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【てくてく美術館訪問】田村セツコ展【弥生美術館】

ジャパニーズ「カワイイ」が世界に知られるようになったのはここ十数年くらいの間でしょうか。
世には様々なカワイイが溢れ、夢カワ、ゆるカワ、エロカワ、大人カワイイ等々、現在進行形で新たなカワイイが生まれ続けています。
いつものようにアート情報を漁る長月のスマホ画面のスクロールに滑り込んできたのは初めて目にするカワイイでした。
記事のタイトルは

田村セツコ展

ながれるようにその名を検索。
カワイイ!どれもこれも全部カワイイ!
たくさんのカワイイイラスト達と共に出てくるのは作者田村セツコさんの驚きの情報。
デビューは1958年(!)
絵描き歴65年(!!)
御年85歳(!!!)

マジかよ。

知ったばかりで知識も無しに等しいながら、近年生まれたたくさんのジャパニーズカワイイ達の礎的な存在であると感じました。

長月は田村セツコさんをこの情報で初めて知りましたが、カワイイ絵のみならず、先程の興味の塊ようなプロフィール。スルー出来るわけがナッシン。これは行くしかナッシン。

強風ビュービュー吹きつける2月の低温注意報日(シット!)行って参りました弥生美術館。

レトロな佇まいです。

弥生美術館さんは今回初訪問の美術館です。
今年一発目の出光美術館さんに続き、今回もお初お目にかかりますと静かにワクワク。
存在自体は勿論存じ上げておりましたし、今までも興味を引かれる企画展は何度か見掛けていたのですが、中々都合が付かず縁も遠いままでした。(出光美術館と同じ事言ってますね。)
ですので今回は念願と言えば念願かもしれません。
弥生美術館は不忍池に沿った大通りから住宅地の方へ入り5、6分の静かな中に建っていました。周りを東大のキャンパスに囲まれていて、正直目的が無ければ足を運ばない場所です。
ミラクル方向音痴の長月の最強の恩師Googleマップ先生の教えに全集中。
していたはずなのに一度キレイに通り過ぎる。
背後でシャッター音が聴こえ、(あれ?今通りすぎた人住宅の写真撮ってる?)と振り返り引き返すと上の画像と同じ景色が目に入りました。言い訳ですが周りに馴染んでるんですよ(美術館の割にはです。)

入場料金1000円。弥生美術館=竹久夢路美術館らしいです。

撮影は完全NGでした。
ですので感想を。
まずエントランスでチケットを購入し入場。
エントランス兼ショップという造りなので、入ってすぐにグッズに後ろ髪を引かれながらワクワクと展示室へ進む。いくつになっても非常に落ち着きがない。

展示はまず、セツコさんがデビューする前のデッサン画などから始まります。
上手いんです。
どんな画風でも絵を描く上でデッサン力は無くてはならない技術なんだなあといつも思います。ユニークでコミカルなイラストタッチの元祖カワイイ画風ですが、人並み外れたセンスの底にはしっかりとした画力と高い基礎が見られました。

展示はデビューしてからの少女雑誌のイラストや文具などのグッズと続きますが、とにかくどれもカワイイ✨
見るからにレトロな絵も、時代を越えて支持される可愛さ✨

展示もグッズもアリス作品をたくさんみました。

これは購入したイラスト集の中の一枚ですが、この作品のようにビーズやレースなどをイラストにコラージュした作品もたくさんありました。描くだけでなく他の表現も併せてカワイイの高みを目指しているかのようです。

セツコ展は1階から3階まであり、1階から時系列で展示されている構成です。長月は一番古い1階の展示が一番好みでしたが、それに関連するかの様な心に残るエピソードが展示されていました。
ざっくりとですが
怒涛の仕事をこなす中、昔の作品の事を未熟で恥ずかしいと感じていたセツコさんがある日ファンの方に昔の作品が好きだと言われ、「昔の作品は今では恥ずかしいもの」という風に返答をしたそうです。
するとそのファンの方に「昔の作品にもファンはいる。勝手な向上心は迷惑です。」とお叱りを受け、自分の勘違いに気付いたというエピソードです。

すごいなこのファンの方。友達になりたい。

実際どんなニュアンスのやり取りだったかはわかりませんが、ファンの方の言葉と感情のセンスと、今後の自分の糧になる捉え方がその場でできたセツコさん。
きっとその場には少しの緊張と多大なポジティブなオーラが満ちあふれていた事でしょう。何気無いようで絵描き人生に影響のある出来事だったと思います。
他人に目から鱗を落とさせることが出来る人って憧れます。一生に一度くらい、私も誰かの目から鱗を落としたいな。

展示はオリジナルの作品から童話や有名なお話の挿し絵に続いて行きます。
セツコさんの不思議の国のアリス、人魚姫、若草物語、お茶目な双子、どれも子供の頃に絵本やアニメで見た大好きな作品ばかり。セツコさんの絵の作品で育ちたかったな。本当になんで今まで知らなかったんだろう。
みんな大好きサンリオの仕事も多数されており、貴重な昔のいちご新聞なんかも展示されてました。カワイイの最強タッグが見られます。セツコさんご自身の写真もあり、お若い頃はまるでアイドルの様です。加えて服がとてもお洒落✨海外旅行好きでパリに住んでおられた等、天性の感性と海外のトレンドを掛け合わせ、自身のモノにしたようなファッションはセツコさんにとても似合っていました。多様なカワイイまみれの現在はファッションの種類も存在する趣向の数だけあり、それぞれの表現を理解しあう形で共存していますが、この風潮が出来たのは恐らくそれほど昔では無いような?
セツコさんはファッションに関しても先駆け的なアクションをおこしていて、それは今でも続いている様に思います。↓小さいけれどこの写真が根拠です。

ご本人はまんま作品のカワイイガールのような方。ご本人もファッションも、85歳の今でもこんなにカワイイんです。
これはイラスト集にはさまれていたメッセージカードです。近年発売されたとの事ですが初のイラスト集だというからまた驚きです。昔の作品集も作って欲しいな。

あまり中を載せるのはよろしくないかも知れませんが、魅力を伝えたいので差し障り無いよう少しだけ。

拡大してみて下さい

上画像は水彩タッチ、下画像は油彩タッチです。個人的にはキャンバス地に油彩タッチが好きです。フワッとした綿毛の様な暖かいタッチです。

耳付き帽子やお花が咲く冠。柄のコラージュ。輪郭線は描画部分毎にカラーが異なり色彩が楽しい。
上ポストカード下マグネット

購入したグッズです。(イラスト集は後日ポチりました。)
どれもお気に入りです。上3作が特に好きです。
初期の作品のグッズや作品集も欲しいなぁと思いました。
前述した昔の作品を恥じたというエピソードに話が戻りますが、長く活躍されれば時代も変わり、流行りも変わるのは当然のことだと思いますが、本当にどの時代の作品にもファンがいると思います。それはセツコさんに限ったことではありませんが、以前の作品に疑問を持つことは自身が進化し続けているからではないでしょうか。最新の自分と以前の自分の力に違和感を感じるのは至極当然。昔と別人の様に作風が違う画家なんて珍しくありません。アーティストあるあるの1つかと。
去年出版された作品集のあとがきには相変わらず昔の作品を修正したいとの記述が。

あらら?それは違うと気付いたんじゃなかったんスか?😅
多分
頭で理解しながらも、現役でカワイイを生み続ける85歳の女の子の「勝手な向上心」は、無くなることは無いのかも。

弥生美術館 田村セツコ展は3月26日(日)まで。 長月


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