結婚・出産・キャリア…すべてを諦めないための逆算思考
ライフワークバランス?何それ
新卒2年目、平成のソーシャルゲーム業界は全盛期。
私は深夜まで働き、朝からまた会社に向かう日々を送っていた。そんな時、会社から「ライフワークバランス研修」を受講するよう言われた。
当時の私は、「自分はポテンシャルの塊!」と信じていて、仕事に全力投球し、出世街道(そんな道がどこにあるのかは不明)を駆け上がるつもりだった。
だから、研修で配られた「人生における幸せの要素」(仕事・家族・趣味などが書かれたリスト)を見ても、特に響かなかった。仕事100%!
しかし、その研修で一緒だった人事のお姉さん(20代後半)がすごく真剣に取り組んでいる姿を見て、心に残った。
周囲は「仕事だけしかしてないのだから、こんなの無意味じゃない?」という空気だったけど、彼女だけは人生を真剣に考えていた。
研修の講師よりも何よりもお姉さんの姿が私に引っかかった。
その時初めて、「自分の人生をどう設計するか」を真剣に考え始めた。
現実を知り、現実に向き合ってみる
やっと就職できたと思ったら、周りが口々に言う「結婚」「出産」が人生の最大イベントになるという風潮が少し嫌だった。
そのせいもあって、自分のライフイベントについて深く考えることを避けていた気がする。
数字で考える「出産適齢期」
そんな中、研修をきっかけに調べてみると「出産適齢期」という言葉を知った。
当時24歳の私はその数字に実感がなかったけれど、「35歳以上は高齢出産」とされ、20代の出産に比べてリスクが高いという事実を知った。
ここで初めて、その数字が現実の重みを持って感じられた。
キャリアも人生も、基本的にはプロジェクトマネジメントと同じ。
スケジュールを逆算してみることにした。
妊娠:10ヶ月
結婚式の準備:半年
結婚するまでの期間:1年~2年
彼氏の結婚願望の有無:見積り不可
導き出した答えは…
「28歳まで今の彼氏で結婚できなさそうだったら別れる」。
スケジュールにはバッファ(余裕)が絶対必要だし、自分でコントロールできることに注力するのが大事だからね!
(ちゃんと今の旦那になりました。)
仕事もして、結婚もして、出産もしたい。
でも時間は1日24時間しかない。
そこで私の取った手段は、「社内恋愛」だった。
自分の仕事を心から応援してくれる
仕事への理解があるから、休日出勤や残業の説明がスムーズ
「ごめん、ガチャのリリースが遅れてて今日無理だ」
とデートを吹っ飛ばし、その代わり近場でランチを一緒にすることを楽しんでくれる人。これこそが一番優先度の高い条件だった。
がむしゃらに働いた20代
ここまで決めたら、あとは実行するだけ。
自分のキャリアの踊り場を30歳(出産)と決めて、環境も自分の意志でいつでも変えられるように、20代は行けるところまでがむしゃらに働いた。
「妻が妊娠中で…」と言いながら夜遅くまで働いている同僚を見ると、ライフイベントが変わる直前まで自分の時間を持てることが羨ましく思えたり、キャリアとライフイベントの大事な時期が重なる理不尽さに怒りを覚えたりした。
でも、現実は現実だ。
来世は男として生まれることを期待しながら、今世では「子どもを産む」という役割に生まれてきた現実を受け入れるしかない。
絶望しても仕方ないからこそ、現実と向き合い、自分なりの答えを出し続けるしかないのだと思う。
(補足)感情ではなく事実を知ることの大切さ
補足しておきたいのは、「35歳だから早い」とか「出産しなければならない」という感覚は人それぞれでいい。
結婚や出産のタイミングは、本人が決めればいい。
でも事実として、35歳以上の出産は「高齢出産」とされ、20代の出産に比べてリスクが高い。
その事実を知った上で、自分にとってベストなタイミングを考えることが大事だと思う。
「リスクとリターン」で考えるライフイベント
2社目で金融の会社に転職した時、「リスクとリターン」について学ぶ機会を得た。
投資をする際にまず知るべきなのは、自分のリスク許容度だ。
どれくらいリスクを取れるのか?
どれくらいのリターンを期待するのか?
これをクリアにすることが、投資の第一歩だと学んだ。
実際、大きなライフイベントをいつどのようにしたいのかも同じような考え方が当てはまるのではないかと思う。
どのタイミングで何を得て、何を得ないかを明確にする。
これをクリアにしておくだけでも、後悔はぐっと減らせる。
例えば、もし何かがうまくいかなかったとしても、「それが想定の範囲内かどうか」を判断できれば、すぐに次の一手を打つ余裕が生まれる。
投資の世界では、リスクを取らなければリターンは得られない。しかし、過剰にリスクを取れば大きな損失を招くこともある。
どれだけリスクを取る覚悟があるかを見極めることで、冷静な選択ができる。
そして、その選択が正解かどうかはわからなくても、事前に考えた分だけ道筋がクリアになり、不安は和らぐ。
自分を信じて、一歩ずつ進んでいこう!