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決断は美しい。

多感な時期を過ごす10代の皆さん、ストレス社会を強く生きる20代の皆さん、30代以降のおっさん、こんにちは。


人間が『決断』をするとき、それは実に儚く、そして美しいものです。なぜなら『決断』というのは合理的に行うものではなく、"感情"があって初めて成り立つものであるからに他なりません。

例えば、雨の日に登校するときに「自転車で行く」か「車で送ってもらう」か。
これは大半の人が「車で送ってもらう」という選択をとるでしょう。濡れなくて済むという明確な利点がそこにあるからであり、「筋力を付けるために雨に打たれようと自転車で行く」というような決断をする人はそうそういないでしょう。
これは合理的な判断のもとに行われるもので、二択を迫られるようなシチュエーションではありません。すなわち"答え"が明確にあるのです。

ではここでエデン・アザール選手をみてみましょう。

チェルシーで10番を背負いクラブのエースとして長年君臨。資本の拡大とともにブランド力も世界トップに上り詰めたプレミアリーグから、わざわざ異国の地スペインへ渡ることは果たして合理的な判断と言えるのでしょうか。

いいえ、違います。

彼にとってのレアルマドリーは"夢"だったのです。
幼い頃から憧れているクラブから獲得の話が舞い込んでいた彼にとって、今の立場を捨ててでも叶えたかった"夢"なのです。結果はご存知の通り、度重なる怪我により不良債権となってしまい現在は退団の噂が後を絶ちません。

このように物事の合理的な判断とは自らするものではなく、"そうなるべくしてなる"ものなのです。データ化、効率化が進むスポーツ界において合理的な判断というものに人間の私的な部分は一切必要ありません。

しかしアザールは感情のもとにマドリー移籍という決断を下しました。つまり『決断』をする人間というのは、傍から見た合理的な判断を正解としたものではなく、『決断を下す本人が幸せになるためのもの』なのです。

確かに数年前トップクラスだった彼のプレーは今や見る影がないかもしれません。ただアザール本人にとって『夢を叶える』という決断をしたことは、厳しい現在の評価を差し置いてでも成し遂げたかったものであり、彼は今もしかしたら幸せなのかもしれません。それは本人にしか分かりません。

だからこそ『決断』は美しいのです。

その決断が正解か否かというのは、その決断を下した本人にしか味わえないものなのです。




この夏『決断』を下しそうな選手




クリスティアーノ・ロナウド

合理的な判断 : ユベントス残留
決断 : ユベントス退団

前人未到のセリエA10連覇の夢が消え去り、シーズン4位フィニッシュという屈辱を味わったユベントスの絶対的エースは自ら退団を示唆するような発言をチームメイトに漏らしたとされている。

合理的に考えれば来季2年ぶりの復帰となるアッレグリのもと、完成度の高い組織の構築が期待されるチームの主軸であることは確定しているようなもの。
かつてのスピードスターは歳を重ねて世界最高峰の得点マシーンへと移り変わっており、ピルロ政権時より役割が限定されるであろうアッレグリのチームにおいて再び世界を呑み込むほどの支配的な選手へと戻る日もそう遠くはなさそうである。

反対に移籍という決断を下した場合、ユナイテッド復帰やPSGでネイマールと共演など華々しいストーリーが彼を待っている。キエーザやマッケニー、クルゼフスキら若手の成長著しいユベントスだが来年世界一に輝くほどのチームになれるという保証はない。

36歳ながらまだまだ勝利に飢えている彼に引退までの猶予は多く残されていない。噂通りトリノを離れてしまうのか…。



イヴ・ビスマ

合理的な判断 : アーセナル以外へ移籍
決断 : アーセナル移籍

人気銘柄になるほどの活躍をしながらブライトンは降格圏の16位フィニッシュと、彼にとって残留することは合理的な判断とは思えない。今夏の退団はほぼ確実だろう。

一番の候補はやはりアーセナル。
が、こんなことを書きたくはないが今のアーセナルは確実に泥沼。8位フィニッシュで欧州カップ戦への切符を逃しメンバーの大量入れ替えを行う同クラブにおいて、スタメンが確約されそうなビスマにとって一見合理的な判断にみえるが、他のBIG6が彼ほどの選手をそう易々と見逃す筈もない。

噂されるリヴァプールへの移籍は合理的に考えればベストではないだろうか。今季ホーム6連敗を喫し、ここ数年で最悪のシーズンを過ごすもなんとか4位に滑り込みCL出場権を確保。ファンダイクが復帰する来季はヘンダーソン、ファビーニョらが本来の中盤で固定されることが予想されるも、怪我がちな選手に変わりはないためビスマが充分に出場機会を確保できる可能性は高い。ケイタやチェンバレンの去就次第だが大ハズレの移籍に終わることは到底考えにくい。

本人はグーナーであるとか何とか言っている点でも、今のアーセナルへ加入することは大きな『決断』であり、移籍後に結果を残そうものならファンから英雄的扱いを受けるかもしれない。果たして彼は自身のキャリアにおいて何を望んでいるのか。




