◇好評連載【新連載「経済」「効率」優先から「命」優先の選択へ】
~幼いころからの化学物質過敏症が
杉板パネルを敷いてから薄れました~
阿部 慶介 自然食の店あべ店主(埼玉県春日部市)
住環境や除草剤の影響を受け
母と愛犬に出た症状
私は、両親が始めた自然食品店に生まれて育ち、今では48年続く店舗を受け継いで家族と営んでいます。今の私があるのは、母と愛犬に出た症状がきっかけで、本気で衣食住、医学、建築などすべての分野において本当の情報を調べ直し、学び直す必要があると考えたことでした。
いろいろ調べている時に、医療・環境ジャーナリスト船瀬俊介さんとのご縁に恵まれました。船瀬さんは、多岐の分野にわたり、たくさんの書籍を出されており、とても分かりやすく、学べて感謝しています。そのほかにも、自然療法や様々なお医者さんの情報も調べました。
その当時、母は脳梗塞(のうこうそく)、脳腫瘍(のうしゅよう)と診断され、すぐに手術が必要とお医者さんから言われました。私は、自然食の知識や食事法、無肥料自然栽培の知識、そして医療問題など、船瀬さんからたくさんのことを教えて頂いたこともあり、母を病院から退院させ、自然療法を含めた様々な手当をしながら看病して来ました。
母の症状は、近隣にまかれた除草剤や農薬、そして降圧剤の薬などの影響、石油ストーブによる空気の汚れがあると推測していました。また、某ハウスメーカーの住居に長年住んでいることも影響しているだろうと思っていました。愛犬にもその影響があり、そのような状態と住環境を変えたいと思っていました。
私自身は、小さい頃から今で言う化学物質過敏症に苦しんでいる一人でした。物心ついた頃から、喘息、アトピー、慢性鼻炎があり、とても苦しい毎日を過ごしていました。
父と母は、住居である建物や、空気や水、食べ物が影響していると思えなかったのではないでしょうか? 今、両親に当時のことを聞いても、あまり覚えてないようです。
当時の我が家の食事は、自然食品店を営んでいましたが、和食を中心に減農薬の玄米(無肥料自然栽培のお米をまだ知らなかったので)を取り入れたりしていましたが、空気や水、食べ物、建物、医療などが身体や、精神的な症状に影響することは、当時の状況からではなかなか結びつけることは、できなかったと思います。
家の床に敷き詰めた杉板パネル(60cm×60cm)
愛工房のワークショップで
求めていた物に巡り合う
結婚して妻と住む住居を探している時のことです。建築素材の悪影響について、いろいろ知っていたので借りられる所はほとんどありませんでした。そこで意を決し、伊藤好則さん(愛工房主宰)に連絡を取りました。
先行きのことを考えると不安で一杯でしたが、早速伊藤さんから連絡があり、低温乾燥機に入るワークショップ(体験講座)にお誘いいただきました。
板橋区にある会社(アイ・ケイ・ケイ株式会社)を訪れ、そこに設置された愛工房の建物の中で、たくさんの話を聞き、愛工房の杉の良さ、凄(すご)さを知ることができました。
杉材で作られた愛工房の中に入ると、温かさ、香り、澄んだ空気の気持よさだけではなく、蛍光灯の灯りまで優しく感じられ、私は求めていた物に巡り合えた幸せを直感しました。
その頃に、間取りなど納得いくアパートを見つけて生活を始めました。そこの住環境は一般的な構造で、塩化ビニルクロス、フローリングということから、理想にはほど遠い空間でした。
複合的な要因はあると思いますが、今までにないくらい肌荒れが発症したので、杉板パネルを購入し、実家と我々の住まいに取り入れました。
直接座ることができないほど冷たかったフローリングの床は、杉板パネルを敷くと座れるようになったばかりか、室内の空気が澄んだことで、一気に住みやすい環境に変わりました。もちろん活性機や活水器、浄水器を取り付け、トータル的な環境も整えました。仕事から帰って来て家の中に入ると、杉の香り、部屋に満ちているエネルギーを実感し、とても癒(いや)されると心から思いました。
実家で暮らす母は、息苦しさや目眩(めまい)がありましたが、杉板パネルを敷いてから徐々に薄れ、今では気持よさそうに過ごす姿があります。愛犬には、冷たいフローリングでずっと寝かせていたので、もっと早くから杉板パネルを敷いて暖かい床にすればよかったと、少し後悔が残ります。
某ハウスメーカーの家は、いわゆるプレハブのようで薄っぺらな構造で、夏は暑くて冬は底冷えする寒い住環境です。地震には強いと謳っていることだけを、純粋な父が、そのまま信じている姿を悲しく思うこともありました。
どうにかして、父と母にも本当の気持の良い住環境を、分かち合って欲しくて、どう伝えようか、試行錯誤していました。そのような住環境でも、より良い環境にできる杉板パネルは、とてもありがたい存在です。自然食品店の店頭にも杉板パネルを各所に置き、澄んだ綺麗な空気作りをしています。
