UX Days Tokyo 2019 メモ: Krystal Higgins 「継続的ユーザーオンボーディング」 (1)
ユーザーオンボーディングのゴール
「ユーザーオンボーディング」という言葉がよく聞かれるようになってきた
そこに明るい展望があるから
ユーザーを上へ引き上げ、エンゲージメントを高め、定着させてくれる
オンボーディングをうまくデザインすれば長期にわたって製品が使ってもらえる
そもそもオンボーディングの最終ゴールはどこにあるのか。
昔はセットアップのためのウエルカムスクリーンが完了した時点がゴールだと思っていた。
アプリやWebの世界ではそれでは不十分であることが分かってきた。
常に進化するデジタル製品はシナリオなども常に変化し、いつでも放棄されてしまう。「ここで終わり」ということはない。
ユーザーオンボーディングは出だしの問題だけ解決すればよいという物ではない。
ユーザが製品の変化に対応できなければ、ユーザのフィードバックに追随できなければユーザが離れてしまう。
初回のインストラクションはとても限定的であり、ユーザが製品とともに旅をするのをサポートするための多様なガイダンスが必要。
オンボーディングの最終的な目的は長期的な視点からの定着・エンゲージメント。
オンボーディングの長期的な視点からの設計
オンボーディングは複数の役割がある
ユーザに商品を知ってもらう、なじんでもらうためだけではない。
・Familiarize (親しむ)
・Learn (学ぶ)
・Convert (コンバージョン(サインアップなど特定の動作をしてもらう))
・Guide (ユーザを次のステップへとガイドする)
これらは1日でなされることではない
何ヶ月という長期的な視点で作っていく
MITの新入社員へのオンボーディングプログラミングの例
6ヶ月くらいかけて行われる
デジタル製品へのオンボーディングはそこまで長く考える必要はない。
Quettra社の2015年に行われた調査によれば、アプリを継続的に使うかどうかは最初の3〜7日間で判断される。
アプリを継続的に使ってもらうためにはオンボーディングをこの期間に効果的に行う必要がある
2つの事例
lumosity (脳トレアプリ)
インタラクティブなスターターゲーム(チュートリアルとなるゲーム)で慣れてもらう。
これらによりユーザの現在の実力を把握できる
同時に、ユーザを有償のサービスに誘う。
たとえば、翌日有償契約しなかったユーザに前日の成績のサマリーをメールし、さらに1日の無料期間を与えるなどしてたたみかける。
有償契約したユーザに対しても働きかける。
引き続き使い続けることで新しいゲームのアンロックできることを知らせる
IFTTTの例
様々なデバイス・サービスをアプレットと呼ばれるパーツを用いて結びつけるサービス
すぐに有償契約を進めるのではなく、他の人が作ったアプレットを試してもらうことでなじんでもらう。アプレットを気に入ったらコンバージョン(契約)を勧める。
そのあと、他のアプレットのリコメンドを表示し、さらに深く使ってもらうようにする。
このようにオンボーディングに時間をかけることでより効果的に行うことができる。時間をかけることで、サービスのコアとなるコンセプト・価値を強化し、ユーザに覚えてもらうことができる。
忘却曲線
1度だけのインストラクションではこのように急激に忘れられてしまう。
1日後に1/3覚えていてもらえればよいくらい。
複数回、反復してオンボーディングを行うことで記憶と動機付けを強化することができる。
このような強化は先述のlumosityでも行われている。彼らはユーザに動機付けするために知的スキルをトレーニングするという体験を定着させている。
すなわちオンボーディングは1度だけ行う物ではなく、反復することでカスタマージャーニーを助けることになる。
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