[記事翻訳・解説]日本大使館前で市民が戦犯旗破く「独立軍のように戦う」
前回の投稿に引き続き、日本大使館前で籠城デモを続けている大学生たちに関する記事です。昨日4月24日は「戦犯旗を破く日」として、ソウルの日本大使館前を中心に全国で戦犯旗を破くアピールを行うことが呼びかけられていました。
この戦犯旗、今なお朝鮮半島をはじめとするアジア諸国への植民地支配の反省をしないどころか、今度は世界を相手に放射線汚染の危機をもたらそうとしている、まさに過去-現在-未来の戦犯国たる日本を象徴した秀逸なデザインだと感心せざるを得ませんでした。
そんな4月24日、日本政府の“要請”を受けた警察が過剰な弾圧を試み、予想通り激しい対立が生まれました。自主時報の記事を翻訳し、解説します。
日本大使館前で市民が戦犯旗破く「独立軍のように戦う」(自主時報 4/24付記事)
「大学生が国民を代表して雨に打たれながらも1週間以上闘っているというニュースを聞き、応援するために来た。ところが日本は反省する気配もなく、韓国の責任ある機関、政治家たちは知らん振りをしているようだ。国民が声を集めなければならない。」
「菅首相が最初に放射能汚染水を飲みなさい。」
「働いてたが我慢できずに出てきた。日本の行動にとても腹が立つ。大学生らの闘う姿に涙が出そうだ。」
「(放射能汚染水放流決定に)呆れて言葉も出ない。日本を糾弾するために、籠城デモをする大学生たちを応援するためにやって来た。」
「私たちは共に独立軍のように、日本に抗議し闘わなければならない。」
24日午後、日本の放射能汚染水放流阻止 大学生緊急籠城団(以下籠城団)と韓国大学生進歩連合、進歩大学生ネットワークがソウル鍾路区の日本大使館近くで「日本の放射能汚染水放流阻止 1万国民行動」(以下、1万国民行動)を開催した。
これに市民らが応え、午後3時から日本大使館を取り囲む1人デモを始めた。市民の手には日本の戦犯旗と共に、手作りの宣伝物が並んでいた。午後5時からはそれぞれ9人以下の人数で集まり、日本大使館周辺で糾弾記者会見を行った。それぞれの糾弾記者会見は戦犯旗を破くことから始まった。
市民の1人デモの様子
大学生のチェ・スジンさんは記者会見で「日本が放射能汚染水を放流した場合、韓国だけでなく全世界が放射能汚染に晒される。汚染水放流を阻止するために、今日からより強力な行動に出なければならない。」と訴えた。
抱川市から来た市民は「日本の放射能汚染水放流に反対!」と力強くスローガンを叫んだ。
ある大学生は「過去の帝国主義的な姿そのままに、全世界を相手にまた馬鹿げたことをしている日本に、韓国国民の力を見せよう!」と訴えた。
籠城団は声明文を通じて「厚顔無恥の先頭を走る日本政府が放射能汚染水放流方針を撤回し全世界の前で真っ当な謝罪をするまで、声をあげ日本を激しく糾弾していく」と述べた。
戦犯旗を破るアピール
1万国民行動の最後に日本に抗議する糾弾の言葉を書き、破いた戦犯旗を日本の放射能ゴミ箱に捨てるアピールを行った。
1万国民行動はソウル・水原・春川・大田・大邱・釜山・光州でも行われ、オンラインでも同時開催された。
全国各地で抗議行動が行われた
一方、警察は「日本大使が懸念する」として過剰な対応をし、市民の批判を受けた。
水原から来た市民は「警察が女子学生に乱暴な言葉を使って怯えさせている。韓国警察がなぜこんなことをするのか」と怒りをにじませた。
ソウル市内から来た市民は「国民は平和的に集会をすることが出来るのに、警察が状況を緊張させていてとても残念だ」と警察の態度について指摘した。
通りすがりの市民は「警察があまりにもひどい。歩道と代替道をも塞いで、何をしたいのか」と警察に向かって声を上げた。
警察の過剰・暴力対応について、関係当局の強力な措置が必要に思える。
当日午前から防衛壁を張り、市民・学生と籠城デモを遮断した
男女問わず集団で押しつぶす警察の暴力性が目立った
今後、鍾路警察への糾弾の声は免れないだろう
元のニュース記事はこちら
さて、ここからは今後の韓日関係について、私見を述べていきたいと思います。
私はテレビを見ないのですが、昨日の1万国民行動が日本メディアによって韓国ヘイトの材料へと書き換えられることは簡単に予想が付きます。またあの文化人気取りのお気持ち表明芸人や居酒屋ノリ無責任放言芸人、幕末ワナビー俳優らが公共の電波を通じて発言したことを何らかの形で知ると思うと辟易します。
そんな日本の三流メディアは放っておいて、重要なのは当局間の関係と言えます。現状、韓国政府は放射能汚染水放流に強力な対策を打てているとは言い難いですが、民間から声が高まれば政府としても動かざるを得ないでしょう。
(現に一部、大学生の抗議行動が効いていると思える動きもあります。ハンギョレ新聞記事 韓国、国家安全保障会議で「福島第一原発汚染水の安全性を徹底的に検証すべき」 より)
民間からの声に政府が応える、という動きが韓国では出来ています(国民請願という制度としても保証されています)。一方でこの日本はどうでしょうか?この度のコロナ対策でも明らかになったように、今の日本の政権とそれを支持する勢力は民衆というものを徹底的に軽視しているようです。
百貨店に対する休業補償が1日20万円(いや舐めすぎでしょ)、テーマパークに無観客での営業を要請(意味不明すぎて自分でも何を書いているのか分からないです)、オリンピックは開催するが権限はIOCが持っている(ここで十八番の他所のせいですか、脱帽です)など、正気を失ったとしか思えないような報道を連日目にしています。
暗い予想ですが、今後の韓日関係は正常な判断能力を失った日本政府に振り回され、一時的に緊張が高まり泥沼化の様相を辿るでしょう。こういったときに重要なのが国際連帯・民間外交であると私は考えます。
韓国以外にも中国、朝鮮、そしてもちろん日本国内にも汚染水放流に反対する人、すなわち民衆がいます。民衆一人一人の力は弱くても、集まれば社会を変える力を持っていることは韓国現代史が証明しています。そして国家・民族の垣根を超え同じ課題に取り組むことで、より大きな影響力を発揮することが可能です。
ある集会で「今は韓日共生の時代ではない、韓日共闘の時代だ」と述べられた方がいました。私は今こそこの精神、韓日そして東アジアの民衆が連帯して、世界の人々を放射能汚染の脅威に晒そうとする日本政府と闘うべき時だと思っています。不可能だと諦める前に、民衆の力で変えられる可能性に挑戦したいです。
幸い、日本大使館前で闘っている大学生とコンタクトを取ることが可能です。拙文ですが良心ある日本の方の目に留まり、何らかのアクションがあることを願いながら今日の更新は以上で終わりにします。