ウワノソラ 7 YEARS Live 2019.8.3
私が大好きなバンド、ウワノソラ。
今年はウワノソラがデビューしてから10年という節目の年です(結成は2012年)。
先日、メンバーの角谷さん、いえもとさんともにXで10周年に関するポストをされていました。
残念ながら私は1stアルバムが出た当時は存在を知らず、後追いでこのアルバムを入手したのですが…。
このアルバムについてもまた改めて書いてみたいところです。
さらにウワノソラはこの9月末に新作EPをリリース予定で、そちらも楽しみですね。
NYのシンガーソングライター、Ben Sadockさんとの共作とのことです。
この新作から先行配信されている楽曲もあります。
これがまた良い曲なので、EPへの期待が高まっております。
「What a Strange Winter」
「AOK」
さらにウワノソラの別名義、ウワノソラ'67のアルバム『Portrait in Rock’n’Roll』、こちらこの7月から配信が始まっております。
ウワノソラ'67名義の1stアルバムも来年でリリースから10年…このアルバムには思い入れがあり過ぎるので、それこそ改めて何かしら書きたいなと思っております。
と、ウワノソラ周辺が盛り上がっており、大変嬉しい次第なのですが、今回の記事は今からちょうど5年前、2019年8月3日に行われたライブについてです。
私にとって非常に重要なライブ体験となったこの日からちょうど5年、あっという間だったような、長いような…。
そもそもウワノソラはフルバンドでのライブは2015年の神戸、2019年の東京と2回しかライブを行っていません(2013年に京都でアコースティックライブは行っているようです)。
そして私は2015年のライブを見逃しています。
痛恨の極み。
そんな貴重なライブ、本当は記憶と興奮がしっかり残っているうちに書き残しておくべきだったのですが、覚えている限りのことを今さらながら記録しておきたいと思います。
当日のセットリストは角谷さんが掲載して下さっています。
はじめに「渚まで」からストリングスとコーラスのパートだけを抜き出したものがオープニングに流れ、ライブはスタートしました。
まずこのオープニングがとても良かった。
ストリングスとコーラスだけで全編聞いてみたいと今でも強く思っています。
1曲目は当時の最新作『夜霧』から「Sweet Serenade」。
まずはドラムのみから始まり、そこへベース、ピアノが順次加わり、その間に各メンバーが続々と出て来るという演出でした。
いえもとさんと角谷さんが登場した時の歓声は、ウワノソラのライブを心待ちにしていた皆の感謝の気持ちだったように思います。
初めて生で見るウワノソラ、とにかく目の前で動いている!という感動でいっぱいでした。
アレンジは音源に忠実で、メンバーの皆様方の演奏力に驚かされます。
2〜3曲目は1stアルバム『ウワノソラ』から「摩天楼」と「さよなら麦わら帽子」。
「摩天楼」は早くも一つのハイライト。
エンディングのキーボードソロとサックスソロで時間を取って、メンバーのプレイをしっかり聞かせようという姿勢が伺えました。
「麦わら帽子」は細かなキメが多く、演奏する側はさぞかし大変だと思うのですが、乱れぬ演奏、さすがでした。
エンディングはコーラスをフィーチャーし、オリジナルよりもピアノを前面に出したラテンタッチに。
ちなみにこの2曲のライブ音源は『くらげ』(2020年)というマキシシングルに収録されているので、そちらで聞くことが出来ます。
続いてはウワノソラ'67名義の「雨降る部屋で」。
盛り上がった会場を少し落ち着かせ、しっとりと聞かせる流れが憎い。
オーディエンスもみんな聞き入っていたように思います。
そして今度は『夜霧』から「ロキシーについて」。
この曲、2015年神戸でのライブでも演奏されていたようなのです。
その時のサックスソロがどうもすごかったらしく、2015年の自分との真っ向勝負だとサックスの杉野さんがライブパンフレットに書かれています。
いやー、そのライブの音源聞きてぇー、何で見に行かんかったんや!
それはともかく、エンディングはたっぷり時間を取ってサックスソロが披露されました。
2015年のライブを見ていないので比較は出来ませんが、素晴らしいソロだと思いました。
また途中の間奏はギターソロだったと思いますが、ギターの難波さん、ダークなプレイでこちらもとても良かったように記憶しています。
続いては1stから「現金に体を張れ」。
この曲はもともとラテンテイストのある曲ですが、イントロで角谷さんがクイーカ(多分…)を演奏していたのが印象的でした。
間奏前にみんなで「オレ!」の掛け声をしていましたが、あの時演奏されていたメロディは何かの曲のフレーズだったのだろうか…。
寡聞にして分からないので、分かる方がいらっしゃれば是非教えていただきたいです。
【2024.8.16追記
角谷さんからこのフレーズはウワノソラ'67「Hey×3 Blue×3」のメロディであるということをご教示いただきましたので、ここに追記させていただきます。
角谷さんありがとうございます】
そして「シェリーに首ったけ」。
The Ronettes ‘Be My Baby’でお馴染みのドラムフィルからあのイントロが流れ出した時には感涙でした。
ウワノソラを知ったきっかけの曲、ライブにもかかわらずあの音像が目の前で繰り広げられている…!
