逃げ恥SPは恵まれた階層のお悩み解決話だった
1/2に放送された逃げ恥SPを見終えた。
twitterでトレンド入り、にわかに話題になっていたので、帰省がてら実家の母にダビングしてもらったのだが…
(以下感想)
社会問題詰め込みパックかよ
逃げ恥本編では、平匡さんとみくりがムズキュンなやり取りをしながらも社会問題に切り込むそのバランスがよく楽しく鑑賞できたのだが
今回は特番ということもあってか、
「2時間半たっぷり!令和のイマドキ価値観押し付けSP」
としか思えなかったのです。
大概私もtwitterのマジョリティ寄りの意見を持つ人間でありながら、どうも説教くさくて、学校で強制的に見せられるビデオ感がすごかった。
そして何より、そんな現実の社会問題を扱うドラマでありながら強烈に違和感を覚えた点がこちら。
登場人物、上流階級すぎ問題
まずもってみくりと平匡さんのマンション。
横浜とはいえゆりちゃんの家に帰りに寄れるくらいのアクセスであの広さ、そしてあのグレードのマンションで暮らしてる30代夫婦っているの…?
最近新居を建てたばかりなので特にディティールに目がいってしまい
・何畳あるんだよとつっこみたくなる広いLDK
・トクラスの最低100万レベルのハイグレードキッチン
・タチカワブラインドのハイランクなオシャレ間仕切り
・大塚家具で揃えた無垢材に拘ったインテリア
・最新家電たち(ダイソンやバルミューダ、お掃除ロボットなど)
…などなど気になりだすと
(この生活レベルの夫婦、同年代でパーセント存在するの…?)と思ってしまったが最後
"辛いことをお金で解決できる夫婦のファンタジードラマ"でしかなくなってしまった。
大塚家具なんてソファで100万をゆうに超えるんだぜ…?
手前味噌ながら恵まれた収入の夫を持つうちでさえ、ひとつも家具買わなかったわ…
twitterでは600万収入家庭との試算があったけど、細かく見出すと最低800万+両親のサポートがないと厳しいぞこれ…
その他いざというときに手術費を自力で出せてしまうゆりちゃんや、無痛分娩を選択出来るみくりなど
さてこの日本の平均的な女性の何人がそれをできるのか…?
現実的な社会問題を扱いながらも、金銭的に非現実的な設定というチグハグさに最後まで全く共感できずだった。
深すぎる社会問題に対して、浅すぎる結論
ドラマも終盤、おーおーとうとうコロナまで手を広げるのね、とこの頃にはもう食傷気味
争いや罵り…ネットサーフィンしながら辛さを受け止める平匡が出した結論が、
子供の写真を見ながら「世の中美しい、大丈夫だ」
ここでもう吐きそうになりましてね…。
そらぁ恵まれた方が見る"当たり前"の景色は美しいでしょう。
その下には、家事代行サービスすら頼めない人、実家に頼れない人、育休を認めてもらえない人、子供を産めない人たちの地獄が広がっていること
それこそが逃げ恥という作品が伝えたいことではないのか?と思ってしまったんだけどそうではなかったのだろうか?
それを見ないふりして、自分の世界だけで「美しい、大丈夫」と浅い結論に着地させてしまう陳腐さと下劣さに吐き気がして脱力してしまった。
こういう社会問題扱うなら、もっと平均的などこにでもいる設定を徹底的に貫いて欲しかったけど、大多数に向けた人気ドラマがあんまり現実に即しすぎてると夢がなさすぎるのもわかるから…結局そういうリアルを見たいならそういう映画なりドラマなりを選んで見よということなんだろうな。
さて、録画していたパラサイト見るか