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お金に縛られず、やりたいことのできる社会を作りたい:nukumo 山田聡人さん

「皆がお金に縛られず、やりたいことのできる、夢を諦めなくて良い社会を作りたい」と思ったことが始まりです、と語るのは一般社団法人 nukumo 共同創業者の山田 聡人(やまだ あきと)さんです。

 今回は山田さんに貴重な時間を頂き、過去から遡って将来に向けての展望をインタビューさせて頂きました。
 近年、UberやAirbnbのように自分の持っている資産や時間を社会にシェアする動きが活発になっていますが、山田さんが代表を務めるnukumoでは更に「お金」を介する必要がないシェアリングが可能なコミュニティや、エシカルエコノミーの実現を目指したいと熱く話されていました。
※エシカルエコノミーとは、自然環境や持続可能性への配慮といった倫理的な活動を行う会社やコミュニティを含む様々な共同体が協力しあうことで成り立つ次世代の経済圏です。

● 創業のきっかけ

 山田さんは大学を卒業後、社会人となって働く中で、「お金」に対して違和感を覚えたと話します。

 自分自身が社会に出たときにお金のために働いている現実が見えてきて、自分自身がそれに縛られてしまっていることに気がつきました。

 多くの人に共通する悩みである「お金」。もし「お金」があればやりたいこと、欲しい物、住みたい場所など、誰もが持つ欲求を叶えることができます。
 山田さんはこの「お金」が人々の生き方の足枷となってしまい、ありのままの自分として生きられないのではないかと思い、もっと「お金」に縛られず自分の好きなことが出来る社会は作れないかと考え始めました。そんなときに、皆の持っているスキルや使っていない物等の資産を共有できれば「お金」は必要ないのではないかという考えに至りました。

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● ニュージーランドでの再発見

「皆の持っているスキルや資産を共有できれば「お金」は必要ないのではないか」という考えを具現化するため、すぐに会社を退社し、Yahoo!でエンジニアとして勤めていた友人と共に、実家のあるニュージーランドに移り住みました。ニュージーランドを選んだ理由は、実家があることに加えて、既にシェアの文化が強く根付いていたことからだと言います。

 当時は無償で食事や物を友人知人から貰うことで問題なく生活ができました。そもそもニュージーランドを選んだのは、WGI(World Giving Index:世界寄付指数:見知らぬ人を助けたか・寄付をしたか・ボランティアに時間を捧げたかの3要素に基づく指数)というシェアが根付いている国の指標で過去10年間もの間ベスト10に入るような国であるため、自分たちの考えを実現するのに相応しい環境があると考えました。

 山田さんは、ニュージーランドに移り住んで初めの1年間は月5万以下で生活を送っていましたが、そのような状態でも生活は全く苦しくなかったと言います。お金が必要になったら、実家の空き部屋を貸したり、Uber Eatsで配達を行ったりして生活費を賄っていたそうです。

 山田さんは、ニュージーランドでシェアリング文化を肌で感じながら、資産共有アプリ「nukumoを開発しました。

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資産共有アプリ「nukumo」

 nukumoは自身の持っている資産をネット上にアップロードして管理し、さらにそれを他人とシェアすることができるアプリです。

 山田さんはニュージーランドの地で自身が実現したいと思っていた「お金」を介さないシェアリングが実現可能であることを再認識し、自身の目指す社会を日本で実現したいと考え、開発に成功したアプリ「nukumo」と共に1年ぶりに帰国しました。

● 新たなステップとしての「nukumo city」

 日本に帰国してから2年間は、友人宅やシェアハウスを転々としてアドレスホッパーをしていました。この生活では、家賃の代わりに自分が持っているスキルを提供することで生活していたそうです。山田さんは、自身の目指す「お金」を必要としないシェアリングをこの経験で体現しました。
 そのような生活の中、さらに自分の想いを前進させるため、「nukumo」アプリの次ステップとして、リアルの招待制シェアリングコミュニティ「nukumo cityを立ち上げました。

 nukumo cityは招待制のコミュニティです。nukumoというコミュニティを一つの街と捉えて、参加者は全員住民税を月額¥3,000~30,000の好きな額を払い、運営側はそのお金を一切使わずストックします。そして、住民の誰かが何かをやりたいとなった場合にストックしたお金を使うという共同体を作りました。やりたいことのできる街というコンセプトにしています。

 現在、nukumo cityには、その考えに共感した30人程のメンバーが既に集まっています。
 最近ではメンバーの1人がオーガニックコットン100%のTシャツを販売するブランド「little fernを立ち上げました。このTシャツは6週間で製品化され、その費用はたったの¥28,000でした。nukumo cityに所属するフォトグラファーやイラストレーターがスキルを持ち寄って、メンバーの「服のブランドを作りたい」という思いを高速・低価格で実現できました。

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little fernのオーガニックコットン100%のTシャツ

 これを実現している鍵は招待制です。nukumo cityのビジョンに共感することは元より、人間性が既存のメンバーから担保されていることで成り立っています。現在の会員数は30名程度ではありますが、今後は少しずつ規模を拡大していきたいと山田さんは話します。

 nukumo cityとしては最終的に皆がやりたいことのできる、夢を諦めなくて良い社会を作ることを目標において活動を続けていきます。将来的には住民税を廃止して本当の意味でお金が不要となるコミュニティ作りを目指していきたいです。更に、nukumoという枠組みだけでなく、他のコミュニティともゆるい繋がりを維持しながらビジョンを実現できたら良いと考えてます。

● 新たな試みとしての「nukumo house」

 山田さんは2019年11月に新たな試みとしてnukumo houseというシェアハウスの運営を始めました。1階には家族が住み、その家の2階をシェアハウスにしています。地下には自由に使えるジムもあります。住居のシェアリングを行うことで、自分の住む空間さえも共有することに成功しています。

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nukumo house
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nukumo house

● 最後に

 nukumo city内でエシカルエコノミーは実現できているが、今後はどんなコミュニティに属する人々と接するときでもエシカルに考える思考が必要だと思います。

 エシカル(倫理的)に考えて行動しないとお互いの理解が食い違い、大きな争いの火種となってしまいます。そのため、エシカルに考えて自分のやりたいことの行動を取ることが結果的に他のコミュニティも含めて上手く行くのではないかと山田さんは締めくくりました。

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山田聡人さん

● 編集後記

 nukumoの名前は「ぬくもり」に由来しており、nukumoというロゴの右上に小さく「り」の文字が隠れています。山田さんの作ろうとしているコミュニティはまさに団体の名前通り多くのメンバーの「ぬくもり」によって成り立っていると感じました。
 現代の資本主義社会では「お金」は切っても切り離せない存在であることは間違いないです。そこに疑問を持ち、スキルや物を持ち寄ることで「お金」という壁を壊そうとする動きは非常に面白いと思いました。nukumo cityは始まったばかりですが、山田さんの今後の活躍に期待しかありません。

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nukumo

● Link 

Twitter:山田あきと🥝
nukumo HP:https://nukumo.link/


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