【全曲紹介と回想文】aiko「夏服」
3rdアルバム「夏服」
高校2年の時に初めて買ったaikoのCDがこの「夏服」の通常盤。つまり、僕の家に一番長くあるaikoのCDです。近所の中古CD屋さんで購入しました。ごめんなさい。MDに録音して登下校の時や修学旅行先の北海道のホテルでも聴いていました。aiwaのポータブルMDプレイヤーです。ブックレットの写真にある、花びらを食む(噛むというより「はむ」感じの)aikoを真似して写真を撮った女子も多かったことでしょう。J-PHONEのSH-07とか、docomoのN251iとかで。
1.飛行機
もの悲しくも劇的なストリングスの音色が手伝ってか、前2作に比べて曲も詞も歌声もぐっと大人びた印象を受ける1曲目です。2015年にFM802やInterFMで放送された秦基博さんとの特番では、楽曲に仕掛けのある自身の曲としてこの「飛行機」を挙げていました。イントロやアウトロで聴こえる「ブゥゥワァアアンンン」という感じの音が、ピアノを逆再生したものだそう。歌詞にある「鶴」は飛行機のこと。やっぱJALかな。
収録ベストアルバム:「まとめⅠ」
2.be master of life
ライブでの定番中の定番中の定番曲、通称「ビーマス」です。ギラギラしたイントロがスピーカーから流れてきただけで会場の温度が3度くらい上がる。「誰が何を言おうと関係ない あたしは味方よ」というフレーズを、誰かに何か言われた日は聴きたくなりますね。こんなに心強い味方は他にいません。ライブではブレイクのあと溜めに溜め、会場をさんざん煽った上で巻き舌気味に「だっるぇえがぁ!」と歌ってくれます。GAGの宮戸さんも好きな曲としてよくこの曲を挙げていますよ。えんぴーぃす!
収録ベストアルバム:「まとめⅠ」
3.ロージー
運命には逆らえない8thシングル。2019年の調査によると「ロージー」は今イギリスで、女の子の名前ベスト30に入る人気の名前らしい。aikoの「ロージー」は男の子。
収録アルバム:「GIRLIE」
収録ベストアルバム:「aikoの詩。(Disc.2)」
4.密かなさよならの仕方
繰り返される「デデデ デデデ」という哀愁を帯びたギターの音色が辺りの風景を夕方に変えてしまうような曲。間奏やアウトロで展開される泣きのギターソロと、言葉ひとつひとつを確かに伝える力強い歌声が耳に残ります。一見「密かなさよならの仕方」について歌う曲のようですが、そんな都合の良い傷つかない別れ方はないという内容の詞で、逆説的なタイトルなのです。
収録シングル:「ボーイフレンド」
5.終わらない日々
とても好きな曲です。「ふ~」「ん~」とたびたび入るハミングのような声が心地よい。「たとえばあなたの情けない くだらないところさえも愛していきたい」とありますが、だめなところさえも認められる関係なら、何も怖れる必要はないんじゃないでしょうか。お互いがそうでないといけませんけれども。最後のバグって読み込みがおかしくなったみたいな終わり方もいい。いや終わらないのか。いーいー。
6.心日和
大変キャッチーなイントロで始まる、洗濯物を取り込みながら聴きたい曲。この曲はなんと全編に渡って振り付けがあります。DVD「有楽町で逢いましょう」で詳細が見られるほか、がんばってDVDの謎を解くとあの人が体を張って教えてくれるかもしれない。後年のライブでは爽やかアップテンポなアレンジで歌われますが、サビの後などで原曲の振りが登場することも。こちらはDVD「DECADE(LLR ANOTHER SIDE)」などで見られます。
7.September
「aikoのオールナイトニッポンコム」のコーナー、「ジングル大作戦」で生まれた曲とのこと。かなり低音のaikoボイスが続くバラードです。別れた恋人への消せない思いに惑う切ない歌詞が綴られていきますが、ほかならぬaikoが歌う言葉として胸にズシッと来てしまうのは「いつも元気だなんて決して思ったりしないでね」の一行。aikoに限らず、どんな人もほんとはそうなのかなと考えてみたりするのです。さかなクンとかも。
8.雨踏むオーバーオール
こちらも歌い出しの「あたしー」の低音がたまらない。淡々とした雨音のようなウーリッツァー(電子ピアノ)に「っぱ ぱらららーら」というホーンが傘の花を咲かすように色を添えます。高校の時、掃除の時間に指を机にぶつけてしまい、この歌のように「なんかいたーいー」と口ずさんでいたら、「それaikoのじゃん」とクラスメイトに声をかけられて仲良くなりました。バスケ部のシュッとした男子。なんか始まりそうな展開なのに俺が女子じゃなくてごめんねと思ったけど、彼はめちゃくちゃ可愛い子と付き合ってたんだ確か。じゃあいいや。
9.アスパラ
