「作考(さっこう)」という言葉をつくりました
「作考(さっこう)」という新しい言葉を日本に導入したいと思います。
「作ることで考える」、「作りながら考える」、「作品を通じて考える」の意味です。
広辞苑や大辞林にも、過去の文献にも、Google検索やChat-GPTに聞いてもこの言葉は過去に存在していないようですので、新しい造語ということになるのかもしれません。すでに存在していたら申し訳ございません。
ただ、仮に言葉としては過去に存在しなかったとしても、考え方としては遠い昔から人間が持っているものだと思います。原始時代に人間が道具を作ることを覚えた時には、作って試して作り直して、を繰り返しながら「考えていた」はずですから、その時からすでに「作考」は始まっていた訳です。
画家、陶芸家、書道家、茶道家、華道家、作曲家などの芸術家や、ものづくりに携わる建築家やエンジニア、プログラマーの方々なども皆、「作りながら考える」、「作ったものを通じて考える」ということを当然のようにしてきたと思います。料理を作るのだってまさに「作考」ですよね。
しかしながら、人が何かを作る時はその「制作対象」に意識が向かっていくために、その時に働いている「思考」について意識するということはあまりない訳です。ものを作る時に考えるのは当たり前なので、「作る」という概念の中に「考える」という概念も含まれてしまっているんですね。例えば、新製品を企画する際にはまずプロトタイピングをするケースがほとんどだと思いますが、あれは「試作」と表現されますが、行なっていることは「作考」だと思います。ですが思考の部分については当たり前のこととして「試作」に含まれてしまっているので、非言語化してしまってるんですね。
作ることで発動する「思考」、その思考法をより広範に活用しましょうという意味で「作考(さっこう)」という言葉を作りました。
この言葉の背景には、MITのシーモア・パパート教授が提唱された「コンストラクショニズム」(構築主義)という教育思想と、その考え方をもとに編み出されたレゴ®シリアスプレイ®メソッドというワークショップの手法があります。これらが持つ思想を端的に日本語で表現できる言葉を模索していてできた言葉が「作考」です。