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皮肉としてのリーズナブル
リーズナブルという言葉をご存知ですか。「リーズナブルな価格」「リーズナブルな店」などというように使う、あのリーズナブルです。
さて、それではお聞きします。あなたにとって「リーズナブル」とは何ですか?
何を聞いているのかといえば、価格が「高い」時に使うのか「安い」時に使うのか、どちらなのかということです。そんなの決まってるじゃないとお思いの方もいることでしょう。しかし、そうとも限らないのです。
実は私ははじめ、本来とは逆の意味で覚えていました。どうしてそんなことになったのかといえば、最初に「リーズナブルですね!」という表現を聞いたのがリーズナブルではないものに対してだったからです。
雨でずぶ濡れになって帰ってきた子供にお母さんが「あらあら綺麗になって帰ってきたわね」などと言ったりしますよね。これは「汚い」ことに対してある種の「皮肉」として「綺麗」と言っているわけで、ずぶ濡れの我が子の風体を綺麗だと思っているわけではないのです。
それと同じようなことです。たぶん漫画か何かの台詞で、まったくリーズナブルではないものをリーズナブルと評する「皮肉」があり、私の初見のリーズナブルがそれだったのです。本来の意味を知らない私は皮肉に気づかず、それが正しい使い方だと思っていました。
今でも「どっちだっけ?」と混乱することがあります。だから自分ではあまり言いません。「リーズナブルなお洋服ですね」などと言って二択を外したら失礼だし、間違えるのが単純に恥ずかしいからです。
正直こうやってテーマとして文章にしている今もちょっとわからなくなっています。自信がないので、どちらの意味が正解でも当てはまるような書き方にしました。リーズナブルの意味はわからずとも姑息な知恵だけはあるのです。
もしリーズナブルの意味を調べていてこの記事にたどり着いた人がいたら、私は力になれないので然るべきところできちんと調べた方がいいです。あなたは正しいリーズナブルに触れてください。私は私の歪んだリーズナブルを抱えてこれからも生きます。