こんな幸せなことがあるだろうか…!
至福の3分間とはこの曲の為にある言葉なり。
そして次はカバーということで、こちらも2015年のライブで披露されたという松任谷由実の「タワーサイドメモリー」。
なんですが、リズムアレンジは竹内まりや「プラスティック・ラヴ」を援用するというあたりがウワノソラ流。
ユーミンのこの曲は恥ずかしながら知らなかったので、後日『昨晩お会いしましょう』(1981年)を購入したのでした。
いえもとさんのボーカルがとても良く、曲は知らなかったもののユーミンとの共通点も感じられるなあと感じるパフォーマンスでした。
そしてインタールード的なピアノソロを経て、始まったのが何とNegiccoに提供した楽曲「土曜の夜は」(2016年)のセルフカバー!
!とかつけてしまいましたが、当時この曲は存在は何となく知っていたものの、一聴して分からないというかなりお粗末なものでした…すみません。
周りの方々の話から、これが「土曜の夜は」であるということを認識した次第です。
こちらも後日アルバムと7インチを購入するという後手後手の状況、いやー恥ずかしい…。
購入後に何度も聞きましたが、これほど自然にシュガー・ベイブをオマージュしている曲も珍しいと思います。
不自然さ、いやらしさがないと言いますか。
「SHOW」を持って来るところがこれまた憎い。
大好きな一曲になりました。
「エメラルド日和」「夏の客船」は2ndアルバム『陽だまり』から。
「エメラルド」は明るげな曲調ながら、どこか憂いを感じさせる歌詞という相反する要素がうまく共存しており、演奏もハイエナジーな名曲ですが、後半で各メンバーのプレイアビリティを存分に見せつけられました。
ミュージシャンとして演奏で勝負する、ということの真髄を見せてくれたように思います。
アンサンブルを崩すことなく演奏で魅せる、そのバランスとセンスがやはりすごい。
また角谷さんが後半はパーカッションにまわられていたのも印象的でした。
「夏の客船」はウワノソラが公開しているMVで最も再生回数が多い曲なんですね(2024年8月3日現在)。
ウワノソラの代表曲の一つと言えると思いますが、あのMVの雰囲気が眼前に浮かぶような、こちらも素晴らしい歌と演奏でした。
ちなみに「夏の客船」はライブパンフレットに楽譜が掲載されているのですが、コードが難しくて全然弾けませんでした(笑)。
(「シェリー」の楽譜も掲載されています)
続いて『夜霧』から「マーヴィンかけて」。
テンポチェンジを繰り返しながら進むグルーヴィな曲で、見事に会場は盛り上がっておりました。
角谷さんのギターの弦が切れたのはこの曲の時だったと思います。
エンディングの小芝居(?)では角谷さんが初っ端からAl Greenの名前を挙げ、いえもとさんが「そ…そうやで(笑)」と答えるという、音源とは違った展開に皆の笑みがこぼれていました。
そして「次が最後の曲」といういえもとさんのMCにみんなが「えー!?」という反応を返した後に始まったのが、ライブオープニング時にアカペラで流された『陽だまり』収録の名曲「渚まで」。
こちらもアカペラをフィーチャーしたスタートでした。
「夏の客船」と対になるような詞世界の曲で、改めて両曲の詞を読むとものすごく良いです。
「渚まで」は展開がダイナミックな曲なのですが、それはこのライブでも再現されていました。
振り幅が大きいというか演奏するのが難しい曲ばかりのウワノソラなのに、的確な演奏をする皆さまがかっこいい。
ライブ本編の最後に相応しかったと思います。
そしてアンコール。
角谷さんから満を持してスペシャルゲスト、元メンバーの桶田さんが紹介されました。
紹介の際、桶田さんが作る楽曲のすごさを話されていたのが印象的でした。
ただ全て過去形で話されていたので、いえもとさんから「まるで桶田くんが死んだみたい…(笑)」と言われていましたが(笑)。
そんな桶田さんを迎えて、「陸の孤島の電子歌謡」を掲げた桶田さんのソロ第一弾、名盤『丁酉目録』(2017年)から、「有給九夏」を。
打ち込みメインのオリジナルに対して、生バンドで演奏とまさにスペシャル。
無機質に聞こえるけれどその実あたたかい、そんな桶田さんのライティングセンスが炸裂する名曲を、ウワノソラとしての演奏で聞ける貴重な瞬間でした。