ジャンルイジ・ドンナルンマ

合理的な判断 : 国外移籍
決断 : 国内移籍

水に慣れているセリエAでのプレーを続ける事は、国外へ飛んで1から新しい環境でチャレンジする選択よりプレーの質に影響が及ばない可能性は高い。

しかし今の彼はそんな悠長なことを言っていられる立場ではない。過去に"禁断の移籍"と呼ばれたイグアイン(ナポリ→ユーヴェ)、ベルナルデスキ(ヴィオラ→ユーヴェ)、キエーザ(ヴィオラ→ユーヴェ)らは裏切り者と言えどそれぞれ移籍金が発生している。ピルロ(ミラン→ユーヴェ)に関してはFAだったがミラン側から構想外を告げられた形で別れ、また30歳を超えていた事を考慮すると『自分の意思でFAとなる22歳』の恐ろしさが分かる。

当初は待遇面で不満を漏らしていたがアッレグリのユーヴェ帰還によりシュチェスニーが定位置を逃さないだろうというのが大方の予想。
それによりなんとバルサからのオファーは現ミランでの待遇とほぼ変わらなくても良いという姿勢に転じているらしく、彼のキャリアとリスペクトはこのひと夏で狂ってしまいかねない。

それでもこれは美しき彼の『決断』である。
もう引き返せない所にまで来てしまっている。



鈴木優磨

合理的な判断 : 5大リーグ移籍
決断 : スュペル・リグ移籍

「高望みはしない。バイエルンレベルからオファーが来ても100%行かない。サッカー選手は試合に出てナンボ。」
そう強く語る25歳は既に"合理的な判断"とは何かを理解しており、資本導入により欧州屈指の資金力を誇るヘルタ・ベルリンからのオファーを断った事実を踏まえると、「分かっている」選手であることに間違いはない。

フェネルバフチェやトラブゾンスポルの噂が連日報道されておりトルコ入りが最終的な『決断』かと囁かれるも、アンジェ、スタッド・ランス、サンテティエンヌらリーグアン勢からのオファーが"高望み"なのかと聞かれると個人的に首を縦に振ることは出来ない。

シント=トロイデンの本拠地であるリンブルフ州はオランダとの国境に位置するも、ベルギー国内の公用語にフランス語が含まれているため環境の大きな変化というのはトルコの方が懸念されるかもしれない。それでも我が道を突き進む彼がトルコ行きこそベストと意気込み、結果を残す自信があるのなら是非ともその決断を尊重してほしいところ。

頑張れ鈴木優磨❗❗❗




ハリー・ケイン

合理的な判断 : トッテナム退団
決断 : トッテナム残留

過去にベルバトフやファ〇〇°〇シーらスター選手が行った国内での裏切り移籍は成功した事例が少ないわけではない。ウォーカーのプレミア優勝に始まりエリクセンのスクデット、トリッピアーのリーガ制覇、フォイスのELチャンピオン、さらにはエンクドゥまでスュペル優勝を果たしており、結果を求めている本人にとって"移籍"というのは非常に魅力的であり、移籍先によっては優勝のチャンスが高まり合理的かもしれない。

しかし、ここでトッテナム残留という決断をしたときにはグーナーながら彼を尊敬してしまうかもしれない。ア〇〇〇ールやナ〇リといったうんち達を知っている身として、世界でもトップクラスのストライカーが無冠と揶揄されるクラブでエースとしてタイトルをもたらす為に残った場合は嫉妬してしまう。

問題は経営陣が値札の高いうちに彼を売ってしまおうと考えている可能性があること。こればっかりは彼の決断の方が尊重されるべき事だと思うので、この夏どういう結末を迎えるのかが非常に楽しみ。




サウール・ニゲス

合理的な判断 : アトレティコマドリー退団
決断 : アトレティコマドリー残留

とくにアトレティコのファンというわけではないものの、もし本当にサウールが同クラブ退団となった場合はウルっときてしまう。

15-16CLセミファイナル、バイエルン相手に決めたあのゴールをみて以来、将来コケと一緒にこのクラブを背負っていく存在であると思っていた自分にとってはかなりショックであり寂しいもの。実際問題マルコスジョレンテの覚醒や3CBへのシステム変更により満足に出場機会を得られることは出来なくなってしまっていて、今年2月の段階で同クラブからの退団を希望していると報じられたが高額な移籍金がネックとなり長らく具体的なオファーは届いていなかった。

そんな中ユヴェントスやバイエルン、毎年恒例のマンチェスターユナイテッドら他国の強豪が今夏本格的に獲得へ動きそうで、中でもイタリアへの話が進んでいるそう。

EURO2022スペイン代表メンバーに落選した彼は相当ショックを受けているに違いない。今後のキャリアを考慮した上で今夏の移籍はやむを得ないものかもしれない。
が、アトレティコ愛を貫いて定位置を奪い返そうと残留する決断を下した場合は鳥肌モノである。




最近あなたが下した『決断』は何でしょうか?

コメントしなくていいので自分に向かって言い聞かせてください。

夕飯食べます。さようなら

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