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国家保安法を廃止せよ!国内で再びあがる声

ニュース記事として取り上げられているものはありませんが、韓国国内では今再び「国家保安法」の廃止を求める声があがっています。きっかけは6.15共同宣言実践南側委員会 青年学生本部前執行委員長に対する国家保安法違反の容疑をめぐる裁判で、有罪判決が確定したことによります。

事態の正確な理解のために、まず韓国青年連帯の声明全文翻訳を掲載します。

【声明】 6.15青学本部前執行委員長に対する国家保安法有罪判決、司法を糾弾する!

 8月17日、国家保安法違反の疑いで裁判を受けていた6.15共同宣言実践南側委員会 青年学生本部(以下青学本部)前執行委員長に、大法院(韓国における最高裁)は懲役1年4ヶ月、執行猶予3年の判決を下した。

 李明博政権期に始まった本件は1審無罪、2審有罪、大法院で有罪となった。青年たちの北側(朝鮮民主主義人民共和国のことを指す)に対する誤解と偏見を無くし統一を近づけるための「統一キャンプ」は北側の主張に同調するイベントとなり、討論会の資料集は利敵(敵に与すること、韓国では北側の賞賛、同調することを指す)表現物に変身し、反戦平和大会で統一部の承認を受けて北側と交換した書簡を発表したことが利敵行為になるということが、常識的な判断と言えるだろうか。
 もし司法の判断通りであるなら、北側に手紙を送ることを承認した統一部も利敵行為に同調したことで処罰を受けるべきではないだろうか。

 「耳にかければ耳輪、鼻にかければ鼻輪」(どちらにもとれる、という意味の諺)、国家保安法がまさにそれだ。
 今まで数えきれないほど多くの人が国家保安法廃止を主張してきており、国際アムネスティや国連も国家保安法廃止を散々勧告してきた。
 特に国家保安法7条[賛美、鼓舞]の規定は、「大同江ビール(北側の名産ビール)がおいしい」と一言言っても北側への称賛と取って国家保安法違反容疑が適用されるほど悪用事例が深刻であり、各界から7条廃止を主張する声があがっている。にもかかわらず司法は6.15青学本部前執行委員長に対し、国家保安法7条違反容疑を適用した。

 南北首脳会談が開かれ、4.27板門店宣言と9月平壌共同宣言が発表された今日、対話相手である北側を敵と規定している国家保安法が存在するということ自体が不合理という他ない。

 国家保安法は植民地統治時代に独立運動家を捕まえる口実となった治安維持法を模範としており、統一運動を推進する多くの人と組織を弾圧する武器として使われてきた。国家保安法は南北の交流が活発だった時期にも青年学生、教育者、事業家などを犯罪者に仕立て上げたし、国政政党が国家保安法違反の疑いで内乱陰謀を画策する勢力にでっち上げられ解散させられる事件まで起こした。

 韓国青年連帯は6.15青学本部前執行委員長への大法院判決を断固として糾弾する。
 2000年以降、歴史的な南北首脳会談が5度も開かれ自主と平和統一、民族大団結を基礎とする南北共同宣言も数回発表された。このような時代に北側を敵と規定する国家保安法は存在する理由がない。また国家保安法は憲法に保障されている政治思想の自由まで奪っており、民主主義を抑圧していないだろうか。キャンドル政権下で国家保安法があるという事実は、とても恥ずかしいことだ。

 今こそ国家保安法を廃止させるべき時がきた。
 韓国青年連帯は21代国会で国家保安法が廃止されるよう各界各層と共に行動していくものである。
 政府と21代国会はこの社会の完全な民主主義の実現と南北関係改善のため、国家保安法を廃止せよ!

2020年8月20日
韓国青年連帯

続けて、8月21日に大法院前で開かれた糾弾記者会見の動画です。

ここまでの説明にもあるように、国家保安法とは今日において前時代的で存在意義のない法律であり、南北統一、民族和合のために必ず撤廃されなければなりません。

私見ですが、今回司法が国家保安法違反容疑の裁判で有罪を最終確定した背景には、現在の南北情勢を反映していると考えられます。事実、国家保安法とは南北関係が良好な時期は適用されることが少なく、李明博・朴槿恵政権のような保守政権期には乱用された歴史を持っています。

国家保安法は法であって法でありません。政権によって恣意的に運用され解釈されてきた、とても法と呼べるものではありません。韓国青年連帯の仲間が唱えたように、国家保安法が存在していることはとても恥ずかしいことです。韓国の民主主義もまだまだ発展段階であり、理想社会ではないことを物語っています。

そして私たち在日韓国人もまた国家保安法の被害者であります。朴正煕・全斗煥ら軍事独裁政権期に留学に行った在日韓国人学生をスパイとしてでっち上げのも国家保安法でした。韓青も国家保安法上の利敵団体規定を未だに撤回されていません。

これまでも事あるごとに国家保安法撤廃運動が行われてきましたが、今回を契機に国民世論として国家保安法撤廃の声がより強力にあげられることでしょう。このままでは文在寅政権は、打ち上げ花火だけあげて後に続くものを何も残せなかった無能政権として記録されることになります。今からでも国民の声を真摯に聞き、キャンドル政権として為すべきことを為すことを望みます。

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