小説「征途」について 2 Rafale-M Dassault 2025年1月10日 13:45 1980年代半ばから「歴史のある瞬間にこんな出来事あれば、コレくらい史実は変わっていたのでは?」と云う「歴史のIF」をテーマとした小説が流行り始め、檜山良昭の「日本本土決戦 昭和20年11月、米軍皇土へ侵攻す!」(1981年)辺りを皮切りに荒巻義雄 の「紺碧の艦隊」シリーズが大ヒットした辺りから他のジャンル、例えば推理作家の志茂田景樹迄が参入する「架空戦記ブーム」が起きた。 時代設定、時に古代や戦国時代、時に近未来シミュレーションと云ったモノもあるが、矢張り人気となるのは、日本が惨敗してしまった太平洋戦争を舞台としたモノで、「どうやったら挽回・勝利を勝ち取れたか?」と云ったある意味日本人のトラウマに関わる作品が多い。 史実を紐解くと客観では米国勝利を覆せる要素がほぼ皆無の為、日本側にタイムスリップして来た自衛隊艦船やオーパーツ的性能の日本軍兵器等を投入したりと云ったモノが大半になるのは止む得ない処であるが、史実とは違うたった一発の砲弾が歴史を大幅に変えると云ったプロットで 後の歴史が大幅に変わってしまう顛末を描き、架空戦記ファン、ミリタリーファンより「架空戦記の最高傑作」と評されたのが、今回紹介する「征途」(佐藤大輔 1993年)で、史実ではミッドウェイ海戦以降負けが続き、逆転の大博打を打つも却って海軍の主力が壊滅したレイテ沖海戦での些細な出来事が日本の行方をその後60年近く変えてしまう。と云った内容。 発売当初の新書版、後に出た文庫版も絶版の為古書もプレミアムが付いての相場、他の架空戦記では中々無い状況に。 そんな状況の中、ハードカバー愛蔵版が初版から30年近く経っての発売。 作者 佐藤大輔の死去に伴う追悼出版ではあり書籍だと現在4180円とまたしてもプレミアム付きかけてるがKindle版だと3300円。 元はシミュレーションゲームデザイナーかつ戦史の造詣深い作者の臨場感すらあふれる、ネタバレ無しの歴史小説、興味があれば一読強くオススメしたい。 いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #架空戦記 #征途 2