エヌビディア GTCキーノート
エヌビディアの自社イベントGTCが3月18~20日シリコンバレーで開催された。ともかくこのジェンスン・ファンCEOのキーノートを一通りみていただきたい。英語がいまいち聞き取れないところがあっても、以下の要素を感じられると思う。
イベント自体のクオリティ:計算し尽くされて綻びのない完璧なセッション構成、コンサート会場のような盛り上がりを促す会場設営・美しくダイナミックなビデオ画像
会場の高揚感:オンラインでも伝わってくる、一時期のアップルの自社イベントにあった盛り上がり
ジェンスン・ファンのトークのうまさ:ただうまいだけではなくて、パッションと超優秀さ・ユーモアセンスが感じられる、スティーブ・ジョブズに匹敵するトークセンス
ジェンスン・ファンは、この2時間のキーノートをカンペも見ずに高いテンションをずっと保ったまま話し抜けた。しかもキーノートのカバー範囲は自社新製品から膨大なパートナーから選りすぐった多方面のケーススタディまでめちゃくちゃ多岐に渡っている。半導体という要素技術なので適用分野がそうなるのは必然なんだけれど、IT大手他社の自社イベントがかわいくみえてくるレベル。盛りだくさんすぎる内容を澱みなく話し切ったジェンスン・ファン、恐るべしである。
まずは、改めてこのぶっちぎりのスピード感、やりきる胆力を感じて欲しい。
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次に言えるのが、今シリコンバレーで何が起きているのか、これから社会がどう変わっていくのか、それがこのエヌビディアの自社イベントに集約されているということ。
IT業界のこれまでを振り返ると、その戦いはいかにプラットフォームを握るか集約される。マイクロソフトのウィンドウズ、グーグルのサーチエンジン、アップル・グーグルのモバイル、フェースブックのSNSときて、今回エヌビディアがそれに仲間入りしたと言える。
今生成AIが世界を変えつつあるのは間違いないわけで、オープンAIあたりがその先頭を走っているけれど、どこが生き残るか今後の成り行きは予測不可能である。一方で金鉱のツルハシ・GPU、それを実質業界屈指のクオリティでほぼ独占提供しているエヌビディアのビジネスモデルは岩盤だ。AIベンダー、クラウドベンダー、ITベンダーをはじめ、超広範囲分野にわたってのパートナー及びクライアントとの付き合いが広がっている。
しかも、エヌビディアはGPU独走状態にあぐらをかくことなく、自社ソフトウェアKUDAの絶え間ないブラッシュアップでクライアントのロックインを図り、またロボティクスやヘルスケアなどの特定分野での独自ソリューションを展開したりと、ともかくその隙のなさ、パワフルさには舌を巻く。
そのエヌビディアの死角はどこにあるのだろう。AIの進化によっていつか訪れるAI自身の爆走? それともAI利用拡大による多大な電力使用に関連した何か?
ともあれこのキーノートは一見の価値おおありですので、お時間のある時にぜひどうぞ!