めちゃめちゃシンプルに説明する「社会主義」とは ~ビギナー編~
社会主義とは人民の友好の上に立つ相互繁栄政治思想である。(プロパガンダ映画的拍手)
Note 三発目だと言うのにいきなり痛い題材で書き出して香ばしいと思われたかもしれないが、仮にも私の大学の専攻は政治思想である。それも私は中高時代を通じて旧ソ連やら社会主義諸国の国家運営の資料やプロパガンダを読み漁っては友達に知識を押し売りしていたという今思えば赤面ものの青年であったため、社会主義思想はともかく常に関心の対象であった。というかここまできたらもはや趣味である。私のNote は趣味を書くものなので、今回はそんな趣味の押し売りを思い出して社会主義をとても分かりやすく説明しようと思う。
どんな文献にも言えることだが、1人の作者の意見(つまり例えばこの Note )や一つの情報媒体の意見を鵜呑みにして分かった気にはならないでください。余計なお世話ですが情報リテラシーは正しく身につけましょう。
シンプル過ぎる社会主義~歴史と考え方~
要するに社会主義は「格差で下の階級に追いやられている人たちも生き残ることができる暮らしを保証したい」という思想だと思っていただいて大きな違いはない。これが出発地点であり、現在色んな形をした”社会主義”たちも一応これを目指している。
偉人たちの名前は教科書で覚えてくれると助かるので、ここからはざっくりと書きます。社会主義は生まれたての頃、マルクス主義と無政府主義 (アナーキズム) という大潮流が二つできた。その後社会主義のデカすぎる主流となったのがマルクス主義である。ちなみに俺の細やかな専門は無政府主義なので、そのことについても今度書きますね。
①マルクス主義
マルクス主義では、資本主義社会ではすべての人民は「有産階級」か「無産階級」に別れるとした。
有産階級=ブルジョワジーは、早い話モノを作るノウハウを持った工場のオーナーであり、
無産階級=プロレタリアートは、早い話モノを作る工場で働くだけの人である。
(この辺はあまりにもシンプル解釈なので学会の人とかからはめちゃめちゃ怒られそうなくらいガバガバということは忘れないでください。)
そんでもって、以下の通り解釈してほしい。
ブルジョワジーはプロレタリアートをこき使う人でしかないため、プロレタリアートは怒る。
プロレタリアート、暴力でブルジョワジーを打倒
モノを作るノウハウは、プロレタリアートや元ブルジョワジーたちが全員で管理するようになり、当然そこから生み出された利益は均等に配分される。(社会主義社会)
シンプルにしても分かりづらいかもなのだが、要するにこういうことです。ちなみにこの後マルクスさんは「社会主義社会の上の段階である共産主義社会に到達するために、共産党を結成して党の指導の下全員で共産主義社会を目指そう」的なことを言ったため話がこじれ、現在でも社会主義=一党独裁というイメージがつくことになる。
(ちなみにこういう話をするのはちょっと怖いのだが、現在あるさまざまな「共産党」たちは、そのすべてが独裁を目標にしているわけではない。というか現代では基本的に多くの共産党たちは議会制民主主義の維持を大前提としたうえで各々目標として社会主義を目指している。身近な所では日本共産党も同じである(=ただし、日本共産党は戦後すぐの間はこのマルクス主義のように暴力による社会主義社会樹立を目指していたという歴史も同時に記すものである。))
そんなマルクス主義だが、まあ時の指導者たちは我流に解釈していく。そこで色々出てくるのがレーニン主義やスターリン主義、毛沢東主義だったりするわけだ。この辺の思想の違いはエライ面白いのですが、とりあえず社会主義だけ理解したいという人はここまでで大丈夫です。
とにかく大事なのは、マルクス主義=社会主義ではない。マルクス主義は「社会主義」という思想の解釈の中でたまたま主流になり、歴史上実験された「社会主義」たちの中で一番デカかったのがマルクス主義であったというだけだ。
②マルクス主義以外の社会主義
無政府主義については書き出したら止まらないので後にします。
ここでは現在の議会制でも残っている「社会民主主義」について説明する。先ほども書いた通り、社会主義はそもそも「格差で下の階級に追いやられている人たちも生き残ることができる暮らしを保証したい」という思想である。「その目標って議会制民主主義を通じてもできるくね?」という想いを持った人たちが考え出した思想こそ、社会民主主義である。
この社会民主主義は「ブルジョワ迎合」「修正主義」としてマルクス主義者にめちゃめちゃに批判されたりして、その歴史は実におもろいのだが、今回はその話は後回しにします(いつか書きます)。
社会民主主義はご察しの通り、議会制や資本主義を今すぐぶっ壊せとかそういう過激な思想ではなかったので、現在も多くの政党が掲げる思想である。例えばイギリスの労働党、日本やドイツの社会民主党などが掲げている。こうした政党に共通しているのは、「格差是正」を掲げ、高所得者への課税強化と国家や地方自治体による富の再分配を目指しているということである。
社会主義批判の紹介
現在主流になっている社会主義思想は上記の社会民主主義である。マルクス主義はソ連の崩壊とともにあっさりと傍流に追いやられ、いまでもマルクス主義を目指している国はほぼない。社会主義は一党独裁を正当化しているマルクス主義はもちろん、社会民主主義でさえ「課税や再分配を担う国家の権力が肥大し、それだけ経済停滞などを起こしやすく、社会にも閉塞感のようなものが漂う」という欠点が反対者からは指摘されている。
(そもそも社会主義に対するデカすぎる指摘が「なぜ実力で稼ぐすべを手中に収めたものが金を払わなければいけないのか」というものがあるということは、頭に入れておく必要がある。)
趣味思想として
このようにちょっと分かりづらい道を踏んだ社会主義なのだが、そんな社会主義を標榜した各国のプロパガンダは実に香ばしいものが多数であり、青年期の私は無事どっぷりハマった。とりあえずは趣味として入っても、読者ビギナー同志達にとって読んで面白く、学びも深まることは間違いない。率直に言って社会科の得意分野が一つ増えることにもなるので、若い同志達はぜひ趣味として取り込みたまえ。
(まだまだ書き足りないので今度中級編と上級編も書きます)