現在の世の中の情報の仕組みでは、本当の事を知ることは、とても難しいと思います。誰が良いとか悪いとかではなく、気持の良い環境つくりの選択が、簡単にできる社会が必要なのではないかと思っております。
今では父と母に、そのような経験をできた事を感謝しております。
自然食品店を起点に伝える
空気・水・食べ物の影響
昨年、2020年の梅雨時期に長雨が続き、借りている住宅の下駄箱にたくさんのカビが生え、靴もほぼすべてカビに覆われました。ところが同じ場所に置いていた愛工房の製材、杉板パネルにはカビが生えませんでした。それは、生きている杉を実感するエピソードです。
これからは、お店でも今まで以上に澄んだ綺麗な空気の大切さを伝えたいと思っています。それには、我々の住環境で気持良さを経験して、愛工房の杉の良さを繋(つな)げられるようにして行きたいことです。
今年には、愛工房材を使って家を建てる計画をしています。小さな住居でも気持の良い空間で生活することを早く実現します。そして、お客様にもモデルルームのような施設で体感していただける空間を作って行きたいと思っています。
それによって、空気、水、食べ物、建物が、私たちの身体にどのような影響をおよぼしているか、簡単に、分かりやすく伝えられるよう、今後の取り組みを強化して行きます。
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「出会い」と「きづき」の交差点は
「あい」の交差点
自然食の店あべ
伊藤 好則 アイ・ケイ・ケイ株式会社 代表取締役
2018年の3月初旬、メールを頂きました。「初めまして、阿部慶介と申します。以前、船瀬俊介さんからご紹介いただきまして、ずっとお伺いしたいと思っておりました」と書かれていたので、直ぐに電話を入れると、意を決してという文字通りの感じを受けました。
2日後が「杉浴」の開催日でしたのでお誘いすると、参加しますと即答。その日は一人で参加。翌月からは「杉浴」の開催日に毎回参加され、奥様と二人の時もあり、お母様と三人の時もあります。
ご家族での来訪は、「杉浴」の数日後ご夫妻とご両親4名で来られました。最初の「杉浴」時に、幼い頃から苦しんできた、当然お母さんの健康にも影響を及ぼしたと思われる建物のハウスメーカーの名前を聞いて驚きの半面、ココデモカと思いました。そのハウスメーカーは、本誌2月号に寄稿してくれた娘さんと同じ大手のハウスメーカーでした。当人達が幼い頃からの被害は共通しています。お母さん方も大変な目に遭っています。
日本の建物のほとんどにポリ塩化ビニルが建材として使用されています。供給する側の「経済」と「効率」を優先する、世界に類を見ない、住む人の「命」を脅かす「非健康住宅」です。
船瀬俊介氏から紹介があり、私に連絡をするまでに3年余りの期間があったことを知りました。これまでの方、これから来訪者の中でも、恐らく「最長不倒期間」の方でしょう。
3、4年前に参加された船瀬氏の講演について阿部さんに聞くと、「波動の先生のところ」との答えでした。当日の「波動塾」の講演会には、30名ほどこられていたそうですが、この日が阿部さんの建物について「きづき」の始まりだったと思います。
来訪された当時、阿部さんは39歳。当人が体験した幼い頃からの、苦しみ、悩み、その大きさの分だけ、人の苦しみや悩みが分かり、人に対してやさしくされていることと思います。
安全な食材を扱っている仕事柄、お客さんの中には化学物質過敏症の方もおられ、相談を受けることも多く、「杉板パネル」を貸して体感してもらうこともあるそうです。恨んでも、嘆いても解決しない、今どうするか、どうすべきか、身をもって乗り越えてきたのでしょう。これからも続くことと思います。
先日の電話で「阿部さん、健康や環境問題で苦しんでいる人、困っている人が結構来られるでしょう。そんな人達が来られる貴方のところは、『愛』の交差点かな」と言うと、「伊藤さん私の妻、漢字は違うけど『あい』です」と。「出会い」の交差点。「きづき」の交差点。「あい」の交差点。どの交差点かは受け止める人が決めてくれればいいのです。
阿部さんから先日、みんなのために「勉強会」をやりたいとの電話がありました。人が幸せになってくれること、これを「はたらく(傍楽)」目的とする人に出会いました。
次号は、新築のマンションで始まった新婚生活、三人のお子さんを授かる、が、その時からの戦い。その後に建てた新築の住宅での壮絶な戦い。お嫁に行った娘さんへ贈ったものとは。
……期待しないで……期待してください。
来店するお客様に綺麗な空気の大切さを伝える場所に
して行くという自然食の店あべ