「教室」「廊下」と明確に学校を舞台の曲。ほのかな片想いのままで勝手に終わってしまう。その時の本人には辛い出来事で、思いも経験の一つですから消えません。ポコポコしたパーカッションの音が可愛い。DVD「有楽町で逢いましょう」ではイントロでぴょんぴょん跳ねるaikoが楽しそうにも程があります。失恋の心象を表すものとして「ただまずいだけ」と歌われているのは「溶けてしまったアイス」であり、タイトルの「アスパラ」ではありません。
収録シングル:「初恋」
10.ボーイフレンド
テトラポットな6thシングル。PVの服装がルフィみたいという話がありますが、そういえば懸賞金もかかっている。ちなみに100万$。何をしたaiko。
収録ベストアルバム:「まとめⅡ」「aikoの詩。(Disc.2)」
11.初恋
7thシングル。まばたきは角膜の乾燥を防ぎ像のブレを直す効果があるので、した方がいいです。しないと好きな人も見えにくくなりますよ。
収録ベストアルバム:「まとめⅡ」「aikoの詩。(Disc.1)」
12.夏服
「桜の木の下」における「恋愛ジャンキー」は「えせボーナストラックちっく」でしたが、今回はれっきとしたボーナストラック。そして、タイトルチューンです。「初恋」を再生してタイムカウンターが7分20秒(なつ?)になると無音から不意にaikoが歌い始める、静かなピアノ弾き語り。夏は、わくわくする待ち遠しい季節とは限らないことを教えてくれます。歌詞はブックレットには載っていませんが、初回盤では通称「ぺろり」で見られます。
★
6thシングル「ボーイフレンド」
「ナキ・ムシ」以来、4作ぶりに横向きに置くシングルです。セクシーアングル。
表は通常・初回盤とも同じですが、裏ジャケは異なります。こちらは初回盤のもの。
1.ボーイフレンド
収録アルバム:「夏服」
収録ベストアルバム:「まとめⅡ」「aikoの詩。(Disc.2)」
2.密かなさよならの仕方
収録アルバム:「夏服」
3.前ならえ。
タイトルに句点がつく珍しい曲。他には「湿った夏の始まり」収録の「うん。」くらい。アルバムタイトルでは「aikoの詩。」がありますね。
収録ベストアルバム:「aikoの詩。(Disc.4)」
4.ボーイフレンド(Instrumental version)
てけててけててけててけててけてけ。バンジョーって音はめっちゃ楽しいけど弾くのめっちゃ難しそうじゃないですか。
★
7thシングル「初恋」
カラートレイはちょっと和な感じの落ち着いた緑。こういう色合いは珍しい。
このまま寝たら手がしびれる初回盤裏ジャケ。
昔の悪ガキみたいなポーズの通常盤裏ジャケ。
なぜこんなに載せているかというと「初恋」のジャケットが特に好きだからです。
1.初恋
収録アルバム:「夏服」
収録ベストアルバム:「まとめⅡ」「aikoの詩。(Disc.1)」
2.アスパラ
収録アルバム:「夏服」
3.脱出
この二字熟語をタイトルに決めたことがまず格好良い。「ジーンズのポケット指を入れてみた あたしはここに入りたい」という歌詞がありますが、アルバム「秋 そばにいるよ」リリース頃の「ロッキング・オン・ジャパン」にaikoのインタビューが載った際、同じ号の編集後記にジーンズのポケットに入っているaikoのカットが描かれていたので、イラストレーターは「脱出」の詞をイメージしたに違いありません。
4.初恋(Instrumental Version)
★
8thシングル「ロージー」
再び縦置きに。「歌う前髪一直線」の名は伊達じゃなく、前髪の揃い方が神がかっています。
1.ロージー
収録アルバム:「GIRLIE」「夏服」
収録ベストアルバム:「aikoの詩。(Disc.2)」
2.キスでおこして
DVD「aiko LOVE LIKE POP add. 10th Anniversary」では「ジェット」の中でベースの須長和広さんの手により思わぬ形で登場。aikoの声でないとメロディの印象がガラッと違うことがわかります。
収録アルバム:「astral box」
収録ベストアルバム:「aikoの詩。(Disc.4)」
3.あの子へ
隣で寝ている恋人を見て感じたことを綴る歌詞ですが、後の「シアワセ」のように不安な影はなく「きっと世界一 幸せ」と歌い切っています。「ロージー」の3曲はどれも「好き」が溢れている詞ですね。すべてメジャーデビュー前からある曲で「あの子へ」が最も初期の曲と思われます。「あじがとレディオ」のエンディングで流れているのは、インディーズ時代のバージョンである模様。声がフレッシュ。
4.ロージー(Instrumental)
本人の声なしでアウトロのaikoを再現できたら、きみもロージーマスターだ!
※シングルコレクション「aikoの詩。」収録曲についてはリンク先にも記事があります。