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「虎の威を借る狐」が教えてくれる、生き抜く力の物語

はじめに

皆さんは「虎の威を借る狐」という故事成語をご存じでしょうか。
この言葉は、一般的には「他人の権威を利用して威張る」という意味合いで使われます。

自分自身の力や能力ではないのに、あたかも自分が偉い存在かのように見せかける――そんな様子を表す言葉として定着していますよね。

しかし、この物語の本筋を辿ってみると、もう少し奥深いメッセージに気づかされます。そこで今回は、『戦国策』の逸話として知られている「虎の威を借る狐」のあらすじに沿って、物語の中に秘められた教訓について考えてみたいと思います。


まずは、あらすじを簡単に振り返ってみましょう。

あらすじ
虎(とら)が狐(きつね)をつかまえた。狐(きつね)は「自分は天の神様からすべての動物の長になるように命令されているから、食べてはならない。もし、信じられないのなら、私の後からついてきなさい。動物たちは、私の姿を見れば、みんな逃げていきます。」
と言った。動物たちは虎(とら)を見て逃げたが、虎(とら)は、自分の姿を見て逃げたことに気がつかず、狐(きつね)の言葉をまんまと信じてしまったことから、この語ができた。

引用元:知識の泉(https://www7a.biglobe.ne.jp/~gakusyuu/koziseigo/toranoi.htm

多くの方が抱く印象は、「狐が虎の権威を上手に利用している」という点かもしれません。しかし、別の視点から見ると、この狐は「知恵と機転を使って死の窮地を脱した存在」とも捉えられます。


狐の“知恵と機転”とは

狐は、ただ怯えて逃げ回るだけではありませんでした。強大な存在に捕まった状況で、なお諦めずに「どうしたら助かるか」「どうすれば生きのびられるか」を必死に考え、あたかも自分が“特別な存在”であるかのように虎を納得させることに成功しました。

僕は、この姿勢こそ「虎の威を借る狐」のもう一つの教訓だと解釈しています。きっと、狐にはどうしても守りたいものや、絶対に失いたくない未来があったのだろう――だから最後まで、“生きたいという執念”を捨てず生き抜く方法を考えることを諦めなかった。
そんなふうに想像すると、「狐が虎の権威を上手に利用している」という意味以上のメッセージを感じます。


逆境に陥った時こそ

僕も、これを読んでくださっている皆様も、これから先の人生で、「もうダメかもしれない…」と感じる瞬間があるかもしれません。苦しい状況に追い込まれたり、逃げ場がないと思い込んでしまったり。

けれども、その「もう無理だ」と思うギリギリのところでも、視点を変えれば、新たな知恵や突破口が見えてくる。そんな教訓の話として、記憶の片隅においてもらえると嬉しいです。

たとえ、格好悪くても、人から非難されても
抗って、抗って
必死で考え、あがき、生き抜く

僕は、これからもそういった生き方を貫きたいと考えています。


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