#6 地方ならではの需要【ガレージ編】
我々が活動の拠点としているのは岡山県です。
ご承知の通り地方都市と呼ばれる地域です。
ほとんどの方が車を主な交通手段としています。
ちょっと近くのコンビニへ行くにも車を使うなんてことはよくあることです。
電車もある程度整備されていてほとんどは電車で行くことは出来ますが、電車の本数は都会に比べたら少ないです。
我々が会社を構える備前市伊部というところは約1時間に1本しか電車が通っていません。
電車でカバーしきれないところはバスによる移動手段が確保されていますが、夜遅くまで運行しているわけではありません。
そんなこんなで基本的な移動手段は車という方が大半かと思います。
しかも多くの家庭は2台もしくは来客用も含めると3台分の駐車場は確保したいというご要望はよくあります。地方に限ったお話ではないのかもしれませんが、確かに小さなお子さんの送り迎えの際に雨が降っているときなどはビルトインガレージがあると便利ですよね。しかもお布団の持ち帰りの日だったりすると特に…
ここのところ立て続けにビルトインガレージ付きの新築受託のご依頼を頂いています。
しかもアワヨクバ、電動シャッターも付けたいという
ガレージの使い方についてはまた後日お話したいと思うのですが、ここではちょっとコムズカシイお話をしたいと思います。
ガレージの設計は意外と難しい
専門的なお話になるので興味のある方は読んでいただきたいのですが、ガレージの設計は皆さんが思っている以上に設計者にとっては難しいというお話です。
実際に何が難しいかと言うと『構造』です。
通常木造住宅と言うのは壁(外壁や室内の壁で耐力壁と呼ばれる部分)と各階の床(1階は除く)、屋根、そして骨組み(柱、梁、基礎)で支えられています
その各部材をバランスよく全体に配置することで地震に強い建物をつくることができます。
しかしガレージをつくろうとするとガレージの開口部の部分は大きく開いた状態になるので壁がなかなかとりにくく全体的にバランスの悪い建物になってしまいます。
しかも2台分のガレージを確保しようものならば巾広のシャッターになる為またまた設計は難しくなります。
そんな悩みを解決するために有本建設では『新つくば耐力壁』という特殊な工法を用いています。
これは株式会社タナカさんという建築金物をつくるメーカーさんの商品です。
『新つくば耐力壁』の最大の特徴をご説明すると、通常壁(耐力壁)と呼ばれるものは柱と柱の幅910mm(木造在来工法住宅の基本モジュール)の間に筋交いと呼ばれるバッテンを設けることで成立します。
しかしこの『新つくば耐力壁』は910mmの半分の455mmの柱間でも耐力壁としてみなすことができるようになります。
しかも『新つくば耐力壁』は通常の筋交いよりも強い強度を持っているので、ガレージを設計をする際にも広い間口を設けることが可能になり、よりバランスの良い住宅の提案が可能になります。
以前施工をさせて頂いた住宅にもこの『新つくば耐力壁』を採用させて頂きました。
間口が奥行に比べて狭い建物なので間口側の壁の量が極端に少なるのですが、これを『新つくば耐力壁』で補った事例です。
ここでもうひとつポイントとなるのが、この『新つくば耐力壁』というのは、構造計算の中でも『許容応力度計算』というちょっと複雑な計算をしたときだけ使うことができるということです。
木造の構造計算には簡易的に壁の量が建物の四周にバランスよく規定値をクリアするように配置されているかを判断する方法と、許容応力度計算といって1本1本の柱や梁にかかる力に対して十分な耐力を持っているかを計算する方法があります。この許容応力度計算についてはまた詳しくご説明したいと思います。
最近ではCMなどでも耳にするようになったのではないかと思いますが、この許容応力度計算を有本建設では標準で行っています。それにより『新つくば耐力壁』も使用することが可能になります。
今日はあえてコムズカシイお話をさせて頂きました。
しかし、構造や省エネ性能が住宅に求められる昨今において新しい工法や技術を取り入れることは、これまで出来なかったことが出来るようになる大きなチャンスです。
今後もこのようなコムズカシイお話をする機会があると思いますが、気が向いたらお付き合い願えればと思います
ではまた