漫画でオタクキャラが垢抜けるときに眼鏡を外す風潮について

漫画は創作とはいえど一からすべてを創っているわけではなくいくつかの定石がある。ルーズサイドテールの母親は死ぬ、優しそうな神父は黒幕、天下一武道会が始まったら途中で邪魔が入り最後までトーナメントは描かれない、戦闘が始まる前に開示された作戦は必ず失敗する、などである。
その中の一つに陰キャの眼鏡の男が垢抜けるときに眼鏡を外すというものがある。これに関して僕は不満を溜めている。
少なくとも僕に関していえば、目の印象が弱く顔の空白が多いので(より直接的に目が小さく、顔が大きいと言ってもよい)、眼鏡をかけた方が間違いなく顔の印象が引き締まって見える。目が良かったときですら、伊達メガネをかけていたし、本気でそれがオシャレだと思っていた。眼鏡を外した方がよく見えるなどというのは、素材がいい人にのみ与えられた特権なのだと思う。
この苛立ちはもしかすると、ナチュラルメイクが好き(ナチュラルメイクでもかわいい女が好き)という言葉を聞いた女性の気持ちに近いのかもしれない。
そう考えると結局男のファッションはシンプルでいいとかゴテゴテのアクセサリーはダサいとかいう風潮もナチュラルメイク信仰に近いものを感じる。
だとすれば答えとしては一つしかない。男性は女性のためにファッションをしているわけではないし、好きな格好を好きにして何が悪いという話である。
幸いここは日本ではなく、タイ・チョンブリ県パタヤ。ファッションに限って言えばパジャマで街を歩いていないだけで半分よりは上である。好きな服を着て好きに歩いていても受け入れられる土壌があると言っていいだろう。
これからも眼鏡が野暮ったいと言われたとしても眼鏡をかけ続けるし、シンプルな服がいいと言われても柄に柄を重ねるし、オタクの代名詞といってもいい全身黒のファッションもつづけたいと思う。


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