朝イチイッキ書き⑥

村上春樹の話をした俺は、職場というかアルバイト先のカフェの人と、というか人に、いや人と、なにかを思い出して、忘れたのだった。なにかを言おうとしていた。あのときの保坂和志なら、ジュンク堂で山下澄人と話していたあの回の保坂さんならまあ思い出すから良いんだけど、とさっさと次のことを話してみるのだろうが、そして僕もそれがいいんだろうからそうすることもあったし、そうすることしか最近はなかったが、今日は粘ってみる。粘るといっても現にこうなっていて、別の話でしかこれはないのかもしれないけど、改行はしてねーから。頭の中でも、noteのうえでも改行してないなら話は続いている。つまり、思い出そうとはしながら話している。それが全然違う話に見えたとしても。

体を翻して掴める吊り革をつかむ。ちょうどど真ん中にいる。俺はここで耐えるのがめっぽう苦手である。だから掴まないといけない。掴まないといけないんだ…!とジャンプのいち主人公はいう。こういう奴を見ると、今はくどいなと思う。大人が言わせてるわけだからねえと。大人に向けて描いてねーうんぬんというより、そう見えないようにもっと描いてほしい、違うな、そう見えない描き方はあると思う、と思う。

座席の前のほうに入ってきて、朝、それは君無理やで、すでに無理、っておさまり方をしていた男、彼もまた眼鏡をかけていた、を思い出す。すごかった。だってドアの前の区画はがらがらなんだもん。けっこうながらがら。次の駅でたしかに多くの人が乗ってくることは考えられたけど、それでもそこに割と広大な空間があったのに、満員電車・レベル上から3以上で発生する、座席の前に横三列で並ぶやり方をおっ始めていた。あれなんだったんだ。それからそのあとの、なんでそこから真ん中に場所を移したのか、と書いて快速から各駅に乗り換えたからと思い出した、だから最後の各駅で、僕はドアの前の区画でもみくちゃにされている時間があったわけだが、さあ着いたというところで、じいちゃんばあちゃんにありがちな、物理的な進行の遅さをカバーするため、兼あのときのおおらかさをそのまま体で表現しているだけ、という感じの、ドアが開く前のフライングスタート、しかもそれを、ていうかじいちゃんばあちゃんかも分からないが、俺次で出ますよ、フライングスタートしてますよ、を荷物の圧で体に訴えかけられて、これ、訴えかけられた側もここで降りる場合、どうなんねんと、普通に気になったしムカついた。やめろそれ。荷物で訴えかけんのまずやめろ。すみませんおりますと言え。小さな声でも俺は聞き取る。しかし体の小さめな女性はそれを戦う術として生きていることもあるかもしれない、けど、フライングでやられるとやだ。言うこと聞きたくなくなる。まあ、ここで降りないのならうぜーなとあけてやればいいんだけど、降りる場合よね。俺もお前の前行かにゃならんのよ。これどうすんねん。どうすんねん、とおもうか、ブチギレて振り返るかの2択しか用意されていないと思う。なんだったんだあの電車。ムカつくというか、ちょっとムカついて、このどうすんねんは書いとこうと強く思って、これは抽斗にはいるやつやと思うからすぐ書かんでもいいなとわかった。なぜここで抽斗か。抽斗のはなしをアコーさんにしたからだ。そろそろ村上春樹のなにを話したのか、話したい、戻りたいなと思ったから、都合をつけた。

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