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◇特集「もう知っていますか? 相続の新ルール」
*知っておきたい相談先の選び方
相続に必要な手続きは煩雑な上、期限も決まっていることから、
専門の代行業者に任せることになりますが、特色は様々です。
初期段階でものを言う信頼感と結束
相続の第一段階は、相続人(配偶者の妻と子供たち)が集まって、相続手続きを遂行するのは誰かをハッキリ決めることです。配偶者の妻は、健康上のこと、高齢であること、その他の理由で、相続手続きに関する業務遂行のリーダーとなるのは不向きである場合があります。
そのことは、相続人である子供たちにも言えることです。長男が健康に恵まれていない場合、あるいは配偶者の妻とは遠方に離れて住んでいる、仕事が著しく多忙であるなどの理由がある時は、長女、あるいは次男が相続手続きのリーダーになることもあるでしょう。
相続手続きのリーダーに誰がなるにしても、進み具合は相続人すべてに等しく報告し、時には確認して了解を得ることが大切です。身内だからこそ、報告、連絡、確認は面倒がらず行なわなければならないことですから、先にそのことは確認しておきたいことです。
近年は、核家族が当たり前になって、配偶者の妻と子供たちが別々の家で暮らすことが多くなりました。配偶者が亡くなって、相続人になったからといって、疎遠だった家族の想いが一致し、事を手際よく進めることができると思い込まず、手続きに当たるのがよいと思います。
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遺産相続手続き代行事業者を選ぶ判断の目安
○問い合わせ時や面談時の印象が悪くないこと。
○見積もりに含まれる手続きが明瞭で、追加費用など求められないこと。
○見積もりを依頼した時に、金額が相場で妥当であること。
市区町村の役所で書類の交付を受ける際、入れてくれる封筒に広告している相続手続き代行サービス事業者は、広告料を支払って掲載してもらっていることで、「信頼の証」などの表現は、法律を専門とする業者が用いる表現としては不適切です。このような事業者は避けた方がよいでしょう。
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知っておきたい相続手続き代行業の特色
【相続手続支援センター】
全国の大手会計事務所、司法書士事務所、行政書士事務所など、北海道から九州まで約40カ所に拠点がある相続手続き代行業者で、一括して行なうことになっています。
相続手続きは、戸籍の取得、預金、株式の解約、暮らしの手続、専門的な手続きを合わせると108種類にもなると言われます。ただし、相続人の状況によって異なり、すべての相続人が同じような手続きをする必要があるわけではありません。その点は抑えておきたいことです。
そこで、無料相談によって専門家が必要な手続きは何かを整理し、相続に関する事前調査を行なってくれることになっていますが、無料相談窓口で事前調査をしてもらっても、実際の相続手続き代行業務は別の事務所に廻され、一からの対応になることもあり、気心が合わない業者になる場合がないとは言えず、経費が割高になることもあります。
【司法書士】
身近な法律家と呼ばれ、全国に約2万人の司法書士がいて専門的な法律知識に基づき、土地、建物の登記、会社設立、役員変更等登記の申請、簡易裁判所における訴訟・調停・和解代理、法律相談などを行ないます。
相続手続きでは、不動産部門の処理が強みです。他の専門家に依頼する手続きもありますが、他の業者に比べると比較的割安で、対応窓口も変わることがないという安心感があります。
【行政書士】
扱う仕事の範囲は広く、1万種類を超えるとも言われ、遺言書や離婚協議書、内容証明書の作成も通常の業務で、相続手続きにおいては、遺言書作成、相続人調査、遺産分割協議書の作成、財産調査や遺産目録の作成などが強みです。
相続手続きを一括して受ける所もありますが、業務の範囲が決まっていて、専門家に依頼する分、経費は割り増しになりますが、対応窓口は変わることがありません。
扱う仕事の範囲は広く、1万種類を超えるとも言われ、遺言書や離婚協議書、内容証明書の作成も通常の業務で、相続手続きにおいては、遺言書作成、相続人調査、遺産分割協議書の作成、財産調査や遺産目録の作成などが強みです。
相続手続きを一括して受ける所もありますが、業務の範囲が決まっていて、専門家に依頼する分、経費は割り増しになりますが、対応窓口は変わることがありません。
【税理士】
企業や個人に対して、所得税などの税金に関する助言をし、税務処理の手助けを業務としています。
相続手続きにおいては、相続税申告に力を発揮しますが、費用や報酬だけで税理士を選んではいけないと言われています。
理由は、遺産の分け方次第で納税額が何倍も変わるからで、それは税理士の腕の見せどころです。見極めの一つは、亡くなった方の貯金通帳を見せてくれと言う税理士に依頼することがよいようです。
しかし、税理士事務所が相続手続き業務のすべてを代行できるわけではないのは行政書士と同じで、他の専門家に依頼する分、経費は割高になります。
【弁護士】
法律の知識を備えた専門家で、基本的人権を守り、社会正義の実現を目指すことが主な仕事で、人や企業同士が争う「民事事件」と、罪を犯した者に対して罪を問う「刑事裁判」に、法律の専門家として、法的手続きを行ない、問題解決に向けて手助けをします。
相続手続き業務代行では、遺産分割において特色を発揮します。相続人だけで話を進めると、感情的になってしまい、トラブルが大きくなる原因になります。遺産分割協議が決裂すると、家庭裁判所で「遺産分割調停」を申し立てることになるので、そのようなことにならないよう、早めに相談するのがよいことです。
弁護士事務所で相続手続き代行業務を一括して受ける所もありますが、手続きのすべてを代行できるわけではありません。弁護士の依頼は、通常でも費用がかかり、相続手続き代行では、さらにかかると思ったほうがよいでしょう。
その他の相続手続き代行業者としては、社会保険労務士事務所、銀行があります。どちらも、日頃のお付き合いなどから、依頼することになるのでしょうが、系列の専門家に依頼するので、経費が割り増しになります。
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遺産相続手続き代行サービスの費用相場
○手続き内容が貯金、有価証券、自動車の場合 2万~10万円(1件当たり)
○手続き内容が登記の場合 6万~15万円(1件当たり)
○手続き内容が相続税申告の場合 20万~30万円
○手続き内容がパッケージプランの場合 20万~200万円
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