だご楽しかファースト
平川怜の足元を離れた、あの僅かな時間。
1秒もなかったと思うが、だいぶ長い時間、脳裏に浮かんだ来年のJ1。
(来年はどこまで行こう)
(カシマのハム焼きは何が何でも食いたい)
(エスコンが何だ!札幌ドームだろ!)
(ルヴァンカップもあるんよね?破産するくね?)
そんな妄想が駆け巡ったのも束の間。
虚しくも、高い音とともに跳ね返るボール。
あと数センチ。今まで数センチに救われて勝ち上がってきたが、あと数センチに阻まれた。
試合後は、ここまで連れて来てくれた選手たちを讃えたい気持ちでひたすら拍手した。
本当にありがとう。本当に楽しかった。
そして、このチームはこの日で最後。
一礼を済ませ、退場する前に大木さんと握手して去る選手たち。あのときのロアッソ熊本コールは声が震えそうになるのを堪え、選手にしっかり感謝を届けるのに必死だった。泣くなよ、げんのうち。
今年は本当に楽しませてもらった。
盛岡くらい雪降れよと期待した開幕山口戦、栗…いや、粟飯原の劇的ゴール、三ツ沢でのカモンロッソ、スコールの記憶しかない沖縄、新潟のおにぎり、大船渡でのバーベキュー。
書き出したらキリがないほど、試合も遠征も楽しめた。
いままで応援してきた中で1番楽しかった。
それは楽しさに連れられてどんどん増えてくる仲間がいたからこそ。
特に辛かった2017年、2018年シーズン。
あの頃の遠征はだいぶ苦行に近かった。
勝ち点1を拾うのが精一杯。
勝てない試合ばかりが続き、ストレス解消に買った10万円の電子ピアノ。今では見事な我が家のインテリア。
そんな中でも大事にした「だご楽しかファースト」。
どんな試合結果になろうとも、遠征中から楽しもう!
そんな軸があったからこそ、ここまで応援してこれた。そんな気がする。
「熊本の遠征楽しそう!」
「なんでいつもそんなに楽しそうなん?」
最近よく他サポから言ってもらう言葉。
金出して時間かけて遠征行くんだから楽しまないと勿体ない。いつのまにか、遠征フィロソフィー(使ってみたかった)になっていた。
すでに始まる来シーズンの話。
「もっとハリセンを!」「アウェーを増やそう!」
「観客増やそう!」「俺たちでスポンサー連れてこよう!」
過去にないくらいポジティブなオフシーズン。
今から凄くワクワクしてる。
一人で盛り上げようと頑張らなくていい。
いいと思ったことは、みんなが乗ってきてくれる。
そこに楽しいのアクセントをつけるだけ。
それがハリセンだったように。
オフシーズンになって、毎週のように会ってた人たちともなかなか会わなくなるけど、どうせどこかで会うんだろ。
だから、また来週。