米国Yahoo!が24年最初の週に新しい検索エンジンでカムバック(予定)
■YST戻ってくるの!?
海外のニュースになるのですが、2024年の早い時期には基本的な機能が登場し、その後、AIをはじめとする高度な機能が続々と実装される見込みとのこと。
意外だなあと思いました。もうBingでそのまま行くものだと思っていたので。
将来的にはBingが勢力を伸ばして、Googleと2大巨頭体制構築かなあという未来図を描いていたので。
そうなると、Yahoo!、Google、Bingの三大勢力になるのでしょうかね。検索エンジン三国志の始まりですね。
何が意外だったかというと、Yahoo!が検索エンジンの開発を諦めていなかったことです。
別に忖度せずに言いますが、Yahoo!のテクノロジーなんてほんとぜんぜんいけてなくて、過去に出したYahoo!製ロボット型検索エンジンもポンコツでした。
ほんとにテクノロジー全然ダメな会社だなあという印象で、なによりそれを自分らが一番分かっていたんだと思っていたので(まだやってたの!?)がまず思ったことです。
まあ、昨今の生成AIのポテンシャルを考えれば、ここをBingに渡してしまうこともバカらしいので経営戦略的にはそうだろうなあと納得してもいますけど。
朝方早々にこんなニュースを見たもので、昔を色々と思い出してしまいました。
今の若い人なんてYahoo!=Googleが当たり前の知識だと思うので、当時にきちんと扱ったことない人が大半だと思います。
当時の頃を少し思い出しながら書いてみましょうか。
■Yahoo!のロボット型検索エンジン(YST)への取り組み
YST(Yahoo Search Technology)はYahooが開発した検索エンジンです。
大体の沿革は次のような感じでしょうか。
2004年、Yahoo!のディレクトリ型検索エンジンをロボット型のYSTに変更
↓
2009年、米国がMicrosft検索エンジンに変更(後のBing)
2010年、Googleに切り替え
一応、調べたのですが2004年に切り替えとなってました。ただ、恐らくそれって米国だけの話で日本で切り替わったのって2005年の10月頃だったかと思います。
ネット業界が超絶ブラックの時代で超絶離職率&激詰めの文化だった頃なので、当時の記憶は割としっかり残ってます。血便出るほど詰められたので苦労した分よく覚えてますねえ。
その当時はまだSEOなんてあまり日本に浸透していなくて、むしろリスティング広告の推奨認定代理店制度なんて訳の分からないピラミッドで各社ムキになって争ってましたね。会社としてSEO扱ってるところもそんなになくて、SEOベンダーも数社有名どころがあるってぐらいでした。
当時はエクシス(後のフルスピード)さんが外部リンク対策でものすごく強かったです。ただ、当時のエクシスさんはGoogleしか対策ができませんでした。
なぜなら、Yahoo!は独自のディレクトリ型検索エンジンだったからです。
この当時にこのディレクトリ型のYahoo!検索エンジン対策で強かったのは今でも有名なアイオイクスさんです。
アイオイクスさんは当時Googleも対策してたのかな?ちょっとそこは分からないです。アイオイクスさんにはYahoo!の対策依頼しかしてなかったので。
アイオイクスさんは値段が高かったんですよね。まあ、ディレクトリ型の対策だから手間かかってたんだろうなあ。
でも、クライアントさんの方でそもそも「SEO」なんてほとんど知られていないので、両方がっちり対策してるなんて企業はそこまで多くもなかったです。まずはミニマムでどっちかって始め方も多かったような気もします。
それが2005年にYahoo!もGoogleもロボット型検索エンジンになって、ベンダーさんが一斉にセットで売り出すようになりました。
結局は当時のロボット型検索エンジンのSEO対策なんて外部リンク対策がメインなので、各社アホみたいにリンク在庫の確保に走りましたねえ。
まさに、今に繋がるSEOビジネスというか市場が確立したタイミングですね。
■SEOビジネスが拡大したのはYSTのおかげ
・・・だと、私は思っています。
何故かというと、バカだったんですよねYST。別にどんなリンクでも付けとけば上がるので。
リンクの質なんて関係ありません。当時はどれだけリンク本数を貼れるかだけの勝負でした。
競合が1万本貼ってるならうちは2万本だああああ!!!みたいなことを本気でやってたんですよ。
まあ、リスティング広告のビッディングと同じようなものですよ。
ただ、SEOの外部リンク対策にはリソースが必要になるため、仕入が発生します。
これをいかに安く質のいいリンクを仕入れるか、これがSEOビジネスです。
今どきのテクニカルSEOを語るSEO業界の人から見たらバカみたいでしょ?
でも、本当の話ですから。昔からやってる人たちは(懐かしいなあ)なんて思ってません?
Yahoo!が簡単に上がるものだから、お客さんもお金をたくさん払ってくれるし。
2006年辺りはSEOが一気にネットプロモーションに浸透していった年ですかね。
(あと、この年はアフィリエイトも一気に拡大した印象があります)
で、大事なのは
・媒体価値の高いYahoo!の順位を上げるのは超簡単
・やり方はクソミソなんでもいいのでリンク付ければいい
・安く仕入れて高く売れば粗利率はいくらでも担保できる
と、経営からしてみたらとても魅力的だったわけですよ。
当然、広告代理店も取り扱いを始めますし、ネット専業はベンダーに振らず内製化に舵を切り始める所も増えてきました。
アフィリエイターをはじめ、個人でも結果を出しやすいので起業してっていう動きもたくさんありました。
まさにSEOベンダー戦国時代。
正直、聞いたこともないようなSEOベンダーから実態もあるのかないのか分からないようなベンダーまで有象無象でしたね。
当時のネット広告の主流は手間とリソースがかかって利益の薄いリスティング広告。
営業的にもシナジーが効き、利益率改善が期待できることから当時の代理店はそりゃあ内製化しますよ。
また、大した仕入は発生せず、リンク元非公開などが暗黙のルールが一般的だった当時、起業したい人間にとってもリスクは少ないので最高でしたね。
かくいう私も色々やってました。
そんなこんなで市場が活性化し、無茶苦茶やりたい放題だったわけですが、結果的にGoogleを怒らせてしまい2012年4月のペンギンアップデート導入に至るわけです。
あれはGWの連休入る全日でしたねえ。はっきり覚えてます。
2006年~2012年はまさにSEOビジネス黄金期と言えます。
ここで資金を稼いで、後に別事業に舵を切って成功している会社さんも多いと思いますよ。
少なからず私もかじらせてもらいましたけど、まあ成功者に比べたら味噌っかす程度です。
あれだけ有象無象海千山千だったSEOベンダーも12年のペンギンアップデート以降はどんどん姿を消します。
また、外部リンク対策が危ないものというレッテルを貼られ(世にいう「ブラックハット」)、リンク対策の代わりに流行ったのがコンテンツSEOです。
この辺はいくらでも当時の話は書けますし、今に至る流れや変遷も見てきました。
もう、この当時を知ってる人も少ないと思いますのでちょっと思い出程度に書いてみました。
■結論
がんばれ新YST。
日本はどうするのか分からないけど、マンネリ化したつまらないSEO業界の起爆剤になるといいですね。
あのエキセントリックな時代がまた経験できるかもしれないですよ。