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#17 地方の工務店が許容応力度計算をする意味

2025年4月から建築基準法の改正により、4号特例と呼ばれていた木造住宅においても確認申請時に構造計算審査を受けなければならなくなります。

この法改正になる対象は以下のものです。
・木造2階建て以下の住宅(平屋は変更なし)
・延床面積500㎡以下
・建物の高さ13m以下
・軒の高さ9m以下

一般の方には分かりにくい内容なので簡単にご説明すると

通常の2階建て以下の木造住宅は構造に関する審査を受けることなく家を建てることができたのが、しっかりとお役所のお墨付きをもらったうえで工事をしなければ家を建てることができなくなる

ということです。


ただし、ここで間違えて理解して頂きたくないのは、従前の住宅についても審査はありませんが、構造の検討は設計者によって計算されて、設計事務所にはその保存義務があります。

ゆえに、いちいちお役所のチェックは要らなかったけど計算はしっかりしてくださいね。

というのが従前のスタンスでした。
なので、構造の審査はありませんでしたが、構造の計算は各々の会社で行われていますので安心してください。(一部の会社は計算していないところもあるかもしれませんが…)

ここまでの結論としては、
法改正があろうがなかろうが、構造の計算はしているので特に大きな変更ではありません。
(一部の手抜き業者をなくす効果はありますが…)

ここからが本題です。
ではタイトルにある『許容応力度計算』とはなんぞや、ということです。
ます、一般的に構造を担保する計算方法には2つあります。

①壁量計算
簡易的な計算とも言われますが、しっかりと法に則った計算方法です。
簡単に説明をすると、床面積や見付面積に対して地震力と風圧力に耐え得る必要な壁量(筋交いや耐力面材)が必要な箇所に確保されているかという計算方法です。

②許容応力度計算(きょようおうりょくどけいさん)
少し難しい名前ですが、最近は少し住宅を検討され始めた方はお聞きになったことのある計算方法だと思います。
これは、壁量計算も行ったうえで、柱、梁に力がかかった時にどれだけの力がかかったら柱が折れてしまうか、梁が許容値以上のたわみを発生するかを全ての部材で行う計算方法です。
壁量計算の場合、柱の大きさや、梁の大きさは計算によって求められているものではないことがほとんどです。設計者の判断や経験値によるところが大きかったのが事実です。
しかし、許容応力度計算をすると計算による根拠をもって柱や梁の大きさが決まるので安心です。

図面の枚数の問題ではありませんが、壁量計算は多くて10枚程度あれば書けてしまうのに対し、許容応力度計算は数百枚にも及びます。


コムズカシイことを並べてしまいましたが、有本建設が許容応力度計算を新築の全建物で行っているのは、計算によって担保された部材を用いることで、より安心な構造を確保することができるからです。


結局のところ2025年度からの法改正はほどんど実働が増えるなどの問題は生じません。
ただし、審査の内容が増える分、設計期間はどうしても長くなってしまうと思われます。
同時に省エネについての図面の提出も義務化されることもあり、着工までの期間が長くなってしまうのは否めないかもしれません。
来年度以降に建築を予定されている方は余裕をもったスケジュールを組まれることをお勧めします。



と、特に大きな問題はないという内容だったのですが、この法改正によって一番どうなるか謎なのがリフォーム、リノベーション業界です。
果たしてどんなハードルが生まれるのか…

こちらについてはまた後日書かせもらいます

ではまた

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