キャッシュカードを落として家を買おうを決心し、ファイナンシャルプランナーに相談した話
マンションを買おうと思ったのは、クレジットカードと銀行のキャッシュカードを落としたのがきっかけだった。気がついたら財布のポケットからその2枚だけがスルリと落ちていたのだ。
結局、当時聴講していた大学の学生課から教室に落ちていたと連絡があり、無事に私の手元に戻ってきたのだが、手元に戻ってくるまでの数日間は文字通り生きた心地がしなかった。
まず思ったのは「早くお金を使おう」ということだ。その口座には30年かけてコツコツ貯めたほぼすべてが入っていた。これを失ったら同じ額を貯めることはもう絶対にできない。使う前に失うようなことがあったら死んでも死にきれない。すぐにこの通帳の数字を物に変えなくては。老後のための家を52歳のいま買おうと決めた。
次に私が相談したのは不動産屋ではなくファイナンシャルプランナーだった。私はお金にとにかく疎い。自分の年齢と経済状況で、いくらくらいの物件を買えるのか見当もつかないし、金利やローンもさっぱりわからない。固定と変動のどっちにしますかと聞かれても決められない。
会社の福利厚生でファイナンシャルプランナーへの無料相談ができると思い出してアポを取り、一から教えてもらうことができた。給与や金融資産から年金の予定額まですべて提示し、今後、何歳まで働くつもりで何にお金が必要かも伝えた(酒も飲まないし旅行にも行かないが、猫にはお金がかかるかもしれないし、家具やインテリアにもお金をかけたい、など)。
ファイナンシャルプランナーと話す中で知ったのは、私の知識が古いことだった。住宅ローンを組む際は可能な限り頭金を用意し、繰り上げ返済に務めるべきだ、というが私が知っている住宅購入の知識だった。だから私は貯金の大半を使って住宅を得ようとしていた。今はそうではない、と彼は言った。
彼の話をまとめると、低金利の今は頭金は考えず、住宅ローン減税の制度をフル活用したほうが良い。私が定年を迎える頃に住宅ローン減税の適応も終わるので、その時にローンを抱えていたくないと思ったら退職金も合わせて精算すれば良いが、「僕は急いで返済する必要はないと思いますよ」と、私が99歳になるまでのキャッシュフロー表を提示してくれた。
キャッシュフロー表を見ると「先のことはわからないけど、まあなんとかなるか」という気持ちになれた。おかげで大体の予算を決める事ができたので、物件探しに着手した。