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自然な体

九月に降る雨は
八月に降った雨より
ほんのり冷たく感じる

それを
ぼくは哀しみとして
捉えず
囚われずにいられたなら

自分側に
あるような
この偏りにさえ
ホントの事が
あるのではないか?

理由と
呼べないような
訳にも
ならないような

等しくなった
記憶の伸縮の幅
波長の長さには

やわらかく
なつかしく
指先でなぞることも
爪先でたどることも

少し歩いた道程を
後ろを振り返ると

すぐ近く
隣りに居た
あなたの姿は
遠くなっていて

前よりも
この場所からは見えにくく
随分と離れていた

自己との
距離があることを
再び確認する

前を向き直して
半歩踏み出す前に

足元
スニーカーの靴紐が
ほどけていることに
ぼくは気付く

地面の土が
掘れていた

その穴のカタチは
自分自身の
足の大きさに等しく

それが
自分の足跡であったことに
また、ぼくは気付く

もう一度
後ろを振り返ると

この
目の前の
たったの一瞬に

こんなにも
色色な想いが
溢れていて

様様なる
人人との出会いがあって

よく自分は
ここまで
こんな場所まで辿り着けたと

また
知らず知らずのうちに
独り言を呟く

何が変わったのかも
わからないくらいに
進行形としての
現在を感じて

さらに
遥か先に
旅の途中に
魅力を感じている自分に

物語
ストーリーとしてではなく
具体的なイメージとして
存在した自分に

何かしら?を
届けるような想いで
空を、宙を見上げていた

暗闇の中心から
空っぽになった素直さを

今、流れた
星の軌跡を
長い睫毛で追いながら

ヒトには
話せないような話を
誇大の妄想を
古代の空想であるかのように

輝いていたのは
ぼくじゃなくても
自分が
星にはなれなくたって

十月の朝は
やってくるから
秋になるのなら

自然体のまま
生きてみよう

ぼくというヒトを

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