地盤改良とセメント量
セメント系の固化材を用いて地盤改良を行う時、添加量の計算方法や算出方法について詳しく解説します。算出方法として、ここでは現場混合方法を解説します。固化材の最小添加量は、通例50kg/m3としており明確に定められていません。
セメント添加量の計算方法
設計段階において、地盤改良のセメント添加量が定まっている時、現場では、どのようにセメント添加量を計算するのでしょうか?ここでは、1t(1000kg)あたりのセメント添加量を計算する方法を解説します。施工現場で業者に指示するときに、添加量を間違えないように計算方法は事前に確認することが重要です。
そもそも、地盤改良の範囲はどのように決まるのでしょうか?改良深さは、荷重強度が許容支持力度以下となる深さが確保できるように算出されます。改良幅は、載荷荷重が及ぶ範囲をカバーするように算出されます。どちらの計算においても、荷重分散や分散角度を考慮して決められます。
ここでは具体的に、地表面から160cmを改良するとき、50kg/m3のセメント添加量を指示されたケースで計算式を用いて解説します。2t毎の改良に50kg/m3とすると、40m3の土量となってきます。地表面から160cmの深さなので、割り戻すと、平面的な区割りとしては、5m×5mが施工エリアとなります。
従って現場では、5m2毎のマス目をマーキングし、1マスに2tのセメントが割り当てられるようにセメントを配置します。
発注先によっては、ロス率が必要な場合があるので、確認しながら進めてください。
最小添加量
地盤改良においてセメント系固化材を使用するとき、当該地盤の土質特性・物性、改良剤の状態、攪拌・混合の処理方法について考慮する必要があります。添加量が少ない場合、当該地盤と固化材の混合にムラが発生し、強度発現に影響すると要求性能を満足できないケースがあります。そのため、現場における均一な混合が確保できる最小添加量は、50kg/m3程度が通例になっています。つまり、最少添加量に関する明確な規定は無いのです。参考までに、セメント協会が示している最小添加量の目安も50kg/m3です。
添加量の算出方法
固化材(セメント)の添加量には、
①設計強度から算出する現場混合方法と、
②室内試験の結果から算出する室内試験混合方法の2種類があります。
ここでは、①設計強度から算出する現場混合方法について解説します。
地盤改良における規定は、一般的にセメント協会が発行している「セメント系固化材による地盤改良マニュアル」に準拠します。ここでは、強さ比(現場/室内)の目安として、添加方式・当該地盤の物性・施工方法に分類して下記のように値が提案されています。