
人生会議 ACP アドバンスケアマネジメントとは?
ACPの基本概念
ACPとは「アドバンス・ケア・プランニング」(Advance Care Planning)の略で、日本語では「人生会議」という愛称で呼ばれています。
これは、将来の医療やケアについて、あなた自身が主体となって、家族や近しい人、医療・介護の専門家と一緒に話し合うプロセスのことです。
簡単に言うと、「もし自分が病気や怪我で自分の意思を伝えられなくなったとき、どんな医療やケアを受けたいか」を前もって考え、周りの人と共有しておく取り組みです。
ACPの目的
ACPの主な目的は3つあります:
1 本人の望みを叶えること:自分が意思表示できなくなったときでも、自分の希望する医療やケアを受けられるようにすること
2 家族の負担を軽減すること:家族が「本当にこれで良かったのか」と悩まずに済むよう、あらかじめ本人の意思を確認しておくこと
関係者間で本人の思いを
3 共有すること:医療チームや家族の間で意見が対立することを防ぎ、本人の望みを中心に考えられるようにすること
ACPと事前指示書の違い
ACPと混同されやすい言葉に「事前指示書」があります。事前指示書は将来の医療について書面に残したものですが、ACPはそれを含むより広い概念で、継続的な話し合いのプロセス全体を指します。つまり、ACPの結果として事前指示書が作成されることもあります。
ACPが重要視される理由
現代の日本社会では、ACPが特に重要視されている理由がいくつか
あります:
1 高齢化社会の進展:日本は世界トップクラスの長寿国ですが、健康で生活できる期間をいかに延ばすかが課題となっています
2 医療技術の進歩:現代の医療技術は多くの命を救う一方で、時に患者の望まない延命治療につながることもあります
3 家族構成の変化:核家族化や一人暮らしの高齢者が増え、緊急時に本人の意思を代弁できる人がいないケースが増えています
4 医療・介護の連携強化:医療機関との連携体制が強化され、ACPの重要性がさらに高まっています
ACPの進め方
ACPは難しく考える必要はありません。
基本的な進め方は以下のとおりです:
1 自分の価値観を考える:生きる上で何を大切にしているか、
どんな最期を迎えたいかを考えます
2 医療やケアの希望を話し合う:どんな状況になったら「生き続けたくない」と感じるか、そのときどんな医療やケアを受けたいかを考えます
3 信頼できる人を決める:自分が意思表示できなくなったとき、自分の代わりに決断してほしい人を選びます
4 関係者と共有する:家族や医療チームと話し合い、自分の思いを伝えます
5 定期的に見直す:考えは時間とともに変わることもあるので、定期的に見直します
お若い方にとってのACP
「まだ若いから関係ない」と思うかもしれませんが、ACPは若い人にも関係があります。アメリカの資料によると、ACPは年齢に関係なく、すべての大人にとって重要だとされています。なぜなら、重大な事故や病気はどの年齢でも起こり得るからです。
また、ACPについて知っておくことで、将来、家族や大切な人のACPをサポートする際にも役立ちます。祖父母や両親と「もしも」の時のことを話し合うきっかけにもなるでしょう。
まとめ
ACPは、自分らしい人生の最期を迎えるための大切な取り組みです。自分の意思が尊重され、家族の負担も減らせる一石二鳥の方法といえます。高校生の今から、人生や死生観について考えることは、自分自身の価値観を形成する上でも意義があります。
将来、医療や介護の現場で働くことを考えている人は、ACPの知識が専門的なスキルとしても役立つでしょう。また、家族との絆を深める機会としても、ACPについての理解を深めておくことは有益です。
書類関連では、事前指示書、特別指示書というのもあります。
1 事前指示書:将来判断能力が低下した際に医療行為に対する意向をあらかじめ示す文書です。
2 特別指示書:病状の急変や終末期などに、通常の訪問看護指示書とは異なる条件で交付される指示書です。
名前だけでも覚えておいても良いでしょう。
介護に関するいろいろな情報を整理し続けます!