【全曲紹介と回想文】aiko「小さな丸い好日」
1stアルバム「小さな丸い好日」
メジャー1stアルバム。僕は「桜の木の下」「夏服」より後に初めて聴きました。発売は99年。今でもライブでよく歌われる曲がいくつもあり、aikoさんの楽曲が当時から圧倒的なクオリティで色褪せないことがわかります。今聴いても古さは感じませんが、声や歌い方には初々しいところも。リズムが打ち込みの曲が何曲かあるのも特徴的です。何度か再発されているので、通常盤・初回盤ともに微妙に仕様の異なるパッケージが複数あるそう。
1.オレンジな満月
再生すると「だだだん!」とワクワクする音が鳴りイントロが始まる。つい再生したくなる。これぞ1曲目です。上がったり下がったりaikoは軽やかに歌いますが、自分で歌おうとすると「いや、こんなメロディだっけ?」と混乱するでしょう。アルバムタイトルはこの曲のフレーズから。僕は「好日」という言葉を初めて知りました。歌詞にある「わぅわぅ」は、実際は「あぁわぅわぅわっあぁ」です。夜に部屋で一人、好きな人を思って聴くと良い。
2.ジェット
ライブで定番の曲。「ゆっくりしてるともったいないよ」と歌っていますが、ライブではもっとアップテンポで、キーボードの「たたんたたん」が気持ち良いです。ライブDVD「aiko live tour Love Like Rock(LLR2)」ではaikoが水鉄砲を発射しながら歌っていました。あれを浴びたい。「好日」に収録されたバージョンでは「Gun Gun」のところが好き。「っがんぐぁ〜ん!」とコブシを回す勢いでガツンと言ってくれます。
収録ベストアルバム:「まとめⅡ」(※新録)
3.私生活
最初はこの「私生活」をアルバムのタイトルにしたかったそう。曲名に偽りなく、大胆で生々しい歌詞が鮮烈です。イヤホンで聴くとコーラスがくっきり聴こえて、左右で異なるaikoを堪能できます。最後のサビになると、aikoの歌がパラッパラッパーでCOOLになった時くらい自由になる。伝われ初代PS世代。ライブDVD「ポップとロック(LLP13add)」では、ストリングスの入ったアコースティック編成で歌う姿が見られます。
4.歌姫
僕は「歌姫」という言葉に、なんとなくディーヴァ的な、姿勢よく腹から声を出して歌う自信に満ちた人のイメージがありました。でも、この曲で歌われるのは脆くて必死で、「がんばれ」という歌詞にもあるように応援したくなるような歌姫です。aikoさんの声がうまく出ず、公演を休止した時には、この歌のことを考えましたね。歌を生業にしている人には生涯のテーマなのではないでしょうか。
収録ベストアルバム:「まとめⅡ」
5.赤い靴
ひずんだギターのイントロが印象的。恋人に別れを切り出された心境が歌われます。無理して底の高い靴を履いていたのは好きな人のためで、そのくらい好きだったのかと、別れに直面して改めて気づくのです。最後のサビの前の「ばいばーい」にあわせてか、ライブの最後の曲として演奏されることも。でも、「あいこー!」って呼んだらまたステージに戻ってくるかもしれないよ。
収録シングル:「ナキ・ムシ」
6.イジワルな天使よ 世界を笑え!
いち、にっ、さん、しい。インディーズ時代からある曲。華やかなホーンの音が楽しい。ライブDVD「Love Like Pop(LLP4追加公演)」では「Peace Yeah!」のところでピースサイン、「Good Yeah!」のところでOKサインをしてほしいと赤坂BLITZのお客さんにお願いする場面があるのですが、やってない人を客席から見つけ出すaikoの姿に、まだライブに行ったことがなかった僕は大変びびったものです。アァオ!
