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六本木クラス 神は細部に宿る

リメイクものはオリジナルに敵わないのが常だと思う。

だからとても受け入れる気持ちで、広い心で観ようと決めていた。

香川照之さんも光石研さんも大好きだし。

きっと心躍らせてくれるはず!
と放送開始をウキウキで待っていた。

そして、1~2話見た正直な感想、

ああやっぱりダメか・・・。
そうだよな、無理があるよな・・・。
沼りたかった・・・。

「梨泰院クラス」約65分×16話=1040分
「六本木クラス」約50分×13話=650分

その差、390分(6.5時間)

「梨泰院クラス」は最終話が90分ほどあり
「六本木クラス」は1、2話が拡大版となっていたので、
3話以降がもっと短いとなると差はもっとある。

日本の連ドラは10話ほど、というイメージだったので、
全13話と聞いた時には少しホッとした。
本気かも、と思った。
韓国のスタッフも携わっているようだし、
この390分の違いをうまく埋めてくれるんじゃないかと期待していた。

「うまく埋める」というのは、
必要な部分は決して削がずに面白いまま短くする、ということ。
でも、それはやっぱり無理だったみたい。
よく考えたら「うまく埋める」ことができる、ということは、
「梨泰院クラス」に390分の無駄があった、とも言えることになる。

あり得ない。

正直このシーンは無駄に長すぎる、と思ったシーンが1つだけあった。
でもそれ以外には思い当たらない。

結局「六本木クラス」はその390分を何とかするため、
単に「スジがわからなくならない範囲で削る」という、
誰にでもできる作業をしたにすぎないようだ。

面白さはストーリーだけじゃない。
むしろ、丁寧に人を機微を描いている脚本で、
その良さを理解している演出家で、
それを表現できる力のある俳優陣なら、
劇的なストーリーじゃなくても十分面白い作品になる。

途中はいいから早く結末を知りたい
という理由で、
2時間じっと映画館に座っているのが苦痛、
動画は倍速で見る、
という人が増えていると聞く。

そんなことも関係しているのかはわからないが、
私たち観客は作り手にバカにされているのかも知れない。
もしくは、
作り手がそんな観客に甘えているだけなのかも知れない。

必要な部分を省略してしまい台無しになったシーンの1つを挙げる。

新の父の葬式に訪れた警察が持参した事故写真を見て、
事故を起こした車が龍河のものだと気づいた優香。
それを新に伝えてから新が動き出すまでの大事なシーン。

「梨泰院クラス」
スア「グンウォンの車よ」
セロイ「確かか?(写真をスアから奪い見る)本当にヤツのか?」
スア「うん、限定モデルだって。確かにこのナンバーだった」
セロイ(しばらくして立ち上がる)
スア「セロイ」
セロイ「悪い、ここを頼む」(歩き出しバッヂ?を投げつける)
(そして、この後一度グンウォンを探しに学校に行くがいないことがわかりその後病院へ)

「六本木クラス」
優香「写真に写ってる車、龍河の車だった。特別仕様車でナンバーも同じ」
新(立ち上がり歩き出す)
(この後直で病院へ)

状況の呑み込みがあまりにも早すぎる。
優香も新も。

これは嘘。
決してついてはいけない嘘。
俳優は演技をしているというより段取り通りに動いているだけの状態。
演じている俳優も気持ち悪いはず。
だから緊張感が圧倒的に、ない。
これをよしとして放送してしまうのだから、
もうどちらかと言うと演出家等のスタッフを信用できない。

もう1シーン挙げる。
7年ぶりの新と優香の再会シーン。
これも本来とてもいい場面なのに何とも気の抜けた残念なものになっていた。
「梨泰院クラス」では7年ぶりに再会し、しかも7年前語っていた目標を有言実行してみせたセロイを驚きと羨望のまなざしで見つめるスアの状態が音楽等の演出を使ってよく表現されていた。
「六本木クラス」は、あっさりしすぎていて、とても7年ぶりの感動の再会には見えなかった。

これも嘘である。

細部

「梨泰院クラス」では人物が葛藤するシーン等で画面が小刻みに揺れていたり、様々なシーンで画面の色みを変えていたり、一見では気づかないような細かな工夫が沢山されている。
画面が小刻みに揺れている、ということには気づかずとも、その工夫でより感情移入できるという効果を得ている。
これは映像作品ならではの工夫。

例えば、
・学校の校長室でセロイがグンウォンの父に初めて土下座を求められるシーン
・葬儀会場で事故車がグンウォンのものと知り出ていくシーン
・刑務所でセロイがいびられるシーン
・警察で事故担当刑事が「庭師にはアリバイがある」と上司に訴えるシーン
・グンウォンが鶏の首をひねるシーン
こういったシーンをよく見て欲しい。
その人物の葛藤や不安や怒りを表すように画面が小刻みに揺れている。

「六本木クラス」は今のところそういった細部のこだわりが見られず(気づいてない部分もあると思うが)とにかくどんなシーンも画面が一辺倒に感じる。

気になった細かなことを箇条書きで。

・高校時代の優香のヅラが酷いクオリティ
・高校時代の龍河の髪型、なぜマッシュルームカット?
・葵、龍ニ、龍ニの先輩の3人が未成年だとバレ長屋(店舗)を追い出された後、歩いている時に先輩が言った「餃子行く?」のセリフがとにかく浮いていて違和感があったのが気になり本家の同シーンを見返したら「餃子の美味い店があるけど行く?」というようなことを言っていて、ああ、ただ単にこれを短くしたからか、と納得。

まだ色々あるのですが今回はここまでにします。
明日第3話の放送なのでまた楽しみに見ます。

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