたしの席から窓越しに
上の部分が真横に見える。
仕事中、朝の街路樹たちのことが気になって
ポプラさんを見てみた。
いつもポプラさんの周りには黄色のきれいなオーラが
大きく広がっていて、外側の縁の辺りに金色の光が
いくつかキラキラ光っていたのに
この日のポプラさんのオーラはいつもの半分くらいになっていた。
わたしはポプラさんが病気になったのかと思った。
植物は人間が元気がない時や病気の時に、
自分の光のエネルギーをわたしたちに流して分けてくれる。
わたしは、このビルの人たちがたくさん病気になって
ポプラさんが無理して仕事したんかな?と思ってみたり
ポプラさん自体がなにかの寄生虫?とか菌?にやられて
一夜にして光が半減してしまったんかな?と一瞬思ったが・・・
だったら他の街路樹たちがほっとかんやろ!と思い直し
仕事そっちの気でポプラさんの光に集中してみた。
ポプラさんは弱っていなかった。
わたしの仕事場のビルは街路樹の南側にある。
ポプラさんは街路樹たちと並んで立っていない。
街路樹たちからは離れていて、
わたしたちのビルをはさんで南隣に立っている。
ビルは街路樹とポプラさんにはさまれるような立地にある。
ポプラさんのオーラは人間の指のようにひゅーっと
職場のビルをまたいで、街路樹の方へと伸びていた。
わたしの部屋からは街路樹が見えないが
朝の街路樹たちの騒がしさや、ポプラさんの状態を見ると
街路樹たちになにかあったに違いないと思った。
それから仕事がたまってきたので、この日は一日忙しかった。
やっと終業時間になって、少し早歩きでビルの玄関に出たら
すぐ目に入ってきた。
街路樹の半分くらいがバッサリ刈り込まれていたのだ。
とても驚いた。
それでも木のオーラは元の形を残していた。
少し切なくなった。