「新人だから」という負の再生産に関して

おかしな話

業務外のことで、「新人だから」を押し付けられることが我慢ができない。

・「新人だから」二次会以降も残って話をした方がいい

・「新人だから」二次会まで残って片付けをするべき

・「新人だから」お金は出ないけど30分先に出社して会社を掃除しろ

業務内のことなら良い。新人は、会社に対して強く貢献できる立場ではないので、皆がやりたがらない雑用の中で会社の人間関係を覚えて、仕事のノウハウを掴むべきという視点は理解してる。

じゃあ上のことはどうなん、と思う。

二次会のことなどたちが悪く、「別に残れと言っているわけではないけど、新人なんだからさっさと帰るんじゃなくて気にかけてくれ」なんて宣った先輩社員が居た。「残れと言っているわけではない」じゃないだろ、結局残れって言ってるじゃん。実質言っていることを「言ってはいない」なんて、狡猾で、卑しくて、汚い最悪のやり口だ。言いたいことがあるならはっきり言って欲しいし、言うことで付き纏う責任を回避するような真似は許せない。

普通に考えれば、業務外の二次会は「行きたい人が」行って、「飲んだ人が」片付けるのは当たり前だ。行きたいところに自己責任で行って自己責任の下に原状復帰をする。社内の飲み会だろうと遠足だろうと人の家にあそびに行くのだろうと中身は同じだ。

ここに「新人だから」を加えてくるのは、とんでもない理不尽としか思えない。行きたくないから行かないし、行かなかったから片付ける義務もない。お前は何様のつもりで、私を私の責任でない範囲に巻き込むんだ。

体育会系で育ってきた人の、こういう理不尽な押し付けと、それが「人生にとって最も重要な経験である」と、半ば親切心のようにそれを推奨する姿勢が大嫌いだ。それなら、私は所属する社会の人に命じられて二次会に参加したり、翌日早く来て掃除をしたりするのだから業務時間内としてお金を貰うべきだろう。給与の名目は「大声で騒いで片付けもできない子供の世話とご機嫌取り」だ。私はベビーシッターになるために社会人になったのではない。仕事は半人前かもしれないが、業務時間外の姿勢でどうこう評価が覆るような仕事なら、そんなものはこの世界に存在しない方がいい。非論理的に過ぎる。

不幸な歯車の再生産をする話

これのもっとたちの悪いことは、これに迎合する人がいることだ。

いつも、こういった押しつけには仲間内で文句を言う癖に、結局「私と◯◯と△△で出よう。酒飲んでる偉い人のご機嫌を上手く取ろう。片付けも手分けしてやろう。明日早くて大変だけどみんなで上手くやり過ごそう」という態度で当日臨む人がいる。

そして彼女が、当日出られない時は「本当に申し訳ない、体調が悪いので(仕事が凄まじく多いので)出られない。次は私も手伝うから皆で上手くやってくれ。本当に申し訳ない」なんて、まるで持ち出したパソコンをどこかに落としたか、納期前のデータを消してしまったかのような悲壮感溢れる顔で言うのだ。

筋も道理も給与もない話をまるでこの世の全てかのように扱って、何週間も前から準備をして、挙句に「本当に申し訳ない」って言うのは、私はもう悪質な宗教にハマったかはたまた奴隷か、どちらかなんだろうなと感じる。

そして、私達のこの姿勢を見て、後輩はそれを正しいものとして真似してしまう。どれだけ「帰りたければかえって良い」といっても、そういう態度を取っている人が一人でもいればそれはもう終わりなのだ。

なので、「本当に申し訳ない」と言う彼女にはそれこそ本当に申し訳ないのだが、「周りのことを考えているようで、その実自分の周囲からの評価を守りたい、落とす要因を作りたくないだけの本当にありえないほど最低な保身行為」と断ぜざるを得ない。

「私達が我慢すればいい」「今やり過ごせばいい」なんて、何の解決にも、何のエクスキューズにもなりはしないのに。

結局どうしたのか

年次が近い人に、こういう意見を理解してくれる総務の先輩が居たので、先輩から全社向けに「社内での二次会の片付けは帰る前に、食べた人がしましょう」というアナウンスを出してもらった。

少し馬鹿らしいことだけど、本当にありがたくて、役職のある方たちが良い時間になると食べた後の片付けを始めてくれたようだった。

今後も良い形で続くのかは分からない(私は、二次会は一度行ったきりでそれ以来行ってない)けど、不満や負担が誰にも残らない形で居られたらいいな、と思っている。