「おやすみハニー」は1st『ウワノソラ』収録曲。
この曲を始める前に角谷さん、いえもとさんがエレピをバックにMCをされていたと思いますが、お二人の感謝の気持ちがストレートに伝わってきて、そんなお二人の作る素晴らしい音楽に出会えた幸せを思い、泣きそうに…。
一生聞き続けます、と気持ちを新たにしました。
またこの曲がロマンチックで良い曲なんです。
いえもとさんのボーカルがとても映える一曲でした。
そして立て続けに同じく1st収録の「恋するドレス」へ。
この曲も名曲で、ウワノソラには名曲しかないですね、本当に。
シンプルに思えるパターンながら、演奏は難しいタイプの曲だと思いますが、ライブ終盤になってもタイトにまとまったアンサンブルで、さすが皆さんスタミナがすごかったです。
上記角谷さんのセットリストではメドレーのように記載されていますが、これは曲終盤で「恋するドレス」のサビのコード進行はそのままに、各曲のフレーズを歌い込むという、マニアが喜ぶアレンジ。
「プールサイドにて」は一節だけ角谷さんがリードボーカルをとっておられました。
角谷さんのツイートに添付された写真、みんなが拳を突き上げているものはこの時の「涙のフォークボール」で「Oh Girl〜」の箇所を歌っているもののはずです。
そして本当に最後の曲、「Umbrella Walking」。
アルバムに収録されたのは『陽だまり』ですが、2013年にはMVが公開されています。
2015年のライブを見逃した私にとって、桶田さんを含めた形でこの曲の演奏を見ることが出来たのは幸せでした。
まさに大団円。
このあとサイン会が開催されたので、無理を言っていろいろサインをいただき、会場を後にしました。
あまりにも濃密なライブだった為、しばらく燃え尽きた感じでした、出演者でもないのに(笑)。
このライブ、映像化の話もあるようなので、気長〜に待ちたいと思います。
映像を見たら私はきっと泣いてしまうでしょう。
写真をほとんど撮らなかったのですが、手元にあるもののみ載せておきます。
以下、当日のグッズなど。
余談ですが、パンフレットの裏表紙のお店は本牧ブギーカフェというお店らしいです。
いつか聖地巡礼したいものです。
私がなぜウワノソラに惹かれるのか。
楽曲の良さが一番の理由ではあるのですが、それに加えて私がやりたかったこと、やりたかった音楽を具現化してくれているからなのです。
こういう曲を作って、生楽器で演奏したものを録音して、CD/LPというメディアでリリースして、音源と遜色ないライブを行う。
私には叶えられなかった夢なのです。
今の時代、こうした活動が難しいのは素人の私にも想像はつきます。
でも自分が理想とするものを崩したくないという強い意思を感じます。
そこに深く共感を覚えるのです。
私に出来ることなど何もないのですが、これからも長く音楽活動をされることを心から願っております。
とにかく自分が記録に残しておきたかったので、覚えている限りのこと、終演後にメモしたことをまとめてみました。
やっぱり文章力がないですね…申し訳ない。
5年前のことなので、誤っている箇所もあるかと思います。
その際はこっそりご指摘下さいませ。
見に来られていた皆さんの感想も聞いてみたいですし、2013年、2015年のライブを体験された方のレポートも大募集です。
会場にいらっしゃった方は当日の追体験を、来られなかった方には少しでも雰囲気を味わっていただけたらと思います。
遅れて来たウワノソラファンが検索をかけた時に、うまく引っかかるといいな。
最後に桶田さんのナイスツイートを。
2019.8.3
7 YEARS Live@月見ル君想フ
open 17:30 start 18:30
ウワノソラ
Vo. いえもとめぐみ
Gt. 角谷博栄
サポートメンバー
Dr. ナルハシタイチ
Ba. 熊代崇人
Gt. 難波大介
Key. 杉山悟史
Key. 宮脇翔平
Sax. 杉野幹起
Per. 玉田和平
Cho. 深町仰
Cho. やおいまりな
Cho. 宮原悠輔
スペシャルゲスト
Gt. 桶田知道
(敬称略)
本当に素晴らしいライブでした。
個人的なことで恐縮ですが、東京まで見に行かせてくれた妻に感謝を。
そして拙い文章をお読み下さった皆さま、ありがとうございます。