収録アルバム:「GIRLIE」
7.恋堕ちる時
涙四角いあぶくになるぶぶ。「魚」「怪獣」など絵本に出てきそうな言葉、ハンドクラップやタンバリン(鈴?)の音、少し鼻にかかる声から、全体としては幼げで可愛らしい印象ですが、「あたしはあなたなしでは生きてゆけない体になるだろう」と、ドキリとすることを歌ってます。「四角いあぶく」というフレーズですが、「三角の目」「丸いかたまり」など、aikoはたびたび変わった形の表現をします。「丸い好日」もそうですね。
8.夏にマフラー
優しい音色の、優しいメロディのギター。サビの透き通るような高音の歌声がピュアです。歌詞には無い「夏にマフラー」は、好きな人と一緒にいるとそれくらいに暑いよということ。つまり「夏にダウン」「夏にコタツ」「夏にハロゲンヒーター」「夏に熱湯風呂」でも意味は通るわけですが、やはり「夏にマフラー」という優しい響きがしっくりきます。最後に声が途切れて吐息が漏れるところ、好きです。
9.ボブ
ピアノ弾き語りによる短めの曲。タイトルの「ボブ」は髪型のボブです。手紙のようなですます調の文体で、好きだった人への忘れられない気持ちをちょっと強がって歌う、直球の切ない曲です。バンド形態の演奏では「密かなさよならの仕方」や「瞬き」のようなリズムのアレンジになる。ライブDVD「ROCKとALOHA(LLR7)」ではスタンドマイクの前に立ちブルージーに歌うスタイルで、見たらしびれると思い〼
10.ナキ・ムシ
2ndシングル。aiko特集の「別冊カドカワ」では椎名林檎さんが「私の好きなaikoが全部入っているゾ」とコメントを寄せていました。
収録ベストアルバム:「まとめⅡ」「aikoの詩。(Disc.3)」
11.あした
デビューシングル。小森田実さんによる作曲、編曲。aiko本人の作曲ではないため、後から詞をつけた珍しいパターン。
収録ベストアルバム:「aikoの詩。(Disc.1)」
★
1stシングル「あした」
8cmシングル。みんな知ってるかい8cmシングル。ケースが縦に長くてぺらぺらなんだぜ。
再発の12cm盤はこちら。上に一枚羽織ってたことが判明。
1.あした
収録アルバム「小さな丸い好日」
収録ベストアルバム:「aikoの詩。(Disc.1)」
2.I'm feeling blue
しゃーららら歌ってーいるー。「あした」の収録曲ですが、こちらは「島やん」こと島田昌典さんのアレンジ。
収録ベストアルバム:「aikoの詩。(Disc.4)」
3.あした(instrumental)
あしたのインスト。ちなみにコーラスの「うぉううぉおお、あー」も抜かれています。
★
2ndシングル「ナキ・ムシ」
最初の発売時は薄いケースでしたが、再発時に後のシングルのようなぶっといケースになり、カラートレイの初回盤も作られました。(写真はぶっとい方の通常盤です)
1.ナキ・ムシ
収録アルバム:「小さな丸い好日」
収録ベストアルバム:「まとめⅡ」「aikoの詩。(Disc.3)」
2.赤い靴
収録アルバム:「小さな丸い好日」
3.二時頃
ベストアルバム「まとめ」に唯一カップリングから選曲されたり、アルバム「May Dream」の特典CDに新しいアレンジで収録されたりと、人気の高い曲です。印象深い歌詞はやはり「バニラのにおいがするTinyな女の子」ですね。電話の向こうにいる好きな人の隣で、別の女の子が深い寝息を立てている。それだけで残酷ですが「Tiny」ということは自分に似た女の子だったりするのかなと思ってみたり。
収録ベストアルバム:「まとめⅠ」
収録アルバム:「May Dream(初回限定仕様盤C)」(※新録)
4.ナキ・ムシ(Instrumental version)
※シングルコレクション「aikoの詩。」収録曲についてはリンク先にも記事があります。