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#3 なぜリフォームをするのか

新築住宅着工棟数が伸び悩み中、リフォーム/リノベーション業界は着実に増えつつあります
新築をメインにしていた会社もリフォーム業にも力を入れ始めることも増えて来ているのが現状です

リフォームと言っても規模は様々でひとくくりに出来るものでもありません。
ここでは分かりやすく2パターンに大別してみようと思います

①簡易リフォーム
壁紙や床の貼り替え、屋根の葺き替え、外壁の塗装などの修繕に近いものや、間仕切りの増設など暮らしに合わせた間取りの変更などのように、建物の躯体を変更することなくできるリフォーム

②フルリフォーム
間取り事態を大きく変更するものです。階段の位置や水回りの位置など建物の躯体を変更して行うリフォーム。
古家などで言えば傷んだ柱や梁、基礎までも修繕し、そのうえで新たな空間を創出するリフォーム手法です。

①に関しては工事期間や工事内容も短くて済むうえ、費用面でも抑えられるので手を付けるハードルは低く、確認申請などの手続きも不要な場合が多いので手間はかかりにくいと言えます


実は今回テーマにしたいのが②のフルリノベと言われるものです。
地方の空き家が社会問題になっていますが、空き家を再活用しようとしたときに、古い物件は建物の損傷も激しく基礎や柱、梁などの躯体のやり替えが必要になることがほとんどです。
また2025年4月からは建築基準法の改正で古家でも現行の建築基準法に合わせた基準を求められることになり確認申請が新築と同じように必要になります。このことを踏まえて考えるとフルリノベのハードルはかなり高いものになっていくと考えられます。

リノベーションと言っても、その内容によっては費用面で新築とほとんど変わらない費用がかかってしまったり、新築以上の費用がかかってしまうケースも少なくありません。

リフォームは新築を諦めた先の手段とは限らない
新築を建てたいけど昨今の価格高騰で中古物件を購入してリフォームをするということは良くあるケースです。このケースの場合、自分たちの理想としているラインを価格的にも物件としてもクリアしたうえで予算が新築に比べて抑えられるのであればお勧めしたい方法です。
実際にこのケースは我々でも扱うケースは増えています。

一方で古い空き家を購入してフルリフォームをしたり、元々先代が住んでいた家を引き継ぐ場合などのケースは、新築を諦めた先の手段とは切り離して考えるべきだと考えます。

理由は2つあります
①フルリフォームを必要とする場合、新築と変わらない、もしくはそれ以上の費用がかかる
②新築には新築の魅力があり、フルリフォームにはフルリフォームの魅力があるから

①については先にご説明した通りです。
大切なのは②です。
フルリフォームをする場合にはフルリフォームをするなりの理由が絶対に必要です。
多額の費用をかけてまでもフルリフォームをする訳ですからそれなりの理由がなければ踏み切れるものではありません。なので私は多額の費用をかけてまでリフォームを行う場合、なぜそこまでしてリフォームに拘るのかを明確にすることを心掛けています。
例えば、
・幼い頃から育った家で先祖代々住み継いできた経緯があり、思い入れが強いから
・この場所が好きで、この場所に溶け込んだ建物を外観だけでも残しつつ内部を使いやすいようにしたい
・古民家の家に住むことが夢で、新築住宅のようなものが苦手
・この建物は地域にとってもシンボル的なものだから残しておく価値のあるものだから

などなど理由は様々だと思います。ただそこに込められた『思いの強さ』がなければそのプロジェクトは進めることはできないでしょう

住まい手と建築会社がその思いを共有して、はじめてプロジェクトが前進すると思っています。

せっかくフルリフォームをするのであれば、古いものと新しいものが共鳴しあうような建築にできると良いのかなと個人的には思っています。


ということで今回は『なぜリフォームをするのか』というテーマでお話しました
リフォームには様々なケースがあります。
新築ではなくリフォームを選ぶにはそれなりの理由があるはずです。
その理由を明確にすることは我々工務店にとっても、ご提案する内容に大きな影響を与えます。
費用面で安く抑える為というのは、安易な考えであるケースもあります。

今一度『なぜリフォームをするのか』について考えてみてください。

ではまた

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