【VRC】匂いのない世界に香るもの 視嗅シナスタジア
VRChatにはたくさんの魅力的なプレイヤーさんがいますよね。
その中でも、自然と一緒に過ごす時間が多いような気がする、仲の良さだけでは説明がつかないような居心地の良さを感じる。そんなプレイヤーさんがいたりしませんか?
人は無意識に匂いに惹かれ、その匂いが自分の居場所を決める重要な要因となっています。
匂いは他者との関係性を形成する重要な要素と考えられます。匂いを通じて他者の存在を感じ取り、その存在が私たちにとって魅力的かどうかを無意識に判断するのです。
では、VR世界での"匂い"ってなんでしょう?
VR世界での匂いについて考え始めるきっかけのお話
5月中頃のある日、いつものようにフレンドさんに遊んでもらい大満足な私……では終われず、別れ際に長々と、普段はあまりしないような悩みや疑問を相談をさせてもらっていました。
悩みの1つとして、私がフレンドさんのところに遊びに行きすぎてはいないかという質問をしました。私のほうがプレイする時間帯が長く、フレンドさんの時間のほとんどを私と共有していただいていたので、以前の習慣の邪魔になっていないかだとか、色々と不安になったのです。
返答は、好きな場所にいればいいと思うよ。でした。
人は無意識に、好きな匂いに惹かれるように、居心地の良い、自分の居場所を探すのだと。
私の居心地の良い居場所を見つけた瞬間でした。
それはさておき……VR世界で"匂い"って?
存在しないはずの匂いについて考える
VR世界に匂いは存在しないはずです。
しかし、この世界には圧倒的なまでの視覚情報がありますよね。その没入感故に、究極の、視覚的なフィードバックを得ることができるのです。
例えば、私はVRChatの中でうちわを扇ぐと、頬に風が当たっているかのような涼しさを感じます。
これはVR感度、またはファントムセンスと呼ばれる現象の1つです。
あまりの没入感で感覚が鋭くなり、視覚情報から別の感覚が生じるようになります。
"なで"は視野角を撫でるように手を沿わせ、実際に撫でられているかのような感覚を得ていますよね。これは視覚情報から触覚が生じています。
このように、ある感覚刺激から別の感覚を得る現象を共感覚、シナスタジアといいます。
視触シナスタジア Visual-Tactile Synesthesia
おなじみの"なで"です。
視覚情報から触覚を得るシナスタジアになります。
視覚的な刺激が触覚として感じられることで、無意識の中に眠る感覚や記憶が呼び覚まされ、現実の体験として再現されます。
下の参考画像では、視野内でしっぽに触れることで、頬に触覚を感じています。気持ちよさそうですね。
視嗅シナスタジア Visual-Olfactory Synesthesia
視覚情報から嗅覚を得るシナスタジアになります。
例としては、コマーシャル等でラベンダーの映像が流れ、ラベンダーの香りを感じたりでしょうか。
私自身、視覚情報から嗅覚を得た経験が少ないのですが、下の参考画像は少ない実体験の中の貴重な一例です。
私は犬を飼っているので、ケモ耳だとかしっぽで記憶が呼び覚まされやすいのかもしれません。
感覚としては微々たるものではありますが、滅多に経験できない感覚を得た時の興奮は凄まじいです。もっかい!もっかいだけ!!って頭が壊れていくのを感じます。たぶん私はもうだめです。
シナスタジアは他にもたくさんの種類がありますが、ここでは割愛します。
心地の良い居場所
視嗅シナスタジアは無意識の欲望や記憶と深く結びついているようです。過去の記憶や感情が、特定の視覚の刺激によって呼び覚まされ、その刺激が私たちの選択や居場所に影響を与えます。この無意識の作用により、私たちは安心感や快適さを求めてデジタルの匂いに惹かれ、その匂いが私たちの居場所を決定づけるのです。
最後に
VR世界における視嗅シナスタジアは、無意識の深層にある感覚の交錯を表します。視覚的な刺激が嗅覚として感じられることで、無意識の中に眠る感覚や記憶が呼び覚まされ、現実の体験として再現されるのです。
感覚の境界を超えた深い交錯は、人間の意識と存在の複雑な織り成しを探るための重要な手がかりです。
この現象を通じて、私たちは存在と意識の新たな次元を探求し、感覚の交錯がもたらす深い体験を理解することができるのです。