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【不正を学ぶ】CFE(公認不正検査士)ってどんな資格?
USCPAと言えばアビタス校ですが、入学すると他資格の講座も開催していることに気付きます。しかし、CIA・CISAは経理・監査にいれば知っている人も多いところ、CFE(公認不正検査士、Certified Fraud Examiner)はあまり知られていません。そんなレア資格の"試験"合格体験記です(私は試験に合格しただけで、CFEではありません)。
その前にいくつか他の記事を紹介。
1分で分かるCFE試験
3か月で会計初学者レベルから試験合格、総費用は25万円。
得られたもの①:浅く広い不正に関する知識
得られたもの②:オールバック(Debit Credit踊り)との邂逅(A校ネタ)
得られなかったもの:(深い)不正検査のプロフェッショナルスキル
受験当時のワイ(前提知識)
大学時代に取った日商簿記2級
そこらへんの事業会社(経理・監査部署未経験)
要は会計・監査、もちろん不正知識もゼロなクソザコでした(簿記1級・USCPAを学習する前にCFE試験合格を目指しました)。
試験合格までの道のり
2021年3月22日:Abitus入会
2021年3月下旬:ACFE入会
2021年6月12日:受験1日目「財務取引と不正スキーム」「法律」
2021年6月13日:受験2日目「不正調査」「不正の防止と抑止」
2021年7月15日:合格発表、合格証受取(メール)
2022年3月31日:ACFE退会
※2021年と少し前に合格しましたが本記事は今でも有効と考えています。本記事を執筆した2024年1月時点でAbitusのテキストの最終内容改定は2018年ですし、ACFE公式ウェブサイトにもこんなことが書いてありますしね。
主に「不正検査士マニュアル 2015年 インターナショナル エディション 日本語版」の内容から出題されます。問題の一部は「職業上の不正と濫用に関する国民への報告書( Report to the Nations )」から出題されます。( 概要や傾向が出題されます。試験対策には 2022年度版 をご覧ください。ただし、2020年度版 や 2018年度版 でも大きな違いはありません。)
かかったゼニ
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試験を受けるにはACFE JAPAN(日本公認不正検査士協会)の会員になる必要があるので、試験料の他に入会金と年会費が発生します。
予備校はAbitusを選びました(同校しか講座を解説していないと思います)。なお、教育訓練給付制度の対象外です。
試験情報
年に2回(土日)、申込締めは試験日2か月前と早い
ネット受験(自宅など、ネット環境が整った場所ならどこでも可)
180分/科目 x 4科目。1問あたり75秒の時間制限。
125問(4択or2択)中、94問以上(75%以上)正答で合格
試験言語は日本語モドキ(機械翻訳)。
試験合格だけではCFEや公認不正検査士を名乗れない。実務経験(2年間)と推薦状(3人)を提出しCFE認定を受け、毎年継続教育(CPE)とACFE JAPANにお布施をしてやっと名乗れる。CPEはUSCPAと互換性有。
試験合格は永続する。しかし、一度CFE認定を受けてお布施(資格継続)を止めた者は即破門、合格実績ごと剥奪される。なお、お布施額(CFE年会費)は33,000円/年。
勉強方法(Abitusの使い方+α)
使ったもの:紙テキスト、ウェブのMC問題集
使わなかったもの:講義動画、電子テキスト、紙のMC問題集
まずはテキストを一回通読。CFEの英文教科書を機械翻訳したような感じで、固有名詞をウェブ検索しても出ないため学習に苦労する。
次にMC(問題集)。3回も回せば問題と解答を覚えられて受験出来るレベルに達する(本項目下部に正答率推移を掲載)。なお、合格したいだけならテキストも読まずMCを回しまくれば良い。合格証だけではなく知識も欲しかったため一応テキストも読んだ。
MCは、①解く ②まとめノート作成(間違えた問題をまとめる)の繰り返し。まとめノートは寝る前に読んだ。
試験1か月前から試験3日前まで、デモ試験と称する接続テストが開催され、公式の問題に触れることが出来る。USCPAでいうRQ。
公式が、特定の予備校推すのは何か理由があるのか?まさか公認の不正か?
また、国際資格の専門校アビタスで CFE 資格試験対策講座が提供されていますので、あわせてご検討ください。(中略)次のような名称の Web サイトにて「CFE 問題集」またはそれに類する名称の教材が販売されていますが、いずれも弊協会とは関係がございません。ご注意ください。
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試験当日
1問あたり75秒の時間制限があるから、たまにヒヤることがある。
どの科目も制限時間(180分)フルでは使わない(30-50分くらい余る)。
MCとデモ試験を回し続ければ受かると思われる。試験内容は書けないオキテなので、塩梅だけ感じて下さい。
試験学習を終えて
浅く広い不正に関する知識が身に付いた。USCPAでは企業の財務報告に係る不正に絞られるが、CFEでは従業員側の不正(経費精算の不正等)、個人の不正(ポンジスキーム等)、窃盗・賄賂といった犯罪など、広く扱う。一方、それぞれのトピックは「~という事案にはXXXやYYYに気を付けましょうね」程度の浅瀬に留まる。
ACFEはアメリカに本拠があり、アメリカの商習慣がベースにある(小切手、医療保険制度等)。
Section 1「財務取引と不正スキーム」は、あまり得るものがなかった印象。会計は簡単だし、不正スキームは常識の範囲を出なかった。
Section 2「法律」は、裁判制度を学べたのは良かったが、CFEで学びたいトピックではなかった。
Section 3「不正調査」では、不正検査そのものの進め方を学べる。被疑者との面接の進め方などを具体的に学べ、実務への応用も出来ると感じた。
Section 4「不正の防止と抑止」は、「職業上の不正と濫用に関する国民への報告書」が興味深い。予防体制について、実務レベルまで踏み込んだ内容が欲しかった。不正のトライアングル、内部統制、COSO-ERM、職業倫理…と言った「いつものやつ」も健在。
合格証がしょぼい。
USCPAの学習範囲とのオーバーラップ
Abitusの章立てと、USCPAの学習範囲を対比しました。USCPAホルダーは初学者と比較して勉強時間30%減くらいでしょうか。
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受験される方は、頑張って下さい!