20200816_良性でもつらい、汐うにの喜び

ぐるぐるぐるぐる。寝返りを打った途端、世界がすさまじいスピードで回転し始めた。地面に立てたバットに頭を固定してぐるぐるまわるあの遊び、あれ並みに回っている。目を閉じ吐き気をこらえて、ようやく落ち着きうとうとしたところに、無意識に寝返り。またぐるぐる開始。繰り返すうちに朝になってしまった。

おそるおそる体を起こすと、あら不思議。寝ている時より良いようだ。まだ吐き気はあるが、めまいは止まっている。この隙に検索すると、どうやらこれは「良性発作性頭位性めまい」というやつらしい。良性、という言葉にホッとするが、辛いものは辛いなぁ。

簡単に言うと耳石がへんなところに入っちゃっているのが原因で、長時間同じ姿勢を続けている人がなりやすいそうだ。身に覚えがありすぎる。耳石をもとの位置に戻せば治るらしく、体操?というか寝返りの方法みたいなものが紹介されていた。でもその体操中にめまい起きるけど気にしないでねと書いてあって、いやいや気にするよ、と思った。

とりあえず頭を下げなければ大丈夫そうなので、よろめきながら外出。二日ほど前、どうしようもなくビリヤニが食べたくなり、近所のジビエスパイス料理屋にテイクアウトの予約を入れていたのが今日だったのだ。歩いているうちになんとなくめまいは改善。よかったよかった。帰りは、整骨院帰りの夫と合流して家まで散歩した。

桜並木を歩いていると、夫がひたすら木を注視している。私が先日、いくら探してもセミの姿を見つけられなかった、という話をしたので、代わりにみつけてやろうということらしい。
あっ、と言うので近づいてみると、セミでなくてサシガメがいた。変なむしーというので、これはサシガメと言って刺すから触っちゃだめだよ、と教える。ふーん。痛いの?と聞きながらサシガメに手を伸ばす夫。コラ!と大きめの声が出た。人の話を聞け。めっちゃ痛いらしいぞ。

どの木にもサシガメがいることを確認しながら歩き、5本目くらいで本命のセミを見つけた。アブラゼミって格好良いよね。

持ち帰ったチキンビリヤニ・イノシシとリンゴのキーマカレー、モモのライタをめいめい食べる。それぞれ単体でも美味しいし、混ぜても旨い。結局最後はすべて混ぜて、複雑で豊かな味と香りを楽しんだ。最高だ。もっとここでテイクアウトしよう。

文章を書こうとしたがやる気が起きず、新しく買った化粧品を使って化粧をしてみた。やりながら、ウキウキした気持ちがだんだん消失していくのがわかる。そう、化粧をするということは自分の顔をよく見るということなのだ。自分の顔で好きなのは長い睫毛だけであとは全部嫌いだ。何もかも嫌になった。ぽーい。忘れよ。もっと前向きな時にやろう。

夜は、夫が福井で買ってきてくれた汐うにを初めて開封。バフンウニと塩を混ぜて水分を抜き、熟成させたもの。100gの汐うにを作るのに100個のバフンウニが必要だというから驚きだ。
小指の先ほどの汐うにをそっと前歯の裏側につけて、舌で優しく撫ぜながら日本酒をあおると、こりゃたまらん。凝縮されたうにの香り、旨味、苦みが酒に溶け出して、顔のほころびが止まらない。これはいいものだ・・。賞味期限がちょうどひと月ほどあるようだから、大事に少しずつ楽しもう。

ほろ酔いの勢いで、ラベンダー色のワンピースを通販で買った。着こなせるようにおしゃれの勉強をしよう。


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