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「父親になって気づいた、何気ない日の贅
ある日曜の朝、娘が「今日は公園に行こうよ!」と布団を引っ張りながら起こしてきた。週末くらいゆっくり寝たい気持ちを抑えて、「よし、行くか!」と答える。お気に入りのワンピースを着た娘がリュックにお菓子を詰めている姿を見て、少し笑ってしまう。たった半日なのに、まるで遠足みたいだ。
公園に着くと、娘は草むらに駆け寄り、「パパ!これ見て!」とタンポポを指さして嬉しそうに叫ぶ。その無邪気な笑顔に、最近の忙しさで忘れかけていた大切なものを思い出す。手に取ったタンポポの綿毛をふっと吹く彼女の姿に、なぜか胸が熱くなった。
その後、遊具へ行くと、「押して!」とブランコに座る娘。全力で漕ぎながら「もっと高く!」と笑う声が響く。少し心配しつつ、「落ちるなよ!」と声をかけながら彼女の笑顔に力をもらう。
昼になるとベンチで一緒にジュースとお菓子を。娘が「パパが選んだジュース、一番おいしい!」と言うと、「だろ?お父さん、センスあるからな」とつい笑ってしまう。
帰り道、娘が「今日は最高だった!また来週も行こうね!」と言う。小さな手を握りしめながら、「絶対行こう」と答えた。その瞬間、日曜の朝がこんなにも特別になるなんて、父親にならなきゃ気づけなかったことだった。