◇好評連載【人生を彩るサイエンス30】”太陽” 全てのエネルギーの源
太陽の正体
太陽は何でできているのでしょうか? 太陽の75%は水素、25%はヘリウムでできています。地球のように固い岩石でできているのではなく、そのほとんどがガスで構成されているのです。
「太陽が燃えている」という表現はよく使われますが、実際に燃えているわけではありません。核 融 合 反 応 ( かくゆうごうはんのう ) という現象が起きているのです。
全ての物質の基本となる原子には、真ん中に原子核という重い部分があります。水素原子の原子核同士がぶつかり合うと、より重いヘリウム原子ができることがあります。この現象を核融合反応といい、このときに莫大なエネルギーが生み出されます。
この核融合反応を利用した発電方法が、未来のエネルギー源として研究されています。
太陽の温度
激しい反応が起こっている太陽の温度は何℃でしょうか? 太陽の表面は約6000℃、一番温度の低い黒点と呼ばれる位置でも、約4400℃になります。また、内部はもっと高温になり、中心部では約1500万℃と推測されています。
太陽の表面から2000㎞離れた位置に、薄くもやがかかったような大気層があります。この部分は コ ロ ナ と呼ばれ、表面から離れているのにもかかわらず、その温度は約100万℃にも達します。これはまるで、冷たい氷の上で水が沸騰している不思議な状態です。この原因は解明されつつありますが、まだまだ説明できない点が多いです。
母なる太陽は未だ謎多い存在です。
太陽からのエネルギー
太陽からは熱と光が絶えず降り注いでいますが、そのエネルギーはどれくらいでしょうか?
太陽から地球に届く光エネルギーのうち、実際に人類が利用可能な分は約1ペタワット(千兆ワット)と言われます。これは世界のエネルギー消費量の約60倍です。また、中国にあるゴビ砂漠の半分の広さに、太陽光パネルを設置して発電を行なうことができれば、世界のエネルギー需要を満たすことができます。実行するにはさまざまな問題点がありますが、実現できれば原子力発電の問題や地球温暖化の問題が解決できる夢のような話です。
いつも科学を頭の片隅に。
(田村 尚之)
太陽からのエネルギーの収支
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科学コラム
太陽の年齢は約46億歳です。すでに、燃料である水素の約半分を使い果たし、残りの寿命は約50億年くらいであるといわれています。寿命が尽きるころには、太陽は現在の2倍の輝きを放つようになり、地球には何倍ものエネルギーが降り注ぎます。その時には人類どころか、生命は存在していません。
肉体が滅びても、人類を動かす生命エネルギーは、空間を超えて別の星で生き続けるのでしょう。
太陽の死の姿と推測される惑星状星雲
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