夢No.20190401 event
ほぼ毎日、フルカラーで音付きの夢を見ます。内容をひとに話すと「なんだそれは」と言われることが多々あるので、ときどき記すことにしました。寝起きに近い状態でのメモ書きなので、不適切な書き方もあるかもしれませんが、なるべく夢の臨場感そのままに綴っていこうと思います。
夢No.20190401
event会場を目指している。
辺りは一面、膝まで届く黄色い草が茂っていて、僕は小さなトラクターのような乗り物で草をなぎ倒しながら進む。eventのチラシは昨日うちのポストにはいっていたものだ。(公共の催しはいつだって直前なんだから困るよ、とため息をつきつつ、特に予定もない僕は、結局そこへ向かってしまっているという案配だ)
どこからか同じ乗り物(しかし僕のよりもキラキラと派手な装飾がついていたり全体的に丸みを帯びたデザインの最新型)に乗った少女がふたり現れる。
eventに行くんですか?
eventに行くんですか?
ふたりの少女たちが話しかけてくる。僕が頷くと、
じゃあそこを登らないと。
じゃあそこを登らないと。
少女たちは僕の背後に現れた黒い断崖(それは天へと聳えていて垂直のように見えているがきっと60度くらいで、でもまぁ60度は体感としては垂直と言ってもいいだろう)を指さす。泥のような岩のような崖の頂上は黒い雲のような植物のようなもので覆われていてよく見えない。
少女たちはエンジンを吹かしてその崖を颯爽と登り切って消えた。僕も最大出力で崖の凸凹に車輪を取られながら、というより凸凹になんとか車輪を引っ掛けながら、どうにかこうにか一気に登りきる。(いったん止まったら落下して死ぬかもしれなかったので正直こわかった。とにかく無事で良かった)
eventが開催される公民館は小綺麗で、僕がホールの扉を開けるとちょうど開演の暗転で、扉が舞台のすぐ手前だったのには面食らった(申し訳ない)けれど、僕は手探りでなんとか空席を見つけ出して座った。
幕が上がる。ふたりの男がいる。現代クラシックとポップスを行き来する曲と、ふたりの柔らかい歌声と、ふわりふわりと色彩豊かに切り替わっていく照明が美しく、まるで走馬灯のようだ。胸の奥をかき回されて痛いような心地いいような……。
男たちが恭しく頭を下げると、みんなが拍手する。僕は涙を拭うのに必死で拍手しそこねてしまう。
次はライブペインティングです。
大きな幕が舞台におろされ、ふたりの女性が自分の身長よりも大きな筆で絵を描き始める。
舞台の手前に、アコースティックギターを持った長髪の男が出てきて、女性たちの動きに合わせて音を出す。男の指はとても長い。男が弦を弾く度に白い指が残像になる。絵に合わせた即興としては大変よくできた曲だな、などと思いながら見ていたが、やがて曲のほうに女性たちが踊らされているような気持ちになってくる。
少女たちが現れて、
あなたの席はそこ?
あなたの席はそこ?
と訊いてくる。さっきは暗かったから、誰かの指定席に座ってしまったのかもしれない。僕が立ち上がると、ギターの男が立ち上がって僕を見た。僕は演奏中になんてことを、と思いつつも他の席を探さなきゃいけない気持ちで客席を見渡した。
みんな、双子だ。
音楽とパフォーマンスが止まる。観客がみんな僕を見ている。僕は不意に手を見る。指が長い。舞台には出来上がった絵が何枚も掲げられている。花だ。小さい頃、実家の庭に咲いていた花。
産着の匂いがする。
母の声。
照明がまるで波打つ海になって、僕は飲み込まれる。
母がいる。
病院のベッドで、機械に繋がれている。
書類を持った医師と看護師が立っている。
僕は彼らに何か叫んでいるようだけれど、僕は今の僕ではないような気もする。
母の頬に触れる。母が息を引き取る。
僕は母のクローンを残すことに決め、書類にサインをする。母の細胞をたくさんと僕の細胞を少し、という契約。
ここにいる人たちはみんな、僕と母なのかな。
僕は自分と外界との境目がわからなくなる。無重力の自由。光と体温が混ざり合ってうずくまる。たくさんの手が伸びてきて、僕を撫でていく。
僕は、これから生まれるのかもしれないな……。