少年と狸姫【上】
夢で少年と出会った。
ここの赤い空は暗く、、ずっとなりぱなしの雷は月の代わりになって周りを光らせてる…昼も夜もないようだ。
そこでわたしはすでに決まってる道をなぞるように歩いていた…何故か、わたしは綺麗なシルクドレスを着てティアラみたいなカチューシャで垂れ下がる長い髪を止めている…薄い水色のドレスは足首からは裾が浮いて歩く度にふわっと上下が揺れる。
`手が空いて楽な世界だな…
だけど裸足は辛い、、'
生き物ところかみずみずしいものは一切見えない、動くのは枯れてる木の枝…。枝をじっと見つめて砂風に揺れ出したら真っ先に間をつぶって足を止めた…風が去るのを待つ。わたしは小石で傷んでいく裸足で歩いたり止まったりしながら歩き続けた。
このイタズラに飽きたわたしは次の風が来る前には向こうにみえる大きい何かに向かって走ってやろうと…
足が痛くても止まったら2度は走ることは無いと分かってるわたしは見事に走り切った。
辿り着いた場所には大きい石の壁が建ってあり、壁の前には木の椅子と丸くて小さいテーブルが置いてあった。そして片方の椅子には小汚い少年が座ってこっちをみている。
わたしはゆっくり歩き空いてる椅子まで近づいてテーブルに手を置き椅子を出し足を休ませようとした、、でもどうしても座れない。
お尻に何かが当たり邪魔で仕方が無かった、
「何よ!?」
少年は豪快に笑い出した、でも開いた口の割に笑い声はびっくりするほど出ない…。
「俺を騙すな!
俺は馬鹿じゃないからな!」と笑いを止めて怒鳴ってきた。
`えっ?'
わたしはやっと自分の後ろ姿をみて気づいた、わたしのお尻には大きな尻尾が付いてあった。
少年はいつの間にかわたしの横に来て尻尾を軽く撫でて、
「これはタヌキの尻尾だー
お前は綺麗なドレスを着ているが姫様なんかじゃない!何者だ?」
`負けるな'
わたしは気を取り直し、まだ背が低い少年を見下ろしていってあげた、
「少年よ、君に損はさせないから座り直しなさい。」
そして少年がニヤけながら自分の席に戻るのをみてからややボリューミな尻尾をなんとかくるまって椅子に座ることができなのだ…。
少年は疑い深い目でこっちをみている、、わたしも返すように少年を見つめた。沈黙の睨み合いから疲れたのかわたしは意識が朦朧になり少年の顔でか秘めた記憶を思い出して夢から目が覚めた。
`はっ!'
ベッドから立ち上がり鏡の前に立った、お尻には尻尾が無くて…でもドレスとティアラも無くなっている。
わたしが秘めた記憶は、
11月誕生日に近づくと思い出す…。
初出会いは雨が降ってきた夜の三茶での約束だった、
「カレンはお父さんに似てて綺麗なの?」
苦笑いしながら私は
「どっちかのお父さんには似てるかもね。」
「どっちかの?」
「うん、お父さんが2人…つまりいないのと変わり無い。」居酒屋で乾杯をしてから5分も経たない2人だった。
「また共通点、一緒だね…俺もお父さんがいないから、生まれる前に失踪したらしい。」そういって彼は親指で私の下唇を軽く押した。
再び、夢で少年と出会った。
続きなのか、少年とわたしは椅子に座っていた。
わたしは慎重に言うつもりでこういった、
「 少年よ、私は…呪いにかかった! 」
それを聞いて少年は笑い、わたしの口調を真似して
「 狸姫よ、呪いじゃない。
呪文だ!お前はマヌケな呪文を自分にかけたんだ。ほらみてよ、その証拠で尻尾が残ってるじゃないか!」少年はまた笑った、
豪快なのに笑い声は聞こえなかった…。
わたしはわたしは目玉が赤くなり、眉間にしわが寄り、腹から大きな声を出して、喉も鳴らしながら大袈裟に泣き出した、
「わーん〜わーん〜わーん~わーん~」
わたしの目はどんどん赤くなり眉間にはどんどんしわが寄り果てには姫の顔が崩れ落ち出した。
わたしはもっと大きな声で泣いた、なのに泣きながらも半分開けた目で少年の顔をみた…
少年は席を外さず、両手で耳を塞いで泣いてるわたしをみていた…凄く凄く楽しそうな目で泣いているわたしを観てる…
……。
濡れたほっぺが気持ち悪くて夢から目を覚めた、
`次に少年を会ったらそれが最後になる!'
私は、出来るだけ寝るのを我慢して呪いの場所を尋ねることにした。