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エジプトの王様が愛した野菜は夏の強い味方です。【新食べ物通信 No.8 モロヘイヤ】

何千年もの歴史がある神秘の野菜

 皆さんは、モロヘイヤはお好きでしょうか。茹でて葉を細かく刻むとオクラのような粘りが出るのが特徴です。クセのない味わいで喉ごしよく食べられるので、暑さで食欲のない時期にも食べやすい野菜です。おひたしや納豆などと合わせて食べる方が多いと思います。

 モロヘイヤの原産地はインドですが、エジプトを中心とした西アジアでよく栽培されてきました。古くはエジプトの王族がモロヘイヤのスープで病気を治していたと言われるほど、滋養強壮に良い野菜として親しまれていました。日本に入ってきたのは昭和30年代(1950年代)と言われており、1980年代に健康ブームが起こったことで多くの人に認知され、国内栽培も広く行なわれるようになりました。

力強い野菜からパワーを得る

 モロヘイヤは双子葉類シナノキ科ツナソ属の一年草であり、黄麻(ジュート)の仲間になります。乾燥や病気に強く、一度植えたら切っても脇から新葉が生えてくるほど、自生力の強い丈夫な植物です。グリーンカーテン(つる性の植物を、窓の外や壁面に張ったネットなどに這わせてカーテンのように覆ったもの)として育てることも可能で、家庭菜園にも人気のある野菜です。

 そんなモロヘイヤは、現代人に不足しがちなビタミンA、C、Eやカルシウムなどのミネラル、食物繊維を豊富に含むことから「野菜の王様」として知られています。特にβ―カロテンの含有量が野菜の中でもトップクラスです。β―カロテンは抵抗力を高め、風邪や生活習慣病の予防、眼や皮膚などの粘膜の健康を保つ働きがあります。油との相性が良い栄養素であるため、炒め物や揚げ物などにすることで吸収率が上がり、効率よく摂ることができます。

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免疫を強化して夏の暑さに負けない

 ビタミンA、C、Eは抗酸化力が強く、シミ、シワ、乾燥、細胞や血管の老化を防ぎます。また、体を守る白血球の働きを強化して免疫力を高め風邪予防にも役立ちます。夏は冷房の風や、室内外との急激な温度変化によって風邪を引きやすい季節でもあるため、意識して摂りたい栄養素です。

 ネバネバ成分は水溶性食物繊維のムチンという良質なたんぱく質です。便秘解消などの整腸作用が期待できます。その他、胃壁や消化器の粘膜保護、コレステロールの吸収や食後の血糖値を抑える効果があります。

 カルシウムは小魚よりも多く含まれており、中枢神経を鎮め、ストレスを緩和する働きがあります。カルシウムはきのこ類(ビタミンD)と一緒に摂ることで体内への吸収率が上がります。そして充分な栄養を摂った後、適度に日光を浴びることで骨の強化に繋がります。

新鮮なものを選んで栄養を逃さない

 選ぶ際は、鮮やかな緑色で葉がしおれておらず、瑞々しくてピンと張りがある元気なものを選んでください。葉先や切り口が変色しているものは収穫してから時間が経っている可能性が高いので、できるだけ避けましょう。茎部分も張りがあり、切り口が乾いていないものがおすすめです。

 収穫から時間がたつと葉が固くなり食感や味が悪くなります。購入後はポリ袋に入れて野菜室で立てて保存し、1~2日以内に食べきるのがおすすめです。それ以上であれば、葉部分を取り分けさっと下茹でして水を切り、ラップなどで一食分ずつ小分けにして冷凍保存することで、調理の手間も省けて便利です。

 ただモロヘイヤは灰汁のある野菜ですが、長時間加熱してしまうとせっかくの栄養が損なわれてしまうため、加熱はさっとすませるようにしましょう。

 エジプトの王様も愛したと言われるモロヘイヤを活用し、夏の暑さに負けない健康的な身体を目指しましょう。(五島沙也可)

モロヘイヤとイカのオイスターソース炒め(2人分目安)

モロヘイヤ 7~8本
イカ 1杯分
ぶなしめじ ¼株
たまねぎ ¼個
ごま油 小さじ1
オイスターソース
小さじ½
塩 ふたつまみ
レモン お好み

① モロヘイヤはよく洗い、葉の部分をとりわけ、ざっくり切る。イカは骨と内臓を取り除きよく洗い、輪切りにする。しめじは子房に分ける。玉ねぎは薄くスライスする。

② フライパンにごま油を熱し、玉ねぎとしめじをさっと炒める。イカと塩を加えて炒め、色が変わってきたらモロヘイヤとオイスターソースを入れる。モロヘイヤがしんなりするまで炒める。

③ 器に盛りつけ、好みでレモンを添えていただく。
 このほかにもたくさんのレシピが公開されています。美味しい食べ方を見つけてください。

57Pイカ

57Pオイスター

57Pモロヘイヤ


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