無能な脳外科医に「何かあったらおまえのせいだからな!」と怒鳴られたときの話。〜そしてヘルプで駆けつけて来てくれた小児外科医に惚れそうになった話〜
もう何年も前の話。
ICUで夜勤をしているとき、患者さんが急に徐脈になった。洞性徐脈。
徐脈になる前から意識の無い患者さんだったので、意識レベルの変化や自覚症状は確認できなかったが、バイタルサインをはかりつつ、リーダーにドクターコールを依頼する。
そして、ドクター(常勤の脳外科医)が来て早々、そいつに怒鳴られた。
「なんでもっと早く呼ばないんだ!何かあったらお前のせいだからな!」
(いや、呼んだし)
無能な医者はどうしていいかわからないから他人のせいにする。
このままでは患者さんが危ない。
その病院の当直は、常勤とバイトの2名体制。
外部からバイトで来ていた当直医にもコールすることにした。
その日は大学病院の小児外科から超優秀な若いドクターがバイトで来ていた。
「硫アトを静注してください。量は…半分くらいでいいかな。」
ずっと冷静。
顔は特別イケメンというわけではなかった。
でも、急変時に落ち着いて対処する医者は本当にかっこよく見える!!
バイトドクターのおかげで、患者さんは無事であった。
プリプリ怒っていた常勤脳外科医は、バイトドクターの前でニコニコしている。
バイトドクターが去ったあと、常勤脳外科医が12誘導などの検査指示を出してくれた。
医者になるくらいだからきっと地頭は良いのだろう。
優秀であるだけでなく、急変時や忙しいときに、落ち着いて指示できるドクターって、本当に少ない。
人間性の高い人。
そういう人のもとで働けたらラッキーだなって思う。
今後、医者でなくても、そういう人と一緒に働きたいと思うから、私も人間性を高める努力をしよう。