熱狂の修士時代:M2炎の闘争編
学振ゲットのため論文執筆に必死だったM1のころは脇目も振らず調べもの、実験、論文だけに集中していました。
つまり周りの状況なんてまるで気にしていないし見てもいなかった。
しかし、M2に上がって学振の申請も終わり、自分で考えた新しい分析法の実験を本格的に始めたころ、気づけば教授や一部の学生とはかなり険悪な状態になっていました。
ま、どうでもよかったけどね。
あんたの言いなりにはならない
ぼくが教授から教わった分析法に限界を感じた、というのは2つの理由からです。
1.かなり古典的な化合物しか測れない。だから古典的な考察に限られる。
2.当該分析法で測れると称している一部化合物群には本来適用外。
まあ、1.についてはどうでもいい。ただ、明らかに分析化学的な過ちを複数含んでいる2.については許せなかった。当然、何度となく抗議しゼミでも騒いだ。しかし、いくら正論を言ってものらりくらりとかわされる。
アホらしくなったし、新規分析法開発に必要な最低限の試薬はすでにゲットしていたので、好き勝手にやらせてもらうことにしました。
まあ、教授としては面白くないでしょう。
けどね。もう、修士2人分の仕事は終わらせているんだから修了について文句は言わせない。ていうか何も言わせない。
ついに完成
あまたの失敗実験(爆発はなかったけど)ののち、ついに自分が必要と考え、自分で作った分析法が完成した!
そりゃあ、本音はドイツの古城で雷雨の中、完成したかった。けど日本だったし、たぶん普通の天候の夜中だったように思う。アニメとかと違う。。
これらのピークがしっかり出た瞬間、雪の中にこんな化合物群が含まれていると知っているのは世界で今、おれだけだ!と、心の底から感激した。
しかも、ちょっとあるとかではない。これまで主な成分とされていた古典的化合物群と同等かそれ以上の濃度だった。
疲れもなにもかも吹き飛びましたね。
さすがにこの晩は一人でそうとう飲んで翌日休んだと思う。
わけわかんない子ちゃん
ぼくは留年率日本一の大学からやってきたので大学院=出家(真言宗)と思っていたわけですが、周囲は「北海道楽しそうだから来てみた」ってのが多かったですね。
ある週次ゼミで、同期の女子学生が「○○君(ぼく)の目つきが怖いから研究室に来られない、○○君はせめて日曜だけでも研究室に来ないでもらいたい。」などと言い放ちました。
頭にきたもんなんてもんじゃない。
理由はふたつ。
1.これまでなんにもしてねえ上に、これから週1出勤でおれとおんなじ修士取る気か?
2.おれは研究を生業として生きていこうと必死にやっている。遊びに来た貴様のわがままのために1日たりとも休む気はない。
怒りのあまり記憶があいまいですが、イスを投げたような投げなかったような。激怒して怒鳴り散らし、彼女は大泣きしましたが「泣いたからってコトの正否が変わるもんじゃねえんだよ!!」と完全に火に油ターボ状態。
でも、彼女に味方する者は誰一人いませんでした。
次なるステップへ
ま、そんなことは30分で忘れ(その子はしばらく来なくなったけど)、新たな悩みが浮上してきました。
熱狂とともに完成した分析法ですが、これは雨や雪といった水試料しか扱えないものでした。なので、どうにか大気=空気へ展開したかった。
しかし、当時研究室で用いていた大気試料採取法もぼくは気に入らなかった。
1.検出した化合物のもともとの存在状態がわからない
2.試料採取時間がムダに長く、試料が変質しているかもしれない
3.今どき古い
まあ当然これについてもいざこざがあったわけですが、例によってアホらしくなってやめ。
幸い助教授が理解のある人で(おれのことは嫌いだけど認めてくれてはいた)、相談したところ、「いくら必要だ?」「100万くらいいってしまうかもしれません…」
「いいよ」と100万円ポンともらいました(現ナマじゃないよ)。本当にありがたかった。
これで自分が正しいと思うことだけできる。
たかが100万、しかし、これがぼくの研究を大きく飛躍させてくれたのでした。
燃えていたなあ。。
次回、さらに燃えます。
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