見出し画像

赤ちゃんが来た日、娘が変わった日

初めての妹との出会い

長女が「お姉ちゃん」になる日が近づいていた。妻のお腹が少しずつ大きくなるにつれ、娘に「赤ちゃんが来るんだよ」と話しても、まだ2歳の彼女には実感が湧かない様子だった。私たちは娘が新しい家族にどう反応するのか、少しだけ不安だった。

ある日、娘がぽつりと言った。
「赤ちゃん、どこにいるの?」
僕は笑って「ママのお腹の中だよ」と答えたが、娘は眉間にしわを寄せてじっと考え込んでいた。僕にはわからない娘なりの葛藤があったのだろう。「赤ちゃんが来たら、お姉ちゃんになるんだよ」と伝えるたび、複雑そうな顔をする娘を見て、胸が少し痛んだ。

そしてついに、妹が生まれる日が来た。初めて病院で妹と対面したときの娘の表情は、今でも忘れられない。ベッドの上で寝ている小さな赤ちゃんを見て、最初はキョトンとしていたが、しばらくしてから私に向かってこう聞いた。
「パパ、この子、だれ?」
「○○ちゃんだよ。〇〇ちゃんの妹だよ。」
そう言うと、娘は恐る恐る妹のほっぺに触れ、ニコッと笑った。その瞬間、僕は「ああ、この子はちゃんとお姉ちゃんになれる」と確信した。

とはいえ、それからの生活は楽しいことばかりではなかった。赤ちゃんの泣き声に娘が泣き出したり、僕と妻が妹のお世話をしている間に、娘がすねたりすることもあった。でも僕は、できるだけ娘に目を向ける時間を意識した。寝かしつけの後にこっそり二人で絵本を読んだり、公園で全力で追いかけっこをしたりする時間は、私たち親子にとって特別なものだった。

今ではすっかり「お姉ちゃん顔」をするようになった娘を見ると、あの葛藤の時間もきっと必要だったのだろうと思う。父親として、距離感に悩む日々もあるが、「大丈夫だよ」と笑顔で言えるように、これからも娘たちと向き合っていきたい。

いいなと思ったら応援しよう!