タイの部長の給料は日本よりも高いのか
日本の部長の給料はもはやタイの部長の給料よりも安い。日本は衰退している。そんな話題がTLで話題になっています。
情報の出どころを調べてみると経済産業省の未来人材ビジョンからきているようです。表を見ると確かにタイの部長は年収2000万程度もらっており、日本の部長の1600-1700万円程度を超えているように見えます。
https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf
僕も国が出している資料なのだからある程度正確なのだろうと思い、タイに駐在も決まったし現地企業に転職する道を模索するのもありなのかなと思っていました。
しかし、ここにきて少しおかしいことに気付きました。弊社の場合、部長職以上の人は駐在員が占めているためローカルの場合の給料は分かりませんが、課長職は新卒と変わらない給料で働いていますし、部長補佐も日本の主査と同じくらいの給料で働いており、とてもではないですが部長職になると突然年収2000万円に上がるとは思えません。
本当にタイの一般的な部長は日本の部長よりももらっているのでしょうか?Mercerの資料の方は無料では読めなかったので、ジェトロの投資関連コストを確認すると部長級のコストはなかったものの、課長クラスで100万バーツ程度(日本円では400万円程度)と分かりました。経産省のグラフは800万円前後はあるように見えますので2倍近い乖離があります。(そして、実感としてはこちらの方が近いです)
この資料はここからダウンロードできます。
また、昇進年齢の算出に使用している五ヵ国マネージャー調査では、2014年のデータかつ限られた部署のデータではあるものの、部長クラスで500万バーツ(2000万円弱)以上の年収をもらっているのは5.4%にすぎません。
https://www.works-i.com/research/works-report/item/150409_5mgr_survey_01.pdf
8年の月日がたっているとはいえ、一般的な部長職の年収が上がるとは考えにくいのではないでしょうか?
結論としては経産省の資料は何か誤解があるか、非常に限られた条件下で比較しているのではないかと考えます。
少なくとも僕がローカルの企業に何も考えずに転職したとして、日本よりもいい給与をもらうのは簡単ではなさそうなのでキャリアについては再考したいと思います。
タイの給与について知見のある人はコメントで教えていただけますと幸